青山学院大学卒業後、1985年に大手米系銀行のシティバンク東京支店へ入行。1996年まで同行に為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後、活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラー等を歴任した後、独立。ロンドン、シンガポール、香港など海外ヘッジファンドとの交流が深く、独自の情報網を持つ。ザイFX!にて「西原宏一のヘッジファンドの思惑」を連載中。
青山学院大学卒業後、1985年に大手米系銀行のシティバンク東京支店へ入行。1996年まで同行に為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後、活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラー等を歴任した後、独立。ロンドン、シンガポール、香港など海外ヘッジファンドとの交流が深く、独自の情報網を持つ。ザイFX!にて「西原宏一のヘッジファンドの思惑」を連載中。
・2022年01月30日配信号のサンプル
ウクライナ(西原宏一のトレード戦略指令!)
こんばんは。
年初の個人的なイメージは、2本建てで考えていました。
まず
①1月効果がはげ、米金利の上昇が本格化する中で、Nasdaqが急落し、rsik offとなること。
しかし一方で、
②原油や、LNGの上昇を中心としたcommodityの急騰が収まらず
こうした動きが資源国通貨の上昇を誘引すること。
結果、AUDやカナダ、キウイには両方の負荷がかかること。
そのため、株をshortにすることはかわりませんが、
資源国通貨に関しては、AUDCADをshortにすることなどが注目されていました。
ところが実際に米金利が上昇すると、株は予定どおり下がりますが、
原油が上がってもカナダがあがるわけでもなく、
risk off一色で、ドル高、そして次が円高となっていること。
カナダもオセアニアに比較すると強いのですが、円のほうが強くrisk offという色彩のほうが強い展開となっています。(
AUDCAD 実際下落していますが、それはAUDの下落が激しい為)
そして、ECBがどこかでタカ派にかわるとユーロも下げ止まるのではないかと想定していましたが、今のところユーロもじり安に。
こうしたrisk offの展開がメインとなっているのはやはりウクライナの問題が大きいのではないかと考えています。
僕は当初、ウクライナの問題はrisk offとは思うもののどこまでロシアが本気なのかわからず
ヘッドライン一本で変わるかもしれないのであまり配信しませんでした。
実際、ロシアと米国が話し合いを続けるという報道が出ただけで、センチメントが好転する場面もありました。
しかし、そうした過程を経ても、ウクライナ問題はなかなか改善をみせません。
それは、ウクライナがNATOに加盟しようとしたことがロシアにとって重要な問題であるという報道が正しいのではないかと考えています。
ウクライナは、欧州と米国という西側諸国と、ロシアとの間にあって、世界のパワーバランスを保っているわけです。
しかし、ウクライナがNatoの一員になると、一気にパワーバランスが崩れてしまいます。
具体的にいえば、ウクライナがNATOに加入したとすれば西側から送られたミサイルがどんどん配置され、それが全てロシアに向けられる可能性があるわけです。
さらにいえば、ウクライナはモスクワからもそれほど遠いわけでもありません。
これはプーチン大統領にとっては絶対譲れないラインであり
もしNATOに加盟するなら、すぐさま武力でウクライナを潰すというわけです。
こうした解説をみていると、ウクライナ問題は、自分が想定する以上に奥深いものがあるのかも知れないと考えています。
去年はカブール陥落があり、これはドルにとって何十年ぶりに危険な自体になるのかもしれないという論調もありましたが、結局大きな問題にはなりませんでした。
中国のevergrandeも同様。
米国の利上げの開始というのは、ドットコムバブルを思い出させるものがあり、
Nasdaqが崩れ始めるという想定はいまのところ、そのストーリーどおりになっています。
ただクロス円が全く戻らないところをみると、ウクライナ問題の深刻さがそれをあらわしているのかもしれないと考えています。
ウクライナ問題は今後も注目。
個人的に注目しているkiwiですが先週の金曜日も反発がありませんでしたので、もう一度少しずつshortを構築するしかないのかなと考えています。
ウクライナに関してこのメルマガであまりふれてこなかったので、ご参考までに。
では、今週もよろしくおねがいします。
・2022年01月24日配信号のサンプル
FX戦略! FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議 1月24日配信(今週の戦略会議&読者からの質問)
■アップル、テスラ、マイクロソフトの決算
ひろこ 先週は米国株が大きく下げました。ナスダック総合指数はコロナショック以来の下落率となる8%の急落です。西原さんが危惧していたとおりの展開ですね。
西原 1月6日に公開された12月分FOMC議事録が大きかったですね。早期利上げやQT(バランスシートの縮小)が示唆され、市場のセンチメントがガラッと変わりました。
ひろこ ネットフリックスは決算を受けて20%を超える暴落となりましたし、今週も25日にマイクロソフト、26日にテスラ、27日にアップルと決算発表が続きます。
■FRBは「レバナス」を助けない
西原 最近よく話題にしている「レバナス」(レバレッジをかけてナスダック100指数へ投資する投資信託)を筆頭に米国株へ投資する日本人が増えていますね。
ひろこ 昨年の日本人による海外株式型投信への資金流入は8兆円規模です。
西原 外国株投資には為替ヘッジつきのものもありますが、レバナスにはありません。新たな資金流入があれば米ドル/円が買われるし、解約が増えれば米ドル/円の売りとなる。昨年の米ドル/円を支えた要因のひとつが日本の個人投資家マネーだったとすれば、今年はその逆流があるのかもしれません。
ひろこ 先週はビットコインが4万ドル割れとなる一方、ゴールドは堅調に推移しゴールドETFには一気に資金が流入しました。「過剰流動性相場」の終わりを感じさせる動きですね。世界の船舶輸送の動向を示すバルチック海運指数も10月以降、70%以上の下落。中国のコロナ対策による物流の停滞や春節の影響もあるのでしょうが、それだけとは思えない下落幅です。世界的に景気が悪化する兆候なのかもしれません。そんな中でFRBが利上げを進めていくことに不安も感じますね。
西原 これまで株式市場が大崩れしそうになると、FRBが助け舟を出す「FRBプット」がありました。ところが今、FRBの至上命題はインフレ退治。FRBプットは期待できません。
ひろこ 株価下落はインフレ抑制にもつながりますから、助ける気もないのかもしれませんね。日本でも閣僚が「新しい資本主義は株価を意識しない」、「株主利益を人的資本へ投入」と市場軽視の発言を繰り返しています。岸田政権のもとでは株価上昇に期待しづらいですね。
西原 岸田政権に対しては海外勢からの評価も芳しくありません。円の実効為替レートも50年ぶりの低水準へと迫っています。
■26日FOMCはテーパリング、利上げ、QTに注目
ひろこ 今週26日はFOMCが開催されます。テーパリング終了を当初予定の3月よりも前倒しさせるのではとの警戒感も。
西原 3月の利上げ幅が25bp(0.25%)ではなく50bp(0.5%)になるとの見通しも強まっています。その地ならしもあるのかもしれません。
ひろこ QTの予告はさすがにないと思いますが、その時期や規模をめぐる議論はなされるでしょう。議事録が来月発表された際に明らかとなりますが、議事録に市場が反応するという相場展開は6日にも見られました。26日だけでなく3週間後の議事録発表にも注意が必要です。
西原 テーパリング終了、3月の利上げ、近い将来のQT開始、いずれも株価にはネガティブな要因ですね。
■政策金利を占うオセアニアのCPI
ひろこ ただ、先週の下落も急でしたから材料がなんであれ