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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

ドル/円下落はアベクロ失敗を宣言するもの。
2016年中に100円の大台割れもあり得る!

2016年04月08日(金)14:44公開 (2016年04月08日(金)14:44更新)
陳満咲杜

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■円高は既定路線、米ドル/円は107円台に一時突入!

 桜が散り始め、米ドル/円も一時、107円台に突入してきた。 

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足

円高は既定路線なので、今さら驚き、また後解釈を繰り返す者の多くは、市場の本質をわかっていないと言わざるを得ない。円高が既定路線とわかっていたとしても、円高のスピードが速い云々と言うのも的外れである。

 こういった見方の多くは、潜在的な先入感、すなわち、「日本政府は米ドル/円の110円の大台割れを阻止する用意があり、また、マーケットはそれを危惧するので、110円以下のレベルに米ドル/円を推し進められないのでは」といった、根拠の薄い憶測に基づいていたからだ。

 つまるところ、マーケット自体の内部構造に専念できれば、巷の俗論やいわゆる市場関係者たちの憶測に流されずにすむ。その上、最近の米ドル/円の内部構造や値動きは、どちらかというとわかりやすいものだと思われ、トレンドフォローをやっていけば、利益を得やすい時期だと考えられる。

■円高を予測できた市場の内部構造の見方とは?

 市場の内部構造を測るには、別に複雑なアプローチをする必要はなく、ごく基本的な見方さえ身につければ、本来、誰でも結論を出せるはずだ。以下は筆者が月曜日朝(4月4日)に書いたレポートだが、今週(4月4日~)の値動きをシンプルな見方でとらえられたのでは…と思う。

 同レポートをもって説明したいことは以下の2点に集約される。

1.円高の構造がしっかりしており、また、円高トレンドにおける途中のスピード調整は長かったものの、モメンタムが弱かったので、円高トレンドが強く推進される公算が大きかった。

2110円の節目における政府の防衛はあり得ず、この節目を割れれば、トレンドが一段と強まる予想が得られやすかったこと。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:CQG)

アナリシス:先週反落、2月安値から形成された円高トレンドにおけるスピード調整、すでに終盤に入っていることを示唆。米イエレン議長のハト派発言が材料視され、米雇用統計が好調でも利上げ後ずれの観測が強まり、先週ドル売りの基調を強めた。従って、円高トレンドへの復帰、何等かの材料なしでは更に後ずれの可能性が低下しており、今週も続落の公算が大きいでしょう。もっとも、昨年8月安値115.90割れをもって日足における「ヘッド&ショルダーズ」といったフォーメーション成立をもたらし、同ターゲットの105/106円台へ進む、といったメイントレンドは不変、従って、先々週安値の111.20割れがあれば、保ち合い状況の打破が見られ、一段と下値余地を拓きやすいでしょう。更に、中期スパンにおいてのメインレジスタンスゾーン、115関門~115円後半に位置、2月安値を起点とした保ち合い、同メイン抵抗をタッチできずにいったことに鑑み、スピード調整とはいえ、実に弱かったことが示唆される。3月29日罫線は「リバーサル」のサインを点灯、足許の安値打診につながり、同日高値113.80も2月安値をから引かれたトライアングルの抵抗ラインと合致しただけに、ベアトレンドへ復帰した、といった判断の蓋然性も一段と高まる。先週の指摘通り、再度ドル売り/円買い好機だったことに鑑み、出遅れるショート筋が今週参入してこよう。110円台後半~111円台前半におけるサポートゾーン、2月~3月にかけて形成され、同サポートゾーンを割り込むまでなお保ち合いの可能性が示唆されるものの、割り込めば下落トレンドの加速につながる。110は心理大台、また日銀介入云々の思惑もあるが、國際協議なしでは介入があっても更なる円買いを招くだけで、現時点あり得ないと見る。従って、今週110大台割れを覚悟、105/106といったメインターゲットへ一段と近づく公算。

予想レンジ:107.60~112.00、           メインストラテジー:戻り売り

■アベクロ円安は過去の円安局面と比べて大したことがない

日本ほど自国通貨安を渇望している国はない。しかし、皮肉なのが、1970年代から2011年までの長期相場を見る限り、いわゆる本格的な円安相場の時代はなかったと言える。

米ドル/円 四半期(3カ月)足
米ドル/円 3カ月足

(出所:CQG)

