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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

2016年は2008年リーマンショックの再現か。
ドル/円は100円台まで下落の可能性も!

2015年12月25日(金)14:31公開 (2015年12月25日(金)14:31更新)
陳満咲杜

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■2016年は米ドル高の基調が続く! ただし…

 年末になったので、恒例の「来年(2016年)の展望」について話したいと思う。

 まず米ドル全体の話だが、結論から申し上げると、やはり、米ドル高の基調がなお続くと思われる。その主な根拠はドルインデックスの長期チャートにある。

ドルインデックス 月足
ドルインデックス 月足

 このチャートが示すとおりなら、今回位置する16~17年サイクルの始点は2011年5月なので(※)、6年間の上昇リズムが繰り返しされるなら、2017年半ばまで米ドル高基調が続く、という計算になる。

(※このチャートは月足終値を使って描いているので、少しずれて見えるが、最安値をつけたのは2011年5月である)

 一方、米ドル高基調とはいえ、米ドルがガンガン高値をつけていくとは限らない

 ブル(上昇)にしても、ベア(下落)にしても、トレンドの進行は往々にして一直線に進まない場合が多く、また2014年5月から今月(2015年12月)高値まで、ドルインデックスはすでに27%超の上昇幅を達成しているから、米ドル高の進行は、強くても来年(2016年)いっぱいまで続くとは想定しにくい。

 高値を更新してから上昇一服、場合によっては、大きく調整してから、またブルトレンドへ復帰、といった市況が想定される。

■米利上げ継続せず!? 中国発の「李万ショック」に備えよ!

 ファンダメンタルズでは、最も気になるのが米利上げのペースであろう。コンセンサスの4回利上げが、どれくらい現在のレートに織り込まれているかが1つの焦点であり、もう1つ、米利上げが本当に来年(2016年)継続されていくか、という問題もある。

 何しろ、米利上げを疑問視する声がウォール街でも根強い。周知のとおり、今年(2015年)はチャイナリスクでFRB(米連邦準備制度理事会)がいったん利上げを見送った経緯がある。

 換言すれば、米利上げサイクルの進行に、来年(2016年)のどこかで狂いが生じるとすれば、やはり、他ならぬチャイナリスクの鮮明化が一番の原因になり得る。来年(2016年)も中国事情に振り回される恐れが大きいかと思う。

 もっとも、今年(2015年)は2007年に似ているかと思う。

 2007年にサブプライムローンの問題が浮上し、翌年(2008年)、リーマンショックをもたらした。同じように、今年(2015年)の中国株、人民元の波乱はまだ序の口で、来年(2016年)こそ、中国発の「李万ショック」に備えるべきだ。詳細は以前、本コラムにて述べているので、ここでは繰り返さないが、現実味の高いシナリオとして意識しておきたい。

【参考記事】
2015年は中国で「李万姉妹」事件発生!?経済危機警戒、リスク資産から手を引け!(2015年8月21日、陳満咲杜)
中国ショックはまだ序の口で来年が本番!? 米ドル/円の調整は1年近く続く可能性も!(2015年8月28日、陳満咲杜)

 となると、米利上げの進展も一本調子に進まない公算が高いから、来年(2016年)のキーワード、すなわち、「利上げの米ドル高」が崩れやすいリスクがある。

■リスクオフが進めば、結局、米ドル高基調が維持される

 一方、リスクオフの進行が深ければ深いほど、逆に究極のリスク回避先として米ドルの選好度が高まるから、結局、米ドル高基調が維持される、といったシナリオが、もっとも可能性が高いでのはないかと思う。

 なぜなら、チャイナリスクが高まりにつれ、新興国通貨や資源国通貨から米ドルへの資金シフトが容易に想定されるうえ、従来からのユーロのリスク回避先としての地位が、QE(量的緩和)政策の余地や地政学リスクによって、消滅した影響が大きい。

 リーマンショックにしろ、「李万ショック」にしろ、有事の米ドル高という定律が変わらない以上、大きなトレンドとしての米ドル高が定着しやすいと思う。

 ゆえに、来年春ごろまで米ドル高が続き、ドルインデックスの高値更新後、中国次第で波乱となってくる可能性が大きい。

 そして、チャイナリスクで世界の金融市場の混乱や不安が広がっていくと、市場関係者はまず米利上げシナリオの狂いを連想し、米ドル売りを仕掛けてくるが、混乱の度合いが深まっていくと、今度は米ドルの買戻しに動く。こういった市場心理が働けば、夏場まで米ドル売り、秋口まで米ドルが買われる、といった大まかな推測が得られる

 ドルインデックスが102~103の水準に到達すれば、一応、要注意だと思う。

ドルインデックス 週足
ドルインデックス 週足

(出所:CQG)

■ユーロ/米ドルのパリティ達成はいつ?

