■2018年は主要通貨で豪ドルがもっとも下落
みなさん、こんにちは。
今回は、久しぶりにRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])理事会をきっかけに動意を見せた豪ドルについて。
以下は、2018年の主要通貨の対米ドルの騰落率です。
(出所:Bloombergのデータを基にザイFX!編集部が作成)
グラフが示しているように、2018年は主要通貨の中で、豪ドルがもっとも値を下げています。
これは、米中貿易戦争が勃発したことによって上海総合指数が3000ポイントを割り込み、ダウントレンド入りしたことが豪ドルの下落を誘引した形となります。
【参考記事】
●反発は一時的!? 「米中貿易戦争」を背景に中期での豪ドル軟調は変わらないと見る!(2018年9月20日、西原宏一)
(出所:Bloomberg)
ところが、今年(2019年)に入って、米中貿易戦争は融和しつつあるという報道が目立ちます。
これには、昨年(2018年)末の米国株の急落に対して、一時的にも米国と中国の間で融和状態を醸し出し、米国株の支えにしようという米政権の思惑が垣間見えるのですが、ともあれ、その演出は米国株にとってかなりポジティブな影響を与えます。
昨年(2018年)12月26日(水)には、2万1176ドルの安値まで急落していたNYダウは、本稿執筆時点(2月6日)では、2万5000ドル台まで急回復。
(出所:Bloomberg)
呼応して、フラッシュ・クラッシュで急落していたリスクアセット通貨である豪ドルも急反発。
1月3日(木)には、豪ドル/円で70.64円、豪ドル/米ドルで0.6741ドルまで急落していましたが、米国と中国の融和期待を背景とした米国株の暴騰に呼応し、あっという間に急騰しました。
豪ドル/円は79.60円、豪ドル/米ドルは0.7295ドルまで上昇しています。
すさまじいのは豪ドル/円で、わずか1カ月で9円近く暴騰。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 日足)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 日足)
ただ、1月3日(木)のフラッシュ・クラッシュが典型的なのですが、最近のマーケットは簡単に売られ過ぎ、買われ過ぎの状態に陥る傾向があります。
マーケット参加者の中では、米国と中国の融和期待だけを背景にした1月の米国株急騰、豪ドル/円の反発はフラジャイル(脆弱)なものではないかと、危惧されていました。
■ロウRBA総裁のハト派的コメントで豪ドル急落
そして、2月5日(火)のRBA理事会では、政策金利を1.50%に据え置き、声明文も予想ほどハト派的ではなく、豪ドルは上昇する場面もありました。
ところが、2月6日(水)のロウRBA総裁のコメントで一変します。
「金利見通しは均衡している」。
昨年(2018年)12月のRBA理事会では、ロウ総裁が声明において「次の金利変更は利下げではなく利上げ」を示唆していましたので、マーケットでは、2019年の10月~12月にRBAの利上げが予測されていました。
しかし、このロウ総裁のハト派的なコメントにより、RBAの利上げ予測は霧散。
呼応して、豪ドルは急落。
本稿執筆時点(2月6日東京時間午後)での豪ドル/円は78.30円、豪ドル/米ドルで0.7135ドルまで急落しています。RBA総裁のコメントで豪ドルの反発局面は終了を迎えたようです。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 4時間足)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 4時間足)
■豪ドル/円の下落が米ドル/円にも影響…
この豪ドル/円の影響を受けたのが、米ドル/円。
FOMC(米連邦公開市場委員会)が、ハト派的なスタンスに変更したため、米ドル/円の上値は110.00円程度で限定的です。
ただ、FOMCのハト派的なスタンスは株にとってポジティブであり、豪ドル/円を筆頭としたリスクアセット通貨は堅調に推移。
このクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の底堅さが米ドル/円のサポートとなり、なかなか下がらなかったのですが、豪ドル/円が値を下げることに呼応して、米ドル/円もじわじわと値を下げてきています。引き続き、米ドル/円の動向にも注目。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
RBAが中立姿勢に転換したことにより、反落を開始した豪ドル/円の動向に注目です。
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