西原 週末は西日本を中心にした豪雨で甚大な被害が出ています。読者の中にも被災された方がいらっしゃるかもしれません。お見舞い申し上げます。
ひろこ 私も週末にセミナーの予定があり広島入りしていたのですが、セミナーは中止に。東京へ戻るのもひと苦労でした。被災されました皆様へお見舞い申し上げます。
■米中の関税発動でバイ・ザ・ファクトへ
市場に目を移すと、7月6日(金)にトランプ政権が対中関税を発動し、中国も即座に同額の報復関税を発表。その後は、アク抜けなのか、反発するような動きも見られました。
【参考記事】
●今はローリング・ベア相場。追加関税発動後に出尽くしでリスクオンを期待しすぎてはダメ(7月5日、西原宏一)
事前に予告されていたことなので、「バイ・ザ・ファクト」で買い戻しとなったのでしょう。
トランプ政権は、8月にも第2弾の関税措置の発動を検討していると報じられています。
それに対して、中国も報復関税で対抗するのでしょうし、今後も同じようなイベントが起こりそうですね。
■ドルインデックスに反転下落の兆し
米中貿易摩擦は、今後も混迷を深めていくのでしょうが、関税合戦となると、分があるのは貿易赤字を抱えたアメリカです。
米中貿易摩擦は今後も混迷を深めそうだが、関税合戦となると、分があるのは貿易赤字を抱えたアメリカか… (C)Bloomberg/Getty Images
そうなると、中国関連のアセットは売りですか?
数日単位の話だと調整もあるのでしょうが、米中貿易摩擦が続く限りは、そうなるのでしょう。
対EU(欧州連合)では、トランプ政権がEUの自動車に対して20%の関税を課す方針を示していましたが、ここにきてお互いの関税をゼロに、という提案も出ているようですね。
まだ提案段階なのでなんともいえないですが、チャート的には、ユーロ/米ドルの買い戻しが進みそうではありますね。
(出所:Bloomberg)
特にドルインデックスの週足は、2017年高値と2018年2月安値の半値戻し付近で頭を抑えられ、いったん下落しそうなチャートとなっています。
米ドル安ということは、ユーロ/米ドルの上昇となるのでしょう。
(出所:Bloomberg)
■ドイツ銀行の大株主に起きた不審死
ユーロ圏では、イタリアやドイツの連立政権への不安が収まり、ドイツ銀行の株価も持ち直してきました。
ドイツ銀行の筆頭株主であり、資産売却を進めていた海航集団のナンバー2が、先週(7月2日~)、転落死するという不審な出来事はありましたが、積み上がっていたネガティブ要因は、少しずつ払拭されつつあります。
(出所:Bloomberg)
それとともに、大きいのが米金利。10年債利回りは、今年(2018年)、何度も言及してきた30年来のレジスタンスラインをブレイクし、「3.5%をめざすのでは」との期待が高まって、米国債のショートが積み上がりました。
ところが、10年債利回りは5月の3.13%台でトップアウトし、現在は2.84%近辺。米国債ショートは積み上がったままですから、米金利は、さらに下がる可能性が高いと考えています。
(出所:Bloomberg)
■ユーロ/米ドルの押し目買い方針
米独金利差の縮小は、ユーロ/米ドルの上昇要因となりますね。今週(7月9日~)、12日(木)は、米CPI(消費者物価指数)の発表が控えています。
5月のCPIは6年ぶりの強い数字となりましたが、今回も強い数字が出るようだと、米ドルが買われるかもしれないですね。
(出所:Bloomberg)
あとは、カナダで政策金利が、7月11日(水)に発表されます。利上げの織り込みは86%。利上げする可能性が高そうです。
先週(7月2日~)、6日(金)は加ドルや豪ドルなど資源国通貨が買い戻されました。
コモディティ市況も、金(ゴールド)やプラチナ、銅などのチャートでは売られ過ぎ感が強まっており、短期的に戻りを入れそうです。
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
となると、相対的には米ドル安でしょうし、ユーロとの相関性が深いプラチナは、セリングクライマックス的な急落から反発しています。プラチナの反発は、ユーロ高を示唆しているのかもしれません。
(出所:Bloomberg)
そうですね。中でもユーロ/米ドルでは、1.15ドルを割り込めず、トリプルボトムを形成した形に。
(出所:Bloomberg)
ユーロ/米ドルが下落する場面があれば、押し目を買っていきたいと思います。
(構成/ミドルマン・高城泰)
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