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田向宏行
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ドル・円・ユーロの明日はどっちだ!?

宮田直彦氏に聞く(4) 40年に渡る長期の
米ドル安・円高局面がついに終わる!

2011年10月17日(月)20:07公開 (2011年10月17日(月)20:07更新)
ザイFX!編集部

【副業FXで勝つためのメルマガ】田向宏行さんのFXメルマガは儲かるのか? ダウ理論の転換トレードで検証したらこうなった!

「宮田直彦氏に聞く(3) 米ドル/円相場は『最終局面の最終局面の最終局面』にある」からつづく)

■米ドル/円はどの水準で底を打つのか?

 さて、今度は米ドル/円が底を打つであろう水準について宮田さんの見解を聞いてみよう。

 「2007年6月以降の米ドル/円を見ると、だいたい20%強、約23%下落して底打ちしていることがわかります」

 再掲載した下のチャートで確認してみよう。

米ドル/円 週足(クリックで拡大)

 2007年6月高値124.16円から2008年3月安値95.71円までが22.9%の下落。また、2008年8月高値110.66円から2009年1月安値87.10円までが23.3%の下落だ。

 確かに両方とも23%前後の下落になっている。

 同じように、2010年5月高値94.99円から2011年8月19日につけた変動相場制以降の最安値75.95円までの下落率を出すと、20.6%ということになる。

 これは下落率20%を超えているが、22~23%までは達していない。過去と同じだけすでに下落したととるか、まだもう少し下落するとみるか、非常に微妙なところではあるが…。

 「2010年5月高値94.99円から、23%キッチリ下げるとすると、73~74円という数字が出てきます。

 今後、75.95円を割り込んだときの下値メドとして、まずこのあたりが考えられるでしょう」

■米ドル/円が60円まで下落するにはもう時間がない

 ところで、2009年に宮田さんに取材した際、「かつて米ドル/円が固定相場だった時のレート『360』をちょうど割り切れる数付近が米ドル/円では節目になりやすい」傾向があるという話があった。

 たとえば、「360円の2分の1は180円、3分の1が120円、4分の1が90円」といった具合だ(「【09年予想】宮田直彦さんに聞く(3) ~70円台への突入はチャート的に当然~」参照)。

 そして、このときも360円の5分の1である72円という下値目標を宮田さんは提示していた。

 「360円の5分の1で72円という線も考えると、結局先ほどの話と合わせ、今後安値更新があるなら、下値メドは72~74円ということになるでしょう。

 360円の6分の1で60円というのも以前なら考えられたのですが、私はサイクル的に遅くとも2012年2月までには米ドル/円が底を打つと考えていますので、そこまでの短期間に60円まで下落するのは難しいかなと思っています」 

 宮田さんは「安値更新があるとするなら」という表現を使っているように、8月19日につけた安値75.95円が実は大底だったという可能性もあり得るようだ。

 「下のチャートに示したように、米ドル/円には約9カ月で安値をつけるサイクルもあるんです。この9カ月サイクルだと、8月はちょうどピッタリのタイミングなんです」

米ドル/円 週足(再掲載、クリックで拡大)

 「8月19日の75.95円をつけたときはセリングクライマックスという感じの動きではありませんでした。

 ただ、あまり例は多くないですが、ジワジワとした感じで底を打つソーサーボトム(鍋底)というパターンもあります。そして、今はソーサーボトムになりかかっているようにも見えます」

■80.24円を上抜けできるかどうかに注目!

 すでに大底を打ったのか? これから大底を打つのか? 非常に微妙なところだが、底入れしたのかどうか、確認できるポイントはあるのだろうか。

 「細かい確認ポイントはいくつかあるんですが、一番のポイントは80.24円ですね。これは8月4日に日銀の介入があったあとにつけた高値です。

ここを超えてくれば、長期的なものを含め、今までいろいろご紹介したすべてのサイクルが底入れしたと言えると考えています」

 米ドル/円が80.24円を上抜けできるかどうか。これからはこの点をよ~く、チェックしておこう。

 さて、米ドル/円の本格的底入れがあったあとは、長期的な米ドル高・円安トレンドとなるはずだが、その当面の目標を宮田さんはどう考えているのか?

 「もう一度、米ドル/円の月足を見てみますが、米ドル/円には約8~9年で高値をつけるサイクルがあるんです。

 ここから考えると、次は2015~2016年に高値をつけそうだと言えます」

米ドル/円 月足(再掲載、クリックで拡大)

 「また、エリオット波動のV波まで終わってトレンドが反転したとき、最低目標になると言われている水準があります。これはIV波の終わったところです。

 米ドル/円でいうと、2007年6月の高値124円台ですね。ここが2015~2016年につける高値の目標となるでしょう」

■長期円安局面がやってきて、1ドル=360円を超えていく!?

