連日、欧米の株価は安値模索を続けている。やはり決算発表の内容が期待に添わないものが並んでしまって、先週はハイテクを中心に、今週に入ってはエネルギーや小売など全般に調整の動きが広がっている。米国株においては多少、切り返す局面があっても、大きなショートカバーにはつながらず、戻りは確実に売っておけというようなベア相場入りしたようにも見受けられる。
その中で検討しているのが日本株だ。日本株だけは外部環境がどうあろうとも、ひたすらに高いままだ。欧米の株価がQE3後の上昇分をすべて吐き出して、2カ月ぶりの安値圏に迫ろうとしているのに、日経先物だけは9000円台を維持している。明らかに割高感がつのっているのだが、その要因のひとつは来週30日の日銀会合で追加緩和が行われるだろうという観測だろう。
当初は20兆円の買い入れ枠の増額がささやかれていたが、今となっては10兆円規模で落ち着いているようだ。政府の方から外堀を埋められた格好で、日銀としては今さら何もやらないわけにもいかないだろうという図式。それによる効果がてきめんに出ているのは円相場であって、ドル円やユーロ円ともになかなかに底堅い。海外市場で株価の下落が起こってリスク回避が急がれる局面でも、急激に円高に向かうことは少なくなってきている。
昨日の海外市場でも同じような状況でスタートした。日本株は期待で高く、日経先物はナイトセッションで9130円まで上げている。ここまで来ると8月のサマーラリー時の9250円高値が意識されるレベルだ。そうした株高につれて欧州株もやや値を戻し、グローベックスでの米国株も前日の終値からは大きく切り返した。
イギリスのGDPが予想よりも良かったことで、欧州通貨が買われ、ポンドの上昇にともなってユーロも買われた。ユーロドルは1.30台にまで戻しきり、ユーロ円も高い。しかしポンドの方が強いので、ユーロポンドは下がっている。前日にユーロポンドが大幅安をしたので、その流れがいっそう強まったとも言える。
ここまで株価が上がってきても、先週からのパターンだと思うと、ニューヨーク時間ではまた下がり始めるんじゃないかと思った。すでに高いのだから、ここから落ちる余地は大きい。米国株の下げには奇妙なコンフィデンスが出始めている。