■「貿易戦争は容易に勝てる!」
週末にユーロ圏で行なわれた2つのイベントの内、独SPD(社会民主党)党員投票では大連立政権への参加を決定し、波乱はありませんでした。
イタリア総選挙の結果はまだ判明しませんが、出口調査によると、第一党はユーロに懐疑的なポピュリスト政党の5つ星運動。
しかし、最大勢力はベルルスコーニ元首相などが加わる中道右派連合となる見通しです。ユーロもこれまで目立った反応は出ていません。
【参考記事】
●ドル/円は再び105円台試すと100円も視野!? ビットコインは米国株の先行指標になる?(2月26日、西原宏一&大橋ひろこ)
先週(2月26日~)の流れを振り返っておくと、大きいのはアメリカの通商政策。
トランプ米大統領は3月2日(金)、「貿易戦争は正しいものであり、容易に勝利を収めることができる」とツイートしました。
選挙期間中から掲げていた公約を守り、通商政策を進めていく、ということです。
通商政策に本腰を入れるということは、米ドル安要因ですよね。
貿易戦争ならば通貨安の方が有利なことはたしかですが、先週(2月26日~)は株の下落からリスクオフへの圧力がかかりました。
EU(欧州連合)は、ハーレーダビッドソンのバイクやリーバイスのジーンズ、バーボンウイスキーなどへの対抗関税を示唆しています。
そうなってくると、言葉どおりの「戦争」ですね。
■いつものお騒がせ記者の記事で円高へ
中国も対抗措置を考えているでしょうし、心配ですね。
また、3月2日(金)には、「黒田日銀総裁:19年度ごろに出口を検討していること間違いない」との見出しの記事が出たことで、円高が進んでいます。配信したのはブルームバーグ、執筆したのは日高正裕さんです。
過去にも物議をかもす記事を書いた記者ですね。グローバルでは、「日高さんの書いた記事は、ヘッドラインに気をつけろ」との認識が広まっています。
ただ、マーケットのセンチメントが円高に傾斜していた局面だったため、ヘッドラインを読み取ったAIが即座に円買いに走ってしまう。そのための円高だったのでしょう。
【参考記事】
●「BOJ Officials Said」の謎:ブルームバーグ記事の英文タイトルはあとから改変されていた!?(要約版)

(出所:Bloomberg)
冷静に本文を読めば、出口にあたっては「物価2%目標、19年度ごろ達成の可能性が高いと確信している」ことが前提ですので、黒田さんの言っていることは、これまでと変わりません。ミスリードを誘うヘッドラインでしたね。
3月8日(木)、9日(金)には、日銀の金融政策決定会合が開催されます。9日(金)の記者会見で黒田総裁がどう説明するのか、注目ですね。
その他、今週(3月5日~)は、オーストラリア、カナダ、ユーロ圏の中銀会合も予定されています。いずれも、予想は据え置き。足もとの金融市場の混乱を考えれば、タカ派的な発言は出にくいかもしれないですね。
(次ページでは今週の最大のポイントになるというSQの話題が…)
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