■仏大統領選、マクロン氏の決選投票進出でユーロ急騰!
終盤に極左候補が台頭し、「極右vs極左」の構図が懸念されたフランス大統領選ですが、4月23日(日)の第1回投票で、極右のルペンさんと本命のマクロンさんが決選投票に進むことになりました。
これを受けて、24日(月)のユーロは大きな窓を開けて上昇。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロVS世界の通貨 1時間足)
米ドル/円も110円台に乗せました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
米ドル/円は、これで底打ちと考えていいのでしょうか?
決選投票は5月7日(日)ですから安心はできませんが、一騎打ちとなればマクロンの勝利は堅いようです。
残る懸念は4月25日(火)の、北朝鮮による朝鮮人民軍創設85周年パレード。地政学リスクに警戒する必要はありますが、米ドル/円は底打ちが近づいている感じはありますね。
米ドル/円はBrexit(英国のEU離脱)安値から引いたフィボナッチの半値押しが108.80円。ちょうどこの付近で反発しています。
61.8%まで押してしまうと118円が遠ざかるイメージでしたが、50%押しで切り返したことからも、底固めする時期になってきたのかなと思います。
(出所:Bloomberg)
■対ユーロ、対英ポンドでクロス円が反騰へ
注目したいのがクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)。
ユーロ/円はBrexit安値からのフィボナッチの61.8%押しで反転、英ポンド/円も同様に50%押しで反転。クロス円が一斉に反転し始めています。
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
英ポンド/円はチャート的にもウェッジを上抜け、4月24日(月)早朝の上昇で日足一目均衡表の雲も上抜けしており、非常に強いチャートですよね。
(出所:Bloomberg)
僕の見ているチャートでも、週足で反転のシグナルが出ています。英ポンド反騰のきっかけとなったのは、メイ英首相による突然の解散総選挙宣言でした。
宣言当日の4月18日(火)から、英ポンド/円では本邦勢によるヘッジ外しの買いが出ています。
【参考記事】
●メイ英首相の決断がゲームチェンジャーに? 英ポンドは対豪ドルやNZドルの動きに注目(4月20日、西原宏一)
米ドル/円については110円割れの直前に、同様にヘッジ外しの動きが出ましたが、北朝鮮やフランスのリスクを警戒してタイミングを遅らせていたようです。
今後、米ドル/円でもヘッジを外す動きが再び活発になるかもしれません。
■税制改革案発表のセル・ザ・ファクトを警戒!
今週(4月24日~)は25日(火)の朝鮮人民軍創設85周年パレードのほか、26日(水)にはトランプ大統領が税制改革案を発表、27日(木)は日銀とECB(欧州中央銀行)の会合が控えています。
トランプの税制改革については、当選直後から期待が高く米ドル高要因のひとつとなっていたこと、また、議会を通過させられるかどうかの懸念が残ることなどから、実際に発表されれば「セル・ザ・ファクト」となる可能性もありそう。
【参考記事】
●米利上げ後の米ドル安継続、米ドル/円は110円割れへ。下値模索はなぜまだ続く?(3月23日、西原宏一)
日銀とECBですが、政策変更の予想はありません。トランプ政権の姿勢を見ると、日銀も積極的な円安政策は打ち出せないでしょう。
28日(金)は米国の暫定予算が期限切れ。これに伴う政府機関の閉鎖が懸念されています。
今はあまり報道されていませんが、注目されてくると米ドル安要因となるかもしれませんね。
【参考記事】
●自由の女神閉鎖で観光客の怒り買う米国。米ドル/円97円台は買い方針だけど…(2013年10月3日、今井雅人)
4月の相場を振り返ると、シリアへのミサイル発射、北朝鮮、フランス選挙とリスクオフイベント、円高材料が尽きませんでした。
北朝鮮についてはまだ通過していませんが、ひとつひとつ乗り越えながら米ドル/円は底固めをしていくイメージです。ただ、118円を目指すような一方的な円安はまだ想定していませんし、4月24日(月)の窓を埋めるような動きもあるかもしれませんね。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
■米ドル/円、英ポンド/円の押し目買いで
今週はチャートの形から見ると、英ポンド/円の買いがおもしろそうですね。
IMM(国際通貨先物市場)でも、英ポンド売りのポジションはBrexit直後以上の大きさ。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
膨らんだ英ポンド売りポジションの解消が始まれば、英ポンド高圧力となります。
Brexitがテーマとなり始めた2015年末あたりから、英ポンド/円の急落が米ドル/円の下落をリードする場面も目立ちました。英ポンドが底入れしてくると、米ドル/円での円高材料がひとつ解消されます。
米ドル/円のロングポジションはメルマガ「FXトレード戦略指令!」でも書いたように、4月24日(月)朝の高値で一部、利益確定しましたが、米ドル/円、それに英ポンド/円も、押し目を待って買っていきたいですね。
(構成/ミドルマン・高城泰)
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