 米ドルの対極として位置づけされるユーロについては、ドルインデックスと反対の値動きを示すはずだ。したがって、ユーロ/米ドルはいったん2015年3月安値1.0462ドルを割り込むだろう。 

ユーロ/米ドル 週足
ユーロ/米ドル 週足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 週足

 ただし、一気にパリティ(1ユーロ=1ドル)を達成できるかというと、ちょっと微妙だと思う。何しろ、ECB(欧州中央銀行)政策の先行きは不透明さが増しており、先日のドラギ・マジック不発もあって、単に政策格差のみの視点でユーロ売りは仕掛けにくくなっている。

 その上、前述のように、米ドルサイドの最大材料、すなわち、現在想定されている利上げペースが、何らかの事情(チャイナリスクの可能性が一番大きい)によって、疑問視されると、一時的にせよ、米ドル売りが仕掛けられる可能性があるから、必然的にユーロが買われる余地がある。

 よって、パリティの達成は、いったんリバウンドしたあとになるのではないだろうか。場合によっては来年(2016年)後半にならないと、なかなか現実味が増してこない可能性もある。

■米ドル/円は2015年6月高値を超えられない!?

 では、肝心の米ドル/円はどうだろうか。

 結論から申し上げると、黒田日銀総裁の「三度目の正直」(※)がある、ないにかかわらず、米ドル/円はなかなか2015年6月の高値を更新できない公算が大きく、来年(2016年)はチャイナリスクの高まりで、円が一番買われやすいのではないかとみる。 

(※編集部注:「三度目の正直」とは、黒田日銀による三度目の量的緩和策実行のことを指す)

米ドル/円 週足
米ドル/円 週足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足

 もっとも、2015年6月高値は、今まで日銀の量的緩和を織り込んできただけではなく、黒田さんの「三度目の正直」もだいぶ織り込んだ結果であった。日米金利差から見ると、仮に来年(2016年)米国の利上げが4回実施されても、2015年6月高値125.85円は正当化することができない。

 換言すれば、今年(2015年)高値までの米ドル高・円安は、米ドル高サイクルに日銀量的緩和策を加え、めいっぱい買われてきた結果だから、これからの米ドル/円はドルインデックスに連動しにくく、場合によっては乖離した値動きになりやすい。

■米ドル/円の8年サイクルが示す米ドル高トレンドの終焉

 米ドル/円における米ドル高サイクルについては、以下のチャートで示したとおりである。 

米ドル/円 月足(クリックで拡大)
米ドル/円 月足

(出所:CQG)

 トップからトップを数えると、米ドル/円の8年サイクルは歴然としている。2007年6月にてこの前のトップをつけてから、2015年6月高値をもって米ドル高トレンドがいったん終了、といったシナリオの現実味が増している。

■2016年は2008年リーマンショックの市況を再現する公算大

 歴史は常に繰り返されるのであれば、今年(2015年)のチャイナリスクが2007年のサブプライムローン問題に相当、来年(2016年)はこれが本格化し、「李万ショック」につながっていくことも十分想定されるはずだ。

 当然のように、リーマンショック級の混乱があれば、円が買い戻され、一時的にせよ、米ドルよりもリスク回避先の役割をさらに強く果たすだろう。

 この意味では、2016年の為替市場が2008年の市況を再現する公算が一番高いとみる。

 「李万ショック」で米ドル全体が買われる一方、円が急上昇し、結果的にユーロ/円などクロス円の急落をもたらす。ファンダメンタルズにおけるキーワードは米利上げペースであるが、サイクル論におけるキーワードはやはり、危機の再来ではないか。しっかり警戒しておきたい。

■米ドル/円のターニングポイントはどこ?

 では、米ドル/円はどこまで反落してくるだろうか。また、ブルトレンドが反転するポイントはどこにあるか。

 市況は流動的(「李万ショック」の度合いや日銀、三度目の量的緩和の有無)だから、言いきれないところがあるが、反転のポイントは比較的わかりやすいだろう。ズバリ、2015年8月安値115.89円(FX会社によって多少数値が違ってくる)割れである。

米ドル/円 週足
米ドル/円 月足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足

 この安値が今年(2015年)のチャイナショックを受けてつけた安値だからというだけではなく、この安値を下回れば、高値から10円超の下落が初めて達成される公算が高まるからだ。

 「初めて」とは、アベノミクスを打ち出して以来の市況を指しており、この間、1回も10円以上の下落幅を達したことがないから、達成された場合、やはり、円高局面へ大きくシフトしていくと覚悟しておきたい。

 「李万ショック」の度合い次第で、米ドル/円の押し幅も違ってくるが、2011年10月安値(戦後最安値)を起点とした全上昇波の38.2%~50%程度の押しは106.68円~100.75円を示し、大まかな目安として注目される。ちなみに、100.75円は2014年安値でもあり、同安値へ「全戻し」の可能性も排除できない。

 まとめてみると、来年(2016年)の見通しは、あまり楽観的なシナリオが描けない。あの「李万」の本拠地の情報を収集すべく、筆者は本日から現地へ行ってくる。新春に、またいろいろご報告できれば幸いである。それでは皆さん、メリークリスマス&良いお年を!

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