■何があった? 英ポンドが急激な上昇!
今週(8月27日~)、外国為替市場の中で、1番大きな動きを見せたのは、英ポンドでした。
英ポンド相場は、これまでEU(欧州連合)離脱において、非常に厳しい状況をもたらすのではないかという不安感が広がっていたことで、下落傾向を続けてきました。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 日足)
しかし、今週(8月27日~)、英ポンドは各通貨に対して、急激な上昇を見せています。
そのきっかけとなったのが、EUのバルニエ主席交渉官の発言でした。
バルニエ氏は8月29日(水)に、ドイツのマース外相との会談後、「他のどの第三国とも交わしたことがないような相互関係を、英国に提供する用意がある」とし、また、「英国の譲れない一線は尊重する」と発言しました。
この発言を受けて、EU離脱への不安感がかなり払拭され、英ポンドは一気に上昇しました。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 1時間足)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 1時間足)
■ショートカバーが一巡すれば上昇止まりそう
ただ、これは、市場環境によるところが、1番の原因のようです。
先週末の8月24日(金)に発表された、8月21日(火)時点のIMM(国際通貨先物市場)における非商業ベースのポジション動向では、英ポンド/米ドル、つまり、米ドルに対する英ポンドのポジションが7万2338枚の売り越しと、大幅なショート(売り)に傾いていました。

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
そうしたところに、バルニエ主席交渉官の発言が出たので、ショートカバーの材料に使われたという面が大きいと思います。
バルニエ主席交渉官の発言をもってして、英国のEU離脱への不安感が解消するわけではないでしょうから、ショートカバーが一巡すれば、英ポンドの上昇は止まるでしょう。
■NAFTA再交渉は合意に近づく。米ドルにはプラスに
さて、次にトランプ米大統領の動向です。
トランプ米大統領は、NAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉において、メキシコと大筋合意したと発言しました。そして、その後、カナダともほぼ、合意に近づいているという話も出てきています。
報道から見ると、おそらくNAFTAの再交渉は、まとまる方向に向かう可能性が高くなってきました。これは、米ドルにとってはプラス材料です。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
■米中貿易戦争は第2幕へ。将来の不安材料に…
心配なのは、中国との関税問題です。米中の貿易戦争は現在、第2幕を迎えています。
8月23日(木)に、米中双方が160億ドル相当の輸入品に、それぞれ25%の追加関税を発動しました。9月にはさらに、米国は2000億ドル相当、中国は600億ドル相当の輸入品に、追加関税を課す構えです。当面、両国が歩み寄りを見せる様子は、まったくありません。
さらに、トランプ米大統領は北朝鮮の非核化について、中国が消極的であるため、北朝鮮との会談を中止すると発表しました。

米中の貿易戦争は第2幕へ突入。両国が歩み寄りを見せる様子はまったくなく、9月には双方がさらなる追加関税措置を発動する予定になっている (C)Bloomberg/Getty Images
中国はすぐさま反論しましたが、こうしたギクシャクの背景には、関税問題が潜んでいることは間違いありません。
おそらく、問題の解決には、かなりの時間を要するのではないかという印象を、現在は受けています。
今、金融市場にダイレクトに影響があるとは思えないものの、将来への不安材料ではあるので、今後の展開を注目しておきたいと思います。
■ユーロがここから上昇していく可能性は低い!?
さて、最後にユーロと円です。
ユーロに関しては、ユーロ/米ドルが1.1500ドルを下に抜け、下げが加速するかと思ったところ、反転してしまい、逆に上へ向かっています。英ポンド/米ドルの上昇に、影響を受けた面もあるでしょう。
【参考記事】
●ベアトラップになったユーロ/米ドルは押し目買いへ! 悪材料織り込んだ英ポンドも買い(8月28日、バカラ村)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
しかし、IMMにおける非商業ベースの米ドルに対するユーロのポジションは、ショートがそれほど積み上がっていません。

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
ポジション面から見て、ユーロ/米ドルが、これから上昇していく可能性は低いと考えています。
■米ドル/円はジリジリと113円へ
米ドル/円については相変わらず、相場がある程度、下押しすると、日本人投資家からの米ドル買い注文が出てきます。
これが、米ドル/円が底堅い1番大きな要因ではないかと推察されます。
【参考記事】
●トルコリラショックは今後期待できない!? 米ドルが下がれば買い拾う方針を継続!(8月24日、今井雅人)
上下動はあるとは思いますが、ジリジリと上昇し、113.00円程度まで達する可能性が十分あると考えています。

(出所:Bloomberg)
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