■衆院選で自公が圧勝。台風の日に台風の目現れず
2017年10月22日(日)、第48回衆議院議員総選挙の投開票が実施されました。
公示前は、各党の政策論戦というより、どちらかと言えば新党「希望の党」の代表を務める小池・東京都知事は出馬するの?、民進党が事実上の解党に追い込まれて、民進党の議員だった人たちはどこから出るの? 文春砲を浴びた議員たちは? みたいな、ワイドショー的なネタの方が大きく話題を集めた印象もありますね。
結果、台風21号が勢力を維持したまま日本列島に接近していたこの日、小池代表の出馬はなく(しかも、投開票当日はパリに出張中)、立候補者の大多数が民進党出身者となった希望の党は台風の目になることができず、議席数を公示前勢力の57議席から49議席へ減らしました。
そのほか、公示前勢力との比較では公明党が34議席から29議席、共産党が21議席から12議席へ議席を減らしましたが、一方で、民進党の元幹事長、枝野氏が旗揚げした立憲民主党が15議席から54議席へ議席を大幅に伸ばして野党第1党になったのが印象的でした。
こうした中で、自民党が公明党と合わせて憲法改正の発議に必要な全議席(465)の3分の2(310)以上となる、312議席を獲得して勝利。自民党は追加公認した3人を含め283議席と、前回よりも定数が10議席減少する中で、公示前勢力284議席と、ほぼ変わらない議席を獲得しています。
衆議院の解散直後は、憲法改正に前向きな自民党、公明党、希望の党、日本維新の会の4党の合計で3分の2以上の議席を獲得できるかが焦点と言われた時期もあったことを考えれば、自公の圧勝と言える結果でしょう。
(※各党の獲得議席数は10月23日(月)午前時点。台風の影響で離島などの開票作業が延期されたため、2つの小選挙区と比例2議席、あわせて4議席の確定がずれ込んでいる)
ちなみに、「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」というタイトルで、ザイFX!でコラムを執筆している衆議院議員だった今井雅人さんは、今回、希望の党から出馬。比例区で見事に当選を果たし、衆議院議員として4期目を迎えることになります。
今井さんに関しては、ザイスポFX!にて別途、記事を公開していますので、詳しくはそちらをご覧ください。
【参考記事】
●FXで5000万円超儲けたザイFX!連載陣の今井雅人さんが衆院選で4回目の当選!
■米ドル/円は窓を開けて上昇。一時、114円台へ
今回の衆院選が、相場にどんな影響を与えたのか、確認してみましょう。
まず、ザイFX!のチャートを見てみると、週明け23日(月)の米ドル/円は、前週末20日(金)のNYクローズ水準よりも30銭ほど上に窓を開けて、113.80円近くで寄り付きました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 30分足)
そしてその後、いったん114円台まで上値を伸ばしたものの、そこからは伸び悩むような格好になっています。
上のザイFX!のチャートでは、週明けは午前7時の値動きからが反映されていますが、もっと早い時間から取引ができるFX会社のチャートを確認してみると、113.60円台で取引を開始しているところもありました。いずれにしても、米ドル/円は選挙結果を受けて、窓を開けて取引が始まったということになります。
■日経平均は歴代最長の15連騰へ! まだまだ続くの?
そして株式市場では、自公が勝利するとの楽観的な見方が増えつつあるなか、前週末までに過去最長記録と並ぶ14連騰中と爆上げしていた日経平均が23日(月)も続伸。本記事を公開した13時台の時点では新記録となる15連騰が達成されそうな状況となっており、2万1700円台まで上値を伸ばしました。
(出所:Bloomberg)
もともと、自公の優勢が変わらなければ選挙に向けて「株高・円安」になりやすいとの予想は多かったのですが、投開票翌日の動きをみる限りでは、米ドル/円も日経平均も、選挙が終わって「セル・ザ・ファクト」で一気に下落、といった動きにはなっていませんね。
米ドル/円は、今年の安値となった9月の107円台からジリジリと上昇して、春先以降の戻り高値が位置する114円台半ばに迫ってきました。今井さんはコラムで、この水準がひとまずの目標だと指摘していました。
(出所:Bloomberg)
【参考記事】
●「13日の金曜日」に混乱なし。ドル/円は調整完了! 選挙結果がどうあれ上値試しへ(10月19日、今井雅人)
米ドル/円は114円台回復を達成したあとは、少し上値が重くなっているようにも感じられます。海外勢が今回の日本の選挙にどのくらい注目していたのかは良くわかりませんが、海外時間に入っても円安・株高の流れが続くのか、しっかりと確認したいですね。
(ザイFX!編集部:堀之内智)
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