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今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

米FOMCで年内利上げ期待高まりドル高!
黒田日銀総裁の追加緩和に対する本音は?

2015年10月29日(木)17:43公開 (2015年10月29日(木)17:43更新)
今井雅人

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■米FOMCの声明文に大きな変化あり

 米国では10月27日(火)-28日(水)とFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されました。

 今回も金融政策に変更はありませんでしたが、声明文の中身が大きく変わっていました。

 これまでのFOMCでは、中国などの世界的な経済リスクについて「最近の世界的な経済・金融情勢は経済活動をやや抑制させ、目先のインフレにさらなる下方圧力を与えている可能性がある」と言及されていましたが、今回その部分が削除されました。

 これが1点。

■12月に米利上げが!? マーケットは米ドル高に!

 そして、利上げ開始の時期を議論する場として、12月15日(火)、16日(水)両日の「次回会合」を挙げています。

 これまで、年内の利上げがあるのかどうかが市場の大きな関心事でしたが、今回の声明文は、まさに年内利上げの可能性について言及したものです。

 この声明文を受けて、一気に利上げムードが高まったのは言うまでもないでしょう。

 為替市場でも、米ドル高が一気に進行しています。

 たとえば、ユーロ/米ドルですが、1.10ドルの壁がなかなか抜けなかったのが、昨日28日(水)に下抜けし、1.09ドル台に突入しています。

一時、1.0896ドルまで売り込まれる場面も見られました。

ユーロ/米ドル 1時間足
ユーロ/米ドル 1時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 1時間足

■ユーロ/米ドルは1.08ドル台前半までは視野に

 つい先日、ECB(欧州中央銀行)のドラギ総裁は、2015年12月に追加緩和を実施する意向を示しました。

 ユーロ圏は追加緩和、一方の米国は利上げということになれば、当然ユーロ安・米ドル高に向かっていくのは自明の理。

 チャートを見てみると、ここ半年間で、何度も下値をトライして跳ねつけられている1.08ドル台前半までは、とりあえず視野に入っているかと思います。

ユーロ/米ドル 週足
ユーロ/米ドル 週足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 週足

■対米ドルで見ると、豪ドルやNZドルはもう少し下落するか

 米国が利上げするとなると、その分、マイナスの影響を受けるのは豪ドル、NZドルなどのオセアニア通貨

 対円ではそうでもありませんが、対米ドルで見ると、また下抜けをしています。これも、もう少し下落する可能性を考えておいた方が良いのではないかと思います。

豪ドル/米ドル 4時間足
豪ドル/米ドル 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 4時間足

NZドル/米ドル 4時間足
NZドル/米ドル 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:NZドル/米ドル 4時間足

■なかなか米ドル高へ向かわない米ドル/円…

 ただ、米ドル/円だけは、なかなか米ドル高に向かっていきません

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足

 明日10月30日(金)、日本でも日銀の金融政策決定会合があるので、それまで様子見という部分もあるのかもしれません。

 しかし、米国が利上げムードになってきていることがはっきりした時に、果たして日銀は、追加の金融緩和ができるのでしょうか?

 確かに、明日10月30日(金)は、半年に一度の「展望レポート」が発表されます。そこでは景気や物価に対して下方修正されることが確実視されています。

 その下方修正をもって、追加緩和を決定するという流れは不思議ではありません。政府サイドから、追加緩和要請も内々に来ているとも聞いています。

■黒田日銀総裁の追加緩和に対する本音は?

 ただ、黒田日銀総裁のこれまでの言動を見る限り、今回追加緩和は、あまりやりたくないというのが本音ではないかと思います。

【参考記事】
追加緩和に応じない黒田総裁の本音とは?ポイントは昨年秋から急落した原油価格!(10月8日、今井雅人)
ドル/円ブレイク材料は10月最終週に集中!それまでは「弱含みのレンジ相場」か(10月15日、今井雅人) 

エコノミストの予想を見ても、見方は二分しています。

 ただ、追加緩和をすると見ている人も、規模は10-15兆円程度の国債買取り積み増し、ETF(上場投資信託)の買い増し、地方債など買い取り対象の拡大などを予想している人が大半です。

 悩ましい状況の中、黒田総裁がどういう判断をするのか、注目しておきたいと思っています。


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