 換言すれば、円安の時期があっても、その前の円高の時期や値幅に比べると調整的な変動に留まっていたから、結局は一貫して雄大な円高トレンドが継続されてきたと言える。

 2011年10月末からまた円安の時期に入り、アベクロ(アベノミクスと日銀の異次元量的緩和)があって、2015年6月には126円の大台手前まで米ドル高・円安がもたらされたが、長期スパンにおける位置づけはなお不透明である。

 何しろ、2011年の米ドルの最安値から見た上昇幅は確かに大きかったものの、過去の米ドル高・円安の時期における値幅と比べれば、それは必ずしも大きいとは言えない。その上、何より指摘しておきたいのは、いわゆるアベクロ政策が円売りに大きく作用していたことだ。

 換言すれば、異次元緩和といった、前人未踏の領域に踏み込んだ日銀政策(アベノミクスは事実上金融政策のみ効果があったので、日銀政策のみを論じても問題ないかと思う)が効いたからこそ、2015年夏まで米ドル高・円安が大きく推進したわけだが、政策が大規模であった割りには2015年高値までの米ドル高・円安はそれほどのものでなく、自慢できるほどの成果ではなかったと言える。

米ドル/円 四半期(3カ月)足
米ドル/円 四半期(3カ月)足

(出所:CQG)

■現在のドル/円の値動きはアベクロの失敗を宣言するもの

 ましてや、現在は米ドル/円レートが逆戻りし、日銀が今年(2016年)1月末に打ち出したマイナス金利政策ばかりか、2014年10月末に打ち出した追加緩和の「成績」をも帳消しになってしまった。これはアベクロがついに市場の審判を受け、正式に失敗したと宣言されたようなものだ。

 ゆえに、円高時代がもう終わり、これからは本格的な円安時代に入っていくと自信をもって言えなくなるだろう。何を隠そう、筆者もその1人だ。2011年以降、円安時代に突入したのでは…と考えていたが、現在は動揺し、もしかしたら円高の流れがまだ続くのでは…と思うようになっている。

 マーケット自体の内部構造以外に、ファンダメンタルズ上の理由があるとしたら、何よりもアベクロの失敗や終焉が挙げられる。

 ここまで日銀がこんなに「努力」してきたにもかかわらず、インフレターゲットの達成は一向に現実味が増してこなかった。したがって、これからいくら「努力」しても効かないし、場合によっては今年(2016年)1月末のマイナス金利付きQQE(量的・質的緩和策)導入時のように、政策の逆噴射を招くリスクが大きい。

 そもそも、日本は高齢化が進んでおり、マイナス金利政策にふさわしい土壌がないと言える。マイナス金利の拡大や維持があればあるほど、これからもメリットはなく、デメリットばかりを招くだろう。

 日銀の完全なる敗北、そして、黒田さんの「引責」もそう遠くないのでは…と思うほど、マーケットはアベクロの終わりの始まりを示唆していると思う。

 したがって、現在の米ドル/円の値動きは、投機筋云々のミクロ的な視点ではなく、アベクロの失敗を宣言するものととらえれば、一段とわかりやすく、また、納得できるだろう。

 この意味では、相場の逆戻り、すなわち、円高・株安はなお途上で、中国を始め、世界金融市場が不安定になれば、米ドル/円は今年(2016年)中に、100円の心理的大台割れもあり得る。

米ドル/円 週足
米ドル/円 週足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足

 この場合、経済のみでなく、政局の変化にもつながっていくと思われるから、2016年は波乱の年だと再度強調しておきたい。

■105~106円達成はいったん後ずれの可能性も

 最後に、筆者は前回までのコラムで、桜が咲くころ、米ドル/円の105~106円という目標達成を予測していたが、現在、桜はすでに散り始めているから、同ターゲットには近づいたものの、まだ達成されていない以上、いったん後ずれの可能性があることを記しておきたい。

【参考記事】
米株上昇と金&円上昇、ニセモノはどっち? 桜満開のころ、ドル/円は105~106円へ!(2016年3月18日、陳満咲杜)
桜は咲いたが、米ドル/円はまだ112円台。そのこと自体がエイプリルフールだ(2016年4月1日、陳満咲杜)

 要するに、達成されるなら早く、そうでなければ達成のタイミングがやや遅れる、ということである。詳細はまた次回に。

(AM11:15執筆)

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