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今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

FXレバレッジ規制騒動に、近く結論が?
米金利上昇→ドル高の相関復活の背景とは

2018年04月26日(木)19:32公開 (2018年04月26日(木)19:32更新)
今井雅人

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■寝耳に水のレバレッジ規制!?  近いうちに結論が…?

 今回は、まず、FXの規制の話からしたいと思います。

 報道で、店頭FXのレバレッジを、現行の25倍から10倍にするという話が出ました。投資家にとっても、業界にとっても、寝耳に水ということで衝撃が走りました。

【参考記事】
FXのレバレッジが25倍→10倍へ引き下げ!? 日経報道は真実? 個人投資家への影響は?

 私もその後、金融庁の方々と意見交換をしています。

 その中で、今回のポイントは、「決済リスクをどう強化するか」ということになってきています。

 FX会社が破綻したり、FX会社がカバー取引をしている金融機関が破綻した場合、投資家の証拠金は信託保全で保護されているものの、残っているポジションの決済ができなくなってしまうリスクはある、という点です。

 そのため、「どういうリスク管理をするべきか」という点がポイントとなります。

 自己資本の強化、ストレステストの強化、レバレッジ規制の強化、カバー先の分散化、精算機関の活用などなどが、テーブルに上がっています。最終的に、どういう結論が出るか、今、金融庁の方でも検討中です。

 これまで、4回にわたる有識者会議も開催し、ある程度の論点整理は終わっているようですが、投資家保護の観点は十分に考慮しながら、投資家の利便性を損なわない方向の対策になるよう、私なりに努力をしています。

近いうちに、方向性が出てくると思っています。

【参考記事】
日経は新レバレッジ規制の結論を知ってる!? 「第1回有識者検討会」で話されたこととは?
有識者から新レバレッジ規制必要なしとの声も!?春に規制ありとした日経新聞は誤報?
有識者検討会に新たな参加者もレバレッジ規制強化の声はなく…!?
風雲急!店頭FX原則禁止論まで飛び出した第4回検討会。レバ規制強化派が優位に!?

■金利と米ドルの関係が、3月までとはまったく違った展開に!

 さて、相場とは、実に気まぐれなものであります。

 今年(2018年)の年初から3月ぐらいにかけては、米国の長期金利が上昇しても、米ドルは下落するという展開が続いていました。

 私も、米長期金利の上昇を背景に、米ドル高を予想していたのですが、米国の長期金利が上昇しても、米ドルは逆に下落するという展開に苦しめられました。

【参考記事】
ドル/円と金利の逆相関は解消されない! 円高と米ドル安を加速させる要因とは?(2月15日、今井雅人)

 しかし、ここ最近の相場は、一般的な解説では、米国の長期金利の上昇を背景に、米ドル高が進行しているということになっています。

米長期金利(右軸)とドルインデックス(左軸) 日足(2018年~)
米長期金利(右軸)とドルインデックス(左軸) 日足(2018年~)

(出所:Bloomberg)

3月までとは、まったく逆の動きになっているということです。

■相場とは時々、矛盾した反応をしてしまうもの

 4月20日(金)には、米10年債利回りが、目先の上値メドとして意識されていた2月21日(水)の2.9537%を上抜けて、2.9602%まで上昇。

 そして、週明けの4月23日(月)に、3%へ迫る上昇となると、米ドル/円は1円以上の大幅な上昇を見せました。

米長期金利(米10年債利回り) 日足
米長期金利(米10年債利回り) 日足

(出所:Bloomberg)

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:Bloomberg)

相場とは、時々、こうした矛盾した反応をしてしまうものです。

■カギを握っていたのはポジション動向

 その背景として1番に挙げられるのは、やはり、ポジション動向です。

 IMM(国際通貨先物市場)における、通貨先物のポジション状況を見ればわかるように、今年(2018年)の初めごろは、米ドル/円の投機筋の買い持ち(=ロング)、つまり、米ドルに対する円の売り越しポジションが、かなり積み上がっていました。

 ところが、3月の中旬ごろから、急速に米ドルのロング(円の売り越し)が減ってきました

IMM(国際通貨先物市場)のポジション状況(米ドル/円)4月17日時点
IMM(国際通貨先物市場)のポジション状況(米ドル/円)4月17日時点

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移

その辺りが、米ドル/円での米ドルの底となっています。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:Bloomberg)

 直近、4月17日(火)時点の数字では、逆に、米ドル/円の売り持ち(=ショート)の方が、若干ではありますが、上回っている(米ドルに対して円が買い越し)状態です。

 そして、それ以降、米国の長期金利の上昇に、米ドル高という反応をし始めています

 結局、市場のポジション動向によって、同じ材料に対しても違う反応をしてしまうということでしょう。

■米ドル/円は、110円が1つの節目に!?

 現在の米ドル/円の値動きを見ていると、かなり底堅い動きを見せているので、まだ、堅調な流れは続くでしょう。

 しかし、110.00円というのは、1つの節目になるのではないかと考えていています。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:Bloomberg)

米国との通商交渉の件は、4月17日(火)~18日(水)の日米首脳会談でも話し合われたように、茂木経済再生担当相とライトハイザーUSTR(米通商代表部)代表が窓口となって交渉を始める予定ではありますが、当面、先送りになっており、しばらくは市場の材料にはなりにくいです。

【参考記事】
通商問題の影響が出るのはもう少しあと!? 米ドル/円は108円に届かず狭いレンジか(4月19日、今井雅人)
米ドル/円はレンジ上限をトライする動きか。ユーロ/米ドルはもみ合い抜けて1.20割れも!?(4月24日、バカラ村)

 しかし、今後の交渉は、難航が予想されます。いつ、これが材料視されて相場が動き出すかもしれません。そのことは、常に念頭に置いておく必要があるでしょう。

■南北朝鮮首脳会談の行方にも注目!

 最後に、明日、4月27日(金)に、南北朝鮮首脳会談が開催されます。

 ここで、融和姿勢がより鮮明に示されると、株式市場が好感して、上昇する可能性は十分あるでしょう。

日経平均 日足
日経平均 日足

(出所:Bloomberg)

 その行方にも、十分に注目をしておきたいと思います。

※【お知らせ】来週5月3日(木)の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」は、休載させていただきます。何卒ご了承ください。


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