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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

予想どおりドル/円は109円へ。ここからは
調整局面。次は112円、来年は115円へ!

2016年11月17日(木)16:51公開 (2016年11月17日(木)16:51更新)
西原宏一

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■トランポノミクス期待で米ドル/円は109円台到達

 みなさん、こんにちは。

 トランポノミクス(※)への期待から、上昇トレンドが鮮明となった米ドル/円は今週(11月14日~)も続伸。

(※編集部注:「トランポノミクス」とは、次期米大統領のドナルド・トランプ氏とエコノミクス(経済学)を合わせた造語で、トランプ氏が掲げる経済政策のこと)

11月16日(水)には一時、110.00円に迫る109.76円まで急騰。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足

 これで、当コラムで紹介してきた米ドル/円の目標値、109円台に到達。

【参考記事】
レーガノミクス再来か。トランプ次期大統領のトランポノミクスのもと、ドル/円は109円へ(11月10日、西原宏一)
原油上昇と金反落が米ドル/円をサポート。105円突破すれば109円台へ上昇濃厚!(10月13日、西原宏一)

 109円台では私も含め、2カ月近く米ドル/円のロングをキープしていたヘッジファンド勢も、いっせいに利益確定の米ドル売りに出て、米ドル/円は上げ渋り。

 本稿執筆時点では再び108円台後半に反落しています。

 今週(11月14日~)の急騰で、9月の日銀金融政策決定会合から始まった米ドル/円の上昇トレンドは、トランポノミクスを材料に109円台まで加速し、ひと相場終了。

1週間で約9円近く急騰した米ドル/円ですので、いったん調整局面へ。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:CQG)

■米ドル/円は調整後、112円がメド。来年には115円も

 ここで、米ドル/円の動きをチャートで確認してみます。

 まず、今年(2016年)の米ドル/円の上値を阻んでいた2つのレジスタンスは超えています。

(1)75日移動平均線=102.88円

(2)日足・一目均衡表の雲の上限=102.45円

 そして、200日移動平均線(=106.47円)もブレイク。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:CQG)

 さらには、200週移動平均線(=108.47円)も上抜きつつあり、テクニカル分析の観点からすれば、劇的に円安方向に改善しています。

米ドル/円 週足
米ドル/円 週足

(出所:CQG)

 では上値のメドですが、2015年の米ドル/円の高値である125.86円と、今年(2016年)の米ドル/円の安値である99.02円の38.2%戻しが109.27円。

 これが戻しの最初のメドとなり、今週(11月14日~)、まずこのレベルに到達。

調整後の次の高値メドは50%戻しとなる112.44円。

 そして、来年(2017年)になるのでしょうが、61.8%戻しの115円。

米ドル/円 週足
米ドル/円 週足

(出所:CQG)

 米ドル/円は調整局面に入り、いったんもみ合うものの、上昇トレンドは変わらず。

■トランポノミクス相場は米ドル高が特徴

 今回のトランポノミクス相場は、リスクオン/オフの文脈ではなく、米ドル高相場というのが特徴。

【参考記事】
トランポノミクスが「株高・円安」を促進!? ドル/円は押し目買い継続、次は109円へ!(11月14日、西原宏一&大橋ひろこ)

 そのため、豪ドルなどの資源国通貨も対米ドルでは下落過程に。

米ドルVS世界の通貨 日足
米ドルVS世界の通貨 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足

■ユーロ/米ドルはパリティを目指す展開に

 注目はユーロ/米ドル。

 今年(2016年)のユーロは、英ポンドに主役を譲り、大きな動きがないまま年末を迎えようとしていました。

 ところが、米大統領選をきっかけにユーロ/米ドルも下落開始。

 以下は、当コラムで何度かご紹介したユーロ/米ドルの月足チャートです。

【参考記事】
長期もみ合いのユーロに反発の兆しアリ! 米利上げ観測後退による米ドル安がカギに(8月18日、西原宏一)

 この月足の超長期サポートラインがずっとユーロ/米ドルをサポートしてきましたが、このラインが1.06ドル台ミドルに位置しており、ユーロ/米ドルも神経質な展開に。

ユーロ/米ドル 月足
ユーロ/米ドル 月足

(出所:CQG)

 昨年(2015年)は多くのマーケット参加者がユーロ/米ドルのパリティ(=1.0000ドル)割れを期待して、ユーロ/米ドル相場は盛り上がりを見せていました。

 ただ、結果として、思惑ははずれ、ユーロ/米ドルは大きく反発。

 そして、今年(2016年)は主役を英ポンドに譲ることに…。

【参考記事】
Brexitの影響により1年で約67円暴落したポンド/円が反発! 米ドル/円への影響は?(9月8日、西原宏一)

 今回は、そうした思惑がまったく高まらない中、ユーロ/米ドルは静かに下落している相場となっているので要注意。ユーロ/米ドルはパリティを目指す展開になりそうです。

 1週間で一気に109円台まで急騰し、いったんもみ合いに入るも上昇トレンド継続の米ドル/円、そして、ユーロ/米ドルの動向に注目です。


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