■トランプ政権の政策に疑問符…。米ドルの上値重い
みなさん、こんにちは。
今週(7月17日~)は総じて米ドルの上値が重い展開に。

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7月18日(火)の米議会上院で、オバマケア代替法案の可決が絶望的になったことがきっかけ。
結果、トランプ政権が掲げる税制改革、インフラ投資、金融規制緩和などの実現性に疑問符がつき、米ドルは、円やユーロに対して下落。

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ただ、多くのマーケット参加者はこの米ドル安の動きを一過性のものと捉えています。
なぜなら現在、多くの市場参加者の目は米国の政治よりも各国の中央銀行の政策に集まっているからです。
【参考記事】
●引き締めに向かう主要国中銀が「密約」? ECB理事会でのテーパリングの行方は…!?(7月17日、西原宏一&大橋ひろこ)
金利正常化に最初に舵を切ったのは米国。
昨年(2016年)末の米国の利上げに向けて、米ドルは大きく上昇し、米ドル/円は一時118.66円という高値をつけました。
そして、追随してECB(欧州中央銀行)、そしてBOC(カナダ銀行[カナダの中央銀行])、加えてRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])と中央銀行がタカ派なスタンスをみせるたびに、その通貨は急騰しています。
【参考記事】
●株式よりも金利の動きが今後もカギに? 米国債利回り上昇なら米ドル/円も続伸!(7月3日、西原宏一&大橋ひろこ)
■日銀がゼロ金利固定の間に欧米は金利正常化へ
一方売られる通貨は、ゼロ金利固定の円ということになります。
これはある意味、円安容認?との誤解も生じやすく、各国から批判があがりそうですが、日銀のみが金利をゼロで固定してくれている間に、米国、欧州が順調に金利正常化を進められるという意味もあり、この点においてはお互い利するところがあるため、この状況がしばらく続くのかもしれません。
結果、直近の加ドル/円、豪ドル/円は急騰しています。

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■金利正常化という点でユーロに優位性あり
そして、金利正常化という点においては今晩(7月20日)のECB理事会を控えたユーロに優位性があります。
そもそも、ユーロが反発し始めたのが3週間前の6月27日(火)に行われたECBフォーラム。
【参考記事】
●強烈なレジスタンス突破したユーロ/円は135円へ! ドラギ総裁発言でユーロ急騰!(6月29日、西原宏一)
このフォーラムでドラギ総裁が下記のようにコメントしたことからユーロが大きく反発。
(1)デフレ圧力はリフレに変わった
(2)物価下押し圧力は、一時的要因
このコメントにより、マーケットは早ければ9月のECB理事会でテーパリング決定。スタートは2018年1月といった憶測が台頭し、ユーロを大きく押し上げます。
この意味においては、今晩(7月20日)のドラギ総裁の会見に注目。
仮に発言が楽観的過ぎれば、債券利回りを高過ぎる水準にまで押し上げることになりかねません。
逆に厳し過ぎる印象を与えれば、失望でユーロが急反落しかねません。
■ユーロ/米ドルは、中長期ではすでにボトムアウト
ただ、相場ですので、一時的は調整は避けられませんが、ECBが金利正常化に向かっていることは確か。
以下は、ユーロ/米ドルの月足チャートです。

(出所:Bloomberg)
(※編集部注:上記チャートではボリンジャーバンドを掲載している。ボリンジャーバンドでは、月足であれば、20カ月移動平均線が用いられるのが一般的だが、今回は200カ月移動平均線を使っている)
長期に渡ってユーロ/米ドルは、月足の1シグマ(σ)の中での乱高下ですが、今回も、この-1シグマのラインを明確に下抜けることはなく、ミドルラインに向けて反発中(ボリンジャーバンドは1シグマに変更しています)。
このチャートから読み取れることは、中長期のユーロ/米ドルはすでにボトムアウトしたということ。
ただ、対米ドルよりも注目はゼロ金利固定の円が対象のユーロ/円。
過去のコラムでもご紹介させていただきましたが、フランス大統領選を無事、乗り越えた欧州に関しては、本邦からの資金流入も増えており、ユーロが底堅いことは変わらず。
【参考記事】
●メルケル発言よりも本邦勢の欧州投資がユーロに追い風! 130円突破なら135円へ(5月25日、西原宏一)
ユーロ/円の129~130円はレジスタンスが密集しているエリアでもあるので上げ渋っていますが、ユーロ/円はまだ上昇過程にあり、135円に向けて続伸中。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)
中央銀行の金融政策の相違から始まったユーロ/円の上昇相場に注目です。
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