 40年にも渡る米ドル/円の長期円高局面がもう終わり、今度は長期円安局面がやってくるとみている宮田さん。それだけの長期間、円高だったのだから、円安局面もかなり長くなるとの見通しだ。

 先ほど出てきた2015~2016年というのはあくまでその第一目標ということになる。

 そして、宮田さんは戦前からの米ドル/円相場をすべてつなげた超長期チャートを示し、さらに壮大な話をしてくれた。

 ちなみに戦前からの米ドル/円相場については、以前当コーナーでも取り上げたことがある。以下の記事もご参考に。

「76.25円=ドル円の史上最安値はウソ!?(1) 1ドル=1円の日本はどんな時代?」
「76.25円=ドル円の史上最安値はウソ!?(2) 日本でハイパーインフレが起きた理由」

 「米ドル/円相場は1871年に1ドル=1円で始まりました。今年はそこから140周年となります。

 ここにあえてエリオット波動を当てはめて考えてみました」

米ドル/円の超長期チャート(クリックで拡大)

 「1871年の1ドル=1円からはじまって、1897年に金本位制が開始されるまでがI波になります。そこから1931年に金輸出が再禁止されるまでがII波ですね。

 そして、III波というのはもっとも長く力強くなるわけですが、戦後すぐの大幅な円安を経て、1ドル=360円の固定相場制となり、さらに1971年のニクソン・ショックで固定相場制が崩れるまでがIII波に当たります。

 その後、1971年からは長期円高が続いたわけですが、これがIV波です。

 1931年から1971年までが40年間の円安だったとすると、いわゆる『対等数値』と言いますが、1971年から2011年までがそれと同じ期間、40年間の円高ということになります。

 そして、今後はV波に入るということになると、これから40年間の円安が続き、最後は1ドル=360円を超えていくという話になりますね。これじゃあ、海外旅行にも行けないぞということです」

 この内容、さすがに最後のほうは、宮田さんも少し笑いながら話してくれて、ものすごく真剣に今後1ドル=360円を超えていくと考えているふうでもなかったが、今という時期はこれだけ壮大な転換点に当たる可能性あり、ということは改めてわかったのだった。

■「悪い円安」ではなく、デフレ脱却を期待

 さて、最後に記者は1つ気になることがあった。

 これから長期的な円安が現実になるシナリオといえば、それは日本政府の財政破綻がついにやってくることを意味しないか? ということである。

 この点について、宮田さんはこんなふうに話していた。

 「私はテクニカル・アナリストでそういった点については専門外ですが、国の借金が膨らめば不安にはなります。10年、20年のスパンで考えると、正直そんなこともあるかもわかりません。

 ただ、少なくとも2015~2016年までの円安は『悪い円安』ではないと思います。それより期待したいのはデフレ脱却ですね。

 先ほど申し上げたように、2015~2016年までに124円までの円安を私は想定しています。今から5割以上の円安です。

 そうなるのなら、そのときは企業収益も上がっているでしょう。名目賃金が上がり、名目GDPも上がっているのではないでしょうか。

 ここから5割以上の円安ということなら、どこかでデフレ脱却が起こってくるのだと思います。

 また、対円以外ではすでに米ドル高が少し進んでいますが、今はこれがリスク回避の動きによる『悪い米ドル高』と言われていますね。

 私は先に述べたように、ドルインデックスで示される米ドル全体についても、ここからは長期的な米ドル高への転換を想定しています。

 けれど、『悪い米ドル高』だけでは、長期的に米ドル高になっていくには無理があるでしょう。だから、今の『悪い米ドル高』はどこかの地点で『良い米ドル高』に変化していくのだろうと考えています」 

 エリオット波動理論とサイクル論に基づいた宮田さんの見通しは、今は為替相場の歴史的な転換点に当たっており、米ドルは長期米ドル安基調から長期米ドル高基調へ転換、円は長期円高基調から長期円安基調へ転換するだろうというものだった。

 そして、それはどうも世界経済が明るい方向へ進んでいくことを示唆しているようである。

 相場格言に「夜明け前が一番暗い」というのがあるが、もしかしたら、今のマーケットはまさにそういう状態にあるのかもしれない。

(取材・文/ザイFX!編集部・井口稔 撮影/和田佳久)

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