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今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

米ドル/円は当面レンジが継続!? 日銀が
大幅な政策変更をしないと考える理由は?

2018年07月27日(金)12:39公開 (2018年07月27日(金)12:39更新)
今井雅人

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■またしてもトランプ発言で雰囲気が一変!

トランプ米大統領の一言が、またしても市場の雰囲気を一変させました。

 7月19日(木)、トランプ米大統領は、FOMC(米連邦公開市場委員会)で金利を引き上げていることに対して、不快感を示しました。

 また、利上げの結果として米ドル高になっていることに対しても、米国が利上げを継続していることに対して、EU(欧州連合)など他の国や地域が、金利を上げていないという現状を批判しています。

 私は、「またか」という印象を受けましたが、それまで、順調に米ドル高になってきて、年初来高値に近づいていたというタイミングだったことが、大きく影響したのでしょう。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:Bloomberg)

 これを受けて、上述のとおり相場の雰囲気は一変…。米ドル/円を中心に、米ドルは急落しました。7月26日(木)のアジア市場では、米ドル/円は、一時110.59円前後まで下落しています。

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足

 上昇トレンドに乗っていこうと、ロング(=買い)を積み上げていた短期の投機筋が、一気にポジションをクローズしてきたことが、こうした動きを招いたということです。

■トレンドは一瞬で終わり、一瞬で反転したりするもの

 今回のことで、改めて教訓となったことがあります。

 それは、「トレンドは一瞬にして終わり、そして、一瞬にして反転したりするもの」であるということです。

 また、そうした状況は、今回のように、年初来高値に近づいてきたというような状況になったときに起きやすい、ということも再認識させられました。

 今後の参考として、頭に入れておきたいと思います。

■米ドル/円の110円台には実需の買い

 さて、今後の展開ですが、米ドル/円に関して言えば、110円台に入ると、本邦実需の買いがしっかり入ってきています。需給的には、大きく崩れるような相場ではありません

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足

 昨日(7月26日)は、トランプ米大統領が「7月27日(金)のGDP(国内総生産)で、何が起こるかわかっている」と発言し、良好な4-6月期米GDP・速報値の結果が改めて期待された面もあり、米ドルが少し上昇しました。

米ドルVS世界の通貨 1時間足
米ドルVS世界の通貨 1時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 1時間足

 このように、市場は要人の発言などに神経質になっているので、当面は、小さい上げ下げを繰り返す相場展開になってくると考えています。

【参考記事】
トランプ大統領を襲った想定外の出来事!? 底堅い米ドル、米ドル/円は押し目買いで!(6月28日、今井雅人)

■金利環境を考えれば、徐々に米ドル高へ戻りそう

 ただ、その中でも、考慮すべきは各国の金利差です。

 これまで当コラムでも指摘してきたとおり、米国の金利は先進国の中で、もっとも高くなっています。

主要国の政策金利の推移(2014年~、カッコ内は現在の政策金利)
主要国の政策金利の推移(2014年~、カッコ内は現在の政策金利)

※日本の政策金利は日本銀行が金融市場調節方針とする短期政策金利の値を掲載
※FRB、各国の中央銀行のデータを基にザイFX!が作成

 相場が安定してくると、こうした金利差は市場に、じわりじわりと影響を及ぼします

 今回のトランプ米大統領の発言のように、不測の事態を受けて、相場が右往左往することも多々あるかもしれませんが、結果的には、徐々に米ドル高に戻っていく展開になっていくのではないでしょうか。

【参考記事】
金利環境を見れば当面、米国が一人勝ち!? 本邦M&A活況で米ドル高・円安相場に!(6月15日、今井雅人)
貿易戦争を警戒してるのに米ドルはなぜ安定している? 米ドル/円は需給に注目!(6月22日、今井雅人)

■日銀会合に警戒も、米ドル/円は当面レンジか

波乱要因としては、7月30(月)~31日(火)に行われる日銀の金融政策決定会合です。

 今回は、これまでの金融緩和政策による副作用を、より詳細に議論するなど、「金融政策に関して何らかの変更がなされるのではないか」という観測が事前に広がっています。

【参考記事】
トランプ砲連発だが日本は射程に入らず? 日銀会合まで米ドル/円の上値は重そう…(7月23日、西原宏一&大橋ひろこ)
日銀会合で緩和政策の修正はあるのか? 米ドル/円の上値は113~115円で限定的に(7月26日、西原宏一)

金融緩和政策を柔軟にするような内容が出てくれば、円高に反応するかもしれません。

世界の通貨VS円 日足
世界の通貨VS円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足

 ただ、日本の消費者物価指数は、依然として1%に達しておらず、目標である2%には、遥かに及ばない状況にあります。

消費者物価指数・コアの推移(%・2014年~)
消費者物価指数・コアの推移(%・2014年~)

※2014年4月~2015年3月の数値は消費増税の影響を除いた数値を掲載
※総務省統計局のデータを基にザイFX!が作成

 こうした状況下で、大幅な変更は難しいのではないかと考えています。当面、米ドル/円は、110~113円でのレンジが続くと考えています。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:Bloomberg)


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