■米ドル/円は約半年ぶりの高値へ!
米ドル/円が、とうとう上に抜けて、約半年ぶりの高値を更新しています。

(出所:Bloomberg)
その他の通貨に対しても、全体的に円安が進行しています。
【参考記事】
●狭すぎるレンジで膠着していた米ドル/円にまもなくブレイクしそうなサインを発見!(7月10日、バカラ村氏)
●米ドル/円は3年続いたレジスタンスラインをブレイクする準備完了! 買うなら今でしょ!?(7月6日、陳満咲杜)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
■米短期筋と実需の攻防
この間の、流れを整理してみたいと思います。
米国と中国の貿易摩擦ですが、今のところ、予定どおりの措置が実施されています。
そして、7月11日(水)に、米国が中国に対して追加関税措置(10%の関税を賦課する2000億ドル相当の中国製品リスト)を発表したあとは、日経平均も大幅に下落し、円高となりました。
米ドル/円も、一時110.77円まで米ドル安・円高になりました。
このときは、いつものように米短期筋が仕掛けて、円高に持っていったのですが、そこに日本の実需の買いが立ちはだかって、下値を抑えてしまいました。
この状況を見て、米短期筋がすぐに、米ドル/円を買い戻すという攻防が繰り広げられました。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)
■投資家が通商問題を懸念材料ではないと判断!?
前回のコラムで整理しましたが、そもそも、米ドルの金利が先進国の中でもっとも高いという、米ドル高に向かいやすい状況の中で、トランプ米大統領の通商政策が、世界中の貿易縮小に繋がるのではないかという不安が広がりました。
【参考記事】
●中国はトランプ大統領に徹底抗戦の構え! 市場が注目する、その他2つのポイントとは?(7月5日、今井雅人)
しかし、実際に措置が実行されるにつれ、当面のリスクは低そうだと、投資家が感じ始めました。
この通商交渉の行方が、現在の市場での唯一の不安材料だったので、それがそれほど懸念材料ではないと判断した途端に、投資家による米ドル買い・円売りが、進行し始めたということでしょう。
■M&A絡みの買いも米ドル/円の下支えに
さらに、これも前回のコラムで整理したように、日本企業によるM&A絡みの米ドル/円の買いが継続的に出てきており、常に、買い注文が下サイドに並んでいることも、米ドル/円の下値をしっかりと支えています。
【参考記事】
●中国はトランプ大統領に徹底抗戦の構え! 市場が注目する、その他2つのポイントとは?(7月5日、今井雅人)
●トランプ大統領を襲った想定外の出来事!? 底堅い米ドル、米ドル/円は押し目買いで!(6月28日、今井雅人)
●金利環境を見れば当面、米国が一人勝ち!? 本邦M&A活況で米ドル高・円安相場に!(6月15日、今井雅人)
そして、それが市場の需給を歪めて、徐々に円安方向に向かわせているということだと思います。
■今年の高値を目指す展開に
また、テクニカル的なことを言えば、ここのところの高値であった、5月21日(月)の高値111.40円を上に抜けたことで、トレンドが変わったと考えた投機筋が、一斉に米ドル買いを仕掛けてきたということです。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
市場が、本来のファンダメンタルズに沿った、ポジションメイキングをしてきているということだと思っています。
米ドル/円も、しっかりと上に抜けてきたので、市場関係者も取りあえず、行けるところまでは、流れを作っていこうとするでしょう。
今年(2018年)の高値である、1月8日(月)の高値113.388円を目指す動きとなってくる可能性が、かなり高くなってきました。

(出所:Bloomberg)
■投機筋にはまだ円売り余力がありそう
IMM(国際通貨先物市場)のポジション動向を見ても、ここのところ、また投機筋の米ドル/円のロング(=買い)ポジション、つまり、米ドルに対する円の売り越しが増えてきてはいるものの、ピークに比べれば、まだ買い(=円売り)の余地があることを示しています。

※CFTCのデータを基にザイFX!が作成
そうした状況を考慮しても、もう少し、米ドル/円には伸びしろがあるのではないかと考えています。
その他の通貨に関しても、基本的に、米ドル高傾向が続くのではないかと思います。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
■米ドル/円は押し目があれば確実に買いたい
米ドル/円に特殊な買い、つまり、米ドル買い・円売りが入っている分、米ドル/円での米ドル高がもっとも強くなり、結果として、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)でも若干、円安が進むというイメージではないかと思います。
したがって、当面は、円売り戦略を継続。米ドル/円に関しては、押し目があれば確実に買っていく意志を、しっかり持っておきたいと思っています。
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