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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

今週はクロス円の押し目買い!? 強い上海株!
日米交渉で円高へ…というシナリオに修正?

2019年03月04日(月)16:58公開 (2019年03月04日(月)16:58更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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■上海株は3000の大台を回復。戻しの強さは想定以上!

株も為替も強いですね。週末になって米中貿易協議の合意が近いと、ウォール・ストリート・ジャーナルやブルームバーグが相次いで報じた影響でしょうか。

特に強いのが上海株。昨年(2018年)、節目の3000を割ってから2500割れまで一方通行で下げていきましたが、今日は3000の大台を回復


昨年(2018年)1月高値と今年(2019年)1月安値で引いたフィボナッチの半値が3014前後ですが、今日のザラ場でここも超えてきました。


戻しの強さは想定以上。極端に悪化していたセンチメントが巻き戻しているだけだとは思うのですが。

上海総合指数 日足
上海総合指数 日足

(出所:Bloomberg)

買い戻しの動きや中国政府によるバラマキ政策、それに先々週(2月18日~)お伝えしたMSCI指数への組み入れ比率引き上げの詳細が出てきたことなども後押ししているようです。


米中首脳会談が3月27日(水)頃に開催との報道も出てきました。中国の実体経済が改善して中国株が買われているわけではないようですが、リスクオン的な相場は続くのでしょうか。

【参考記事】
米中合意が近づき上海株が強烈に反発! 対米ドルでの豪ドル買いがいいワケは?(2月18日、西原宏一&大橋ひろこ)

合意への期待で買われている相場ですから、期待が続く間は買われるのでしょう。


実際に合意がなされれば利食い売りで「セル・ザ・ファクト」となる可能性がありますが、米中首脳会談が3月27日(水)なら、それを考えるのは、まだ早いかもしれません。

■本邦機関投資家の買い遅れが目立っている

明日3月5日(火)から全人代(全国人民代表大会)が始まります。


注目は経済成長率の目標。これまで6.5%前後でしたが今年(2019年)は引き下げの見通し。6%との予想もありますし、「6%から6.5%」といったようにレンジ目標にするのではとの記事も出ています。

上海市場の反応に注目ですね。


米ドル/円の年初からの動きを振り返ると、1月3日(木)のフラッシュクラッシュで104円台まで下落したのを見て、本邦機関投資家は、まず、107.50円で買い注文を持ち込んできました。


ところが、買えないままに米ドル/円が下値を切り上げてしまったので、オーダーを108円、108.50円と切り上げていき、先々週(2月18日~)には110円台まで上がってきた。買い遅れが目立っています

【参考記事】
フラッシュ・クラッシュで米ドル/円が暴落! 株の下落を伴えば、100円割れの可能性も!?(1月7日、西原宏一&大橋ひろこ)
フラッシュ・クラッシュの真犯人はトルコリラ!? クラッシュ時もスプレッドが優秀なFX会社は?
フラッシュクラッシュのロスカット等未収金は過去3番目の規模! 25%がくりっく365から発生

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:Bloomberg)

2月28日(木)に発表されたアメリカのGDP(国内総生産)は、予想よりも強い数字でした。米10年債利回りも三角保ち合い上抜けのチャートとなっています。こうしたことも、米ドル/円を下支えしているようですね。

米10年債利回り 日足
米10年債利回り 日足

(出所:Bloomberg)

米中貿易交渉が終われば日米交渉が始まり、為替条項で円高へというのがコンセンサスでしたが、これで落ちないということであれば、シナリオの修正が必要なのでしょう。


米中合意期待でリスクアセット(リスク資産)を買い戻す動きが続くのなら、米ドル/円は底堅く、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)を中心に円安となるのかもしれません。

世界の通貨VS円 日足
世界の通貨VS円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足

■RBA、BOC、ECBの中銀会合が連日続く

今週(3月4日~)は中央銀行イベントが多いですね。


3月5日(火)がRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])、3月6日(水)がBOC(カナダ銀行[カナダの中央銀行])、3月7日(木)がECB(欧州中央銀行)と中銀会合が連日続きます。


RBAは引き締めから中立へと、スタンスが変わりつつありますね

【参考記事】
利上げ予測が霧散した豪ドルは反落開始! 呼応して、米ドル/円もじわじわと下落か(2月7日、西原宏一)

RBAの利上げの織り込みはゼロですし、年末に向けて、むしろ利下げの織り込み度が高まっています

カナダドルは唯一の利上げ通貨として買われていましたが、3月1日(金)発表のカナダGDPが弱かったことからBOCの利上げ見通しが一気に後退しました。


ECBではTLRTO(条件付き長期リファイナンスオペ)の導入が議論される見通しです。いずれも緩和方向なので、消去法的に米ドル買いが進む可能性はありませんか。

【参考記事】
日経平均は買えないが、短期的にドル/円は買ってもいいと考えるワケは?(2月25日、西原宏一&大橋ひろこ)

カナダドル/円 1時間足
カナダドル/円 1時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:カナダドル/円 1時間足

トランプ米大統領のドル高牽制発言もありましたし、米ドルはフラフラして方向性がハッキリしない印象です。

■リスク資産買い戻しでクロス円の上昇に期待!

日経平均も強いですが、今週(3月4日~)はメジャーSQ(※)週ですね。

(※編集部注:「SQ」とは、日経225先物などの株価指数先物や株価指数オプションといった取引の最終決済を行なうための価格のこと。3月、6月、9月、12月の第2金曜日は、株価指数先物と株価指数オプションの両方の最終決済日となっているため「メジャーSQ」と呼ばれる)

ダブルインバース型ETF(日経平均の値動きにマイナス2倍で連動するETF)の残高急増が話題ですし、ショートを踏み上げる動きが週半ばまで続くのかもしれませんし、SQ通過後にはガラッと崩れる可能性もあります。

先週(2月25日~)の日経平均の上昇は、大型の投資信託が新規設定された影響もあったようです。今週の戦略はどう考えますか?

上海総合指数が3000台で定着すると、センチメントはかなり改善するでしょう。リスクアセットの買い戻しが継続するのならクロス円の買いがいいのでは


特に、上海株の下落で昨年(2018年)売られていた豪ドル、ノーディールブレグジット(合意なき離脱※)の可能性が低下している英ポンドが買われやすくなる。豪ドル/円と英ポンド/円の押し目買いがいいのではないでしょうか。

(※編集部注:「合意なき離脱」とは、2年間の交渉で合意に至らず、何の取り決めもないまま、英国がEUを離脱すること)

豪ドル/円 日足
豪ドル/円 日足

(出所:Bloomberg)

英ポンド/円 日足
英ポンド/円 日足

(出所:Bloomberg)

(構成/ミドルマン・高城泰)

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