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米雇用統計の結果に関わらず、なぜドルは
反転上昇すると推測できるのか?

2016年05月06日(金)東京時間 17:01

■ドルインデックスに出た相場反転の2つのサインとは?

 相場は一進一退を続けている。ドルインデックスは5月2日(月)に2015年8月安値92.62を割り込み、5月3日(火)には91.91の安値を記録したものの、同日中に大きく反騰、93の節目以上の終値となって、下落一服の兆しを見せ始めた。

 この見方は2つのシグナルをもって判断できる。

 まず、5月3日(火)のチャートは「たくり線」(※1)の形を示している。

 そして、同日安値は2015年1月以来の安値だったが、そこから一転上昇して大引けとなり、前日(2日)の高値を上回ったので、「リバーサル・ロー」(※)、つまり、安値をもって反転したというサインも点灯していた。

(※1編集部注:「たくり線」とはざっくり言えば、相場の下落局面が続いたあとに出た下ヒゲの長いローソク足のこと。陰線が続いたあとに出ること、下窓を開けて寄りつくことなどを条件とする場合もある)

(※2編集部注:「リバーサル・ロー」とは下落局面において、新安値をつけたあと反転し、前日の終値または高値より高く引けること) 

ドルインデックス 日足
ドルインデックス 日足

(出所:CQG)

 次に、2015年8月の安値がドルインデックスにとって重要なサポートポイントとなっている。今回は同ポイントをいったん割り込み、そこからまた回復してきたから、今後もこれが守られれば、今週の安値打診自体が「フォールス・ブレイクアウト」(※)、すなわち、下放れがダマシであった可能性を示唆している。

(※編集部注:「フォールス・ブレイクアウト」とは重要なサポートラインもしくはレジスタランスラインをいったんは突破したものの、結局は元に戻って、ブレイクが失敗に終わったことを意味する) 

ドルインデックス 週足
ドルインデックス 週足

(出所:CQG)

■米雇用統計の結果とドルインデックス、5つのパターン

 これらのサインが正しければ、今晩(5月6日)の米雇用統計が米ドルの反転をもたらすことが推測される。

 実際、事前に米雇用統計を予測できる方はこの世にいないから、米雇用統計自体の良し悪しは推測できない。しかし、相場の反応はあらかじめ予想でき、それは大まかに以下のパターンが想定される。

(1)米雇用統計が良く、ドルインデックスが上昇
(2)米雇用統計が悪く、ドルインデックスが反落してくるが、安値を更新せずにすむ
(3)米雇用統計が良く、ドルインデックスが下落
(4)米雇用統計が悪く、ドルインデックスが上昇
(5)米雇用統計が悪く、ドルインデックスが安値更新

もっとも想定されやすいのが、(1)と(2)のパターンではないかと思う。(3)と(4)のパターンはいわゆる完全な逆行だが、可能性は低い気がする。

 なぜなら、米追加利上げ観測がなおくすぶるなかにあって、FRB(米連邦準備制度理事会)のタカ派でも利上げは経済指標次第と強調しているからだ。米雇用統計の良し悪しが結果的に追加利上げの有無を決定できなくても、目先の市場センチメントを左右する効果は十分発揮できる。

 そして、(5)の可能性は否定できないものの、前述のテクニカルのシグナルに鑑み、確率は低下しているのでは…と思う。

■豪州の利下げは市場にとってサプライズだったようだが…

 米ドル全体の底打ちは、外貨ごとに違うサインとなって現れているが、そのなかで足元では、豪ドル/米ドルの反転サインがもっとも強烈であろう。豪州の「予想外」の利下げにマーケットはややサプライズをもって反応した様子で、目先、豪ドルの反落トレンドが鮮明である。

 豪ドル利下げの可能性を筆者はずっと指摘してきた。

 その理由はほかならぬ、豪ドルの大幅リバウンドが進行していたからだ。RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])は豪ドル安を隠さず強く志向してきたから、豪ドル高の進行だけでも利下げの根拠になるわけで、わかりやすかったとも言える。

【参考記事】
豪中銀は秘かにチャイナショックを警戒!?米利上げ=米ドル/円上昇とは限らない!(2015年8月7日、陳満咲杜)

 では、豪ドルの頭打ちのサイン、どう見るべきか。現執筆時点、すでに0.74ドルの節目割れまで豪ドル安が進行しているから、解釈の後づけにならないよう、5月3日(火)のレポートを公開しておきたい。原文は以下のとおり。 

豪ドル/米ドル 日足
豪ドル/米ドル 日足

(出所:CQG)

豪ドルの反騰、終焉したのか

豪州の利下げ、我々の想定通りである。もっとも、豪ドル高が豪州利下げにつながるといったロジックだったので、利上げが豪ドル高に終止符を打ってもおかしくなかろう。

但し、検証する場合、ファンダ上の材料だけでは不十分だ。テクニカルの視点では、日足を見る限り、そろそろ条件が揃える可能性が出ているから、要注意だ。

上のチャートが示すように、本日の罫線、このまま大引けした場合、リバーサル&フェイクセットアップのサインを点灯しよう。また、1-2-3の法則で測る場合、4月27日安値0.7546割れがあれば、条件3を満たすと思われ、基準を厳しくしても、同7日安値0.7490割れがあれば、条件を成立させるでしょう。つまり、トレンドが反転される、ということである。この場合、日足における「三尊型」の成立も明白になってこよう。

オシレーター系の多くはブル変動レンジからベア変動レンジにシフトしているところも気になるポイントだ。いずれにせよ、利下げという材料よりもテクニカルのポイントに注意すれば、豪ドルの動きをより解明できるでしょう。

 上記のように、0.7490ドルは5月3日(火)の執筆時点で、まだ割れていなかったが、同日すぐに割り込んだので、これが豪ドルの反転を決定づけた。

 その他の主要通貨ペアでは、英ポンド/米ドルは…

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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」
陳満咲杜 (ちん・まさと)

中国・上海生まれ。1992年に所持金5000円で来日し、日本語学校を経て日本大学経済学部に入学。生活費と学費をアルバイトでまかないながら在学中より株式投資を開始。大学卒業後、中国情報専門紙の株式担当記者を経て黎明期のFX業界へ。香港や米国の金融機関で研修を重ね、トレーダーとしての経験を積む。GCAエフエックスバンク マネージングディレクター、イーストヒルジャパン チーフアナリストを経て独立。現在は陳アソシエイツ代表/アナリストとして活躍している。日本テクニカルアナリスト協会検定会員。最新刊は『勤勉で勉強家の日本人がFXで勝てない理由』(ダイヤモンド社)、その他、『相場の宿命 2012年まで株を買ってはいけない!』、『CFDトレーディングの真実』『FXトレーディングの真実』(以上、扶桑社)、『着物トレーダーを卒業せよ 陳満咲杜の為替の真実』(青月社)などの著書がある。

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