今回から元為替ディーラーでザイFX!でも超おなじみの西原宏一さんと、フリーアナウンサーでコモディティ(商品)に詳しい大橋ひろこさんの対談企画「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」がスタートします。
これは今の為替相場の流れやその週に行われるイベントなどを念頭に、どんなトレードをしたらよいか、1週間の作戦を練るコンテンツ。その際、為替相場に影響を与えるコモディティの動きも取り上げます。
CFDでも取引可能なコモディティですが、ザイFX!の連載企画としてしっかり取り上げるのは今回が初めて。更新は原則として毎週火曜日のお昼ごろを予定しています。西原さん&大橋さんの新連載に乞うご期待!(ザイFX!編集部)
■英ポンドは売りだが、原油が上がるようなら売りはやめる
足もとの為替の動きをどう見ますか?
ユーロ/米ドルはニュートラル、米ドル/円や英ポンド/米ドルは下方向でしょう。
(出所:CQG)
(出所:CQG)
(出所:CQG)
Brexit(英国のEU離脱)ショックのリスクオフはまだ終わっていない、と?
これからでしょう。メルマガにも書きましたが、BOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])が7月、8月に0.25%ずつ利下げするという予測が増えています。
遅くとも11月までには0.5%利下げというのがコンセンサスです。
英ポンドは原油の影響も受けますよね。原油価格が英経済に及ぼす影響は大きく、以前には「ペトロポンド」(ペトローリアム=石油+ポンドの造語)と言われたこともあるくらい。
今回は英ポンドがあれだけ暴落したのに原油価格、とくに英ポンドと相関性の高いブレント原油は下がっていないんですよね。
(出所:CQG)
基本、英ポンドは売りでいいと思いますが、もしもWTI原油が55ドルを超えて、60ドルへと上がってくるようだとブレント原油も上昇してくるでしょうから、いったん英ポンド売りはやめようかなと考えています。
(出所:CQG)
■雇用統計ショック、Brexitで遠のく米利上げ
Brexitの余波でアメリカの利上げも遠のきましたよね。
年内1回の利上げですら難しいかもしれませんね。
【参考記事】
●EU離脱ショックで英ポンド暴落! 米7月利下げ観測も浮上! ドル/円、次は95円へ(6月24日、西原宏一)
利下げの声すら出ているくらいです。そんな中、今週、7月8日(金)には米国雇用統計の発表があります。NFP(米非農業部門雇用者数)は17万人から19万人増加の予想です。
米雇用統計は7月8日(金)21時30分の発表
(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 米国主要経済指標の推移)
予想をはるかに下回り、わずか3.8万人増に終わった5月の数字がどう修正されるのか、改定値にも注目ですね。
米ドルは一昨年から利上げ期待で買われ続けてきました。
米ドル高是正をめざした2月の上海合意以降、対円では米ドル高の調整が進んでいますが、対ユーロや対英ポンドではむしろ上昇しています。
今すぐではないですが、今後数年かけて米ドル安が進行するイメージです。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 月足)
■米ドル高・金(ゴールド)高の矛盾、どう解釈するか?
金(ゴールド)の動きも気になります。
普段、金と米ドルは逆相関。金が上がれば、米ドルは下がることが多いのですが、足もとでは金と米ドルが両方とも上がっていますね。
(出所:CQG)
シンガポールや香港のファンドであっても米ドルでの運用が基本。米ドルを元手に、それを人民元に換えて中国の株を買ったり、ブラジルレアルに換えてリオの不動産を買ったりしています。
ところがBrexitのようなことがあると、いったんリスク資産を売って、米ドルに動かそうとする動きが出ます。そのため、リスクオフでは米ドルが買われやすい。
対外資産が多い国ほど、リスクオフでその通貨は上がる。日本は25年連続で対外純資産世界一ですから、Brexitで円が滅多買いされたのもわかりますよね。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
それにリスクオフで不透明感が高まると、安全資産である金も買われる。そのため、今は米ドルと金の逆相関が崩れて、「米ドル高・金高」となっています。
リスクオフが落ち着いてくれば、どちらかが下がって、元の逆相関に戻るんでしょうね。金と米ドル、どちらが修正されると思います?
金が正しいのだろうと思っています。つまり、最終的には米ドルが下げることで逆相関が回復するのかなと。今すぐに米ドルが下がるとは思わないですが…。
今週、7月5日(火)には豪ドルの政策金利発表もあります。
豪政策金利は7月5日(火)13時30分の発表
(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 各国政策金利の推移)
今回は据え置きでしょうが、次回8月会合では利下げが濃厚です。
いずれにせよ、今週(7月4日~)は引き続き原油価格の動向にも注意しながら、英ポンド/米ドル、それに米ドル/円の戻り売りを継続ですね。
(構成/ミドルマン・高城泰)
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