■4月3日(金)の弱い雇用統計で米ドルは急落したが…
今週(4月6日~)は、先週末、4月3日(金)に公表された3月米雇用統計を受けて、米ドルが急落したものの、一転買い戻しの動きとなりました。
NFP(非農業部門雇用者数)が、12.6万人と市場予想の24.5万人を大幅に下回る弱い数字となったほか、過去2カ月分の数字も大幅に下方修正されており、米ドル/円は米長期金利の急低下とともに下落。

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:米国主要経済指標の推移)

(出所:CQG)
指標発表直前には、思惑的な買いから、一時119.99円まで値を上げる場面も見られたものの、一気に118.71円まで売り込まれることになりました。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
ユーロ/米ドルも、一時、1.1027ドルまで買い上げられています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
■米雇用統計、「それほど悪い数字ではなかった」との観測も
最近、非常に重要視されている平均時給は、前月比0.3%と市場予想の0.2%を上回ったものの、それを上回る予想外の悪い数字に、ネガティブサプライズの動きとなりました。
グッドフライデーの休日と重なったことで、欧米市場の参加者が限定されるなか、値動きもそれだけ大きくなったと言えます。
【参考記事】
●主要市場休場の中で発表される雇用統計。過去3回の同一ケースで為替はどう動いた?
ところが、今週に入ってからは、一転して米ドルが買い戻されています。
この要因の1つは、あまりにも弱かった米雇用統計の数字に対して、「港湾労働者のストライキや悪天候の影響が、20万人程度NFPを減少させた可能性」が指摘されたことにあります。
また、平均時給の上昇など、FRB(米連邦準備制度理事会)が利上げ開始時期を決定するにあたり重要視している、賃金上昇が鮮明となっていることから、一部では、「それほど悪い数字ではなかった」との観測も出てきたことは確か。
思ったほど、米ドルが下落しなかったこともあり、さっそく、ファンド勢からの買い戻しの動きが観測されました。
■日銀、4月30日(木)の追加緩和は現実的ではない
また、4月7日(火)には、「2014年10月の日銀による量的・質的緩和の拡大を唯一予想していた大手証券が、4月30日(木)の追加緩和を示唆するレポートを出してきた」ことで、海外勢にとっては、もってこいの「飛びつきネタ」が急浮上。
これもまた、米ドルの買い戻しを加速させました。
さすがに、昨日、4月8日(水)の日銀金融政策決定会合後の黒田日銀総裁の定例記者会見を見ても、「実際は、かなり難しい」と見る向きが多いのも事実です。
私も、いずれは追加緩和が必要であるとの意見を否定してはいませんが、総裁自身が、「基調インフレが、低下していくリスクはない」と明言している現状では、思惑が高まることはあっても、現実的ではないように感じています。
【参考記事】
●驚きのGPIF資産残高構成。もう、玉切れで株高・円安の流れが変わる可能性も…(4月2日、今井雅人)
■予想以上にタカ派な内容だった! 米FOMC議事録
さらに、4月8日(水)に公表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨(3月17-18日分)では、「6月の利上げについては、意見が分かれる」としながらも、「数人のメンバーは、6月の利上げが正当化されると判断」していることが判明。
少なくとも、6月利上げの議論が交わされたことが明らかになりました。
また、米ドル高の影響を注視してはいるものの、「数人のメンバーは、政策の違いから、さらに米ドルが上昇する可能性があると指摘」していたことも確認されており、予想以上にタカ派的な内容に。
米長期金利が上昇し、さらなる米ドル買い戻しの動きが観測されました。米ドル/円は、一時120.39円の高値、ユーロ/米ドルは、一時1.0760ドルの安値をつけています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 1時間足)
■米6月利上げの可能性は残るが、コンセンサスは…
ただ、この要旨は、4月3日(金)に公表された3月米雇用統計前の内容であることは確かであり、現在のメンバーの意向が、もう少しハト派寄りになっていることも容易に想像できるでしょう。
6月の利上げは、可能性としては残っていますが、その他多数のメンバーが考えているように、「今年(2015年)後半まで」の利上げ開始というのがコンセンサスであることに変わりはなく、米ドル買いも、先週末の米雇用統計で、突っ込み売りをしてしまった向きの買い戻しを超える新たな買いには、つながらないとみています。
4月、新年度入りした相場は、日経平均への資金流入が引き続き観測されていますが、為替市場では、「本邦事業法人などからの実需のフローは、まだまだ出てきていない」模様です。

(出所:株マップ.com)
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)など、本邦長期資金の動向も不透明な点が多く、様子見といったところ。
【参考記事】
●驚きのGPIF資産残高構成。もう、玉切れで株高・円安の流れが変わる可能性も…(4月2日、今井雅人)
引き続き、レンジ相場が続くと考えておきたいと思います。
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