■上海株急落でオセアニア通貨が暴落
みなさん、こんにちは。
過去2カ月に渡ってこのコラムで取り上げてきた、ユーロ/円、NZドル/円といったクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)ですが、今週(7月6日~)も続落。
【参考記事】
●ハト派的な米FOMCで米ドル/円急反落!NZドル/円が80円割れ濃厚な理由とは?(6月18日、西原宏一)
●フランスがユーロ圏・EU離脱(Frexit)!? ユーロ/ドルが1000pips下落するとの予想も(6月25日、西原宏一)
オセアニア通貨では、NZドル/円は80円割れ目前の80.67円まで、豪ドル/円は90円を割り込み、一時、89.17円まで急落しました。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 4時間足)
NZドル/円はいったんのターゲットである80円台まで到達しました。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:NZドル/円 4時間足)
また、141円でトップアウトしたユーロ/円は、133.30円まで下値を伸ばしました。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)
ギリシャ問題が混迷を深める中、欧州通貨より、オセアニア通貨が暴落しているのは、上海株の急落が原因。

(出所:CQG)
■中国政府の株価対策もまったく効果なし
オセアニア通貨暴落の背景は、今週(7月6日~)、多くのテレビ番組で特番が組まれている「ギリシャ問題」ではなく、上海株の急落。
続落する上海株に対し、中国政府は昨年(2014年)11月以降、4回の利下げを決行し、さらに年金基金の3割を株式投資に充てる方針を決定。
【参考記事】
●ロシア急接近してギリシャBRICs入りの噂!? 30%暴落した中国株の為替への影響は?(7月7日、西原宏一&松崎美子)
加えて、先週末(7月5日)には市場を安定させるために、2兆円規模の基金の設置を発表しましたが、まったく効果がなく、この3週間で上海総合指数は30%近く下落しています。

(出所:CQG)
上海株の下落はそのプロキシー(代理)である豪ドル/円の下落を誘引します。豪ドル/円はサポートの89円台、NZドル/円は80円台まで下落しました。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 日足)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:NZドル/円 日足)
クロス円の急落に押されて、米ドル/円も122.00円のサポートが決壊し、一時、120.40円まで急落しました。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
■中国警察当局が動き、ビル・グロス氏も動揺
ただ、暴落する上海株に対し、本日(7月9日)、中国政府はさらなる対応策を打ち出します。
中国警察当局が「悪意のある空売りを捜査する」とコメントしたのです。
中国当局、特に警察当局が動くというところに市場は激しく動揺。
このコラムでも、ご紹介しましたが、中国株の急落を予測したビル・グロス氏(※)も、あわてて中国株は売っていないとコメントしています。
(※編集部注:「ビル・グロス氏」は、米国の債券運用会社「パシフィック・インベストメント・マネジメント・ カンパニー(PIMCO)の共同創業者で、「債券王」との異名を持つ世界的に有名なファンドマネージャー。2014年にPIMCO社を退社し、現在は、米国の資産運用会社「ジャナス・キャピタル・グループ」に所属している)
【参考記事】
●ドル/円は125円到達も調整は長引きそう。中国株下落でなぜユーロは上昇するのか?(6月4日、西原宏一)
投資環境、厳しさ増す=グロース氏
8日にはブルームバーグに対し、中国株の急落に先立つ6月時点で空売りを勧めていたが、自身はこの取引を行っていなかったことを明らかにした。
出所:ロイター
これを受けて、上海株は一気に急反発。

(出所:CQG)
本日(7月9日)早朝には、一時、600円もの急落を見せていた日経平均も急反発。

(出所:株マップ.com)
呼応して、米ドル/円もあっさり121円台を回復しています。クロス円も軒並み反発。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 30分足)
こうした措置は長期的には中国株の魅力を半減させると見ますが、捜査という言葉に「空売り」をしていた参加者は急激にポジションを縮小せざるを得ない状態です。
■米ドル/円はいったん120.00円でサポートされる可能性
中国警察当局の対応に、反発した上海株。
それに呼応して、ボトムアウトしたのが米ドル/円。クロス円の急落に連れ、122円のサポートが決壊した米ドル/円でしたが、120円台ミドルで下げ止まり。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
6月4日(木)のコラムでご紹介させていただいたように、米ドル/円は125円台到達でトップアウトした後は、調整局面入りし、下値を模索していましたが、今回の下落により、いったん120.00円でサポートされる可能性が出てきました。
【参考記事】
●ドル/円は125円到達も調整は長引きそう。中国株下落でなぜユーロは上昇するのか?(6月4日、西原宏一)
ギリシャ問題がまだくすぶる中、米ドル/円も急伸するのは難しいのでしょうが、節目でサポートされた米ドル/円は、1カ月の調整局面を経て、120円レベルでサポートを確認する展開となる可能性が濃厚。
中国警察当局からの驚きの発表により、120円台でサポートされた米ドル/円が底固めできるかどうかに注目です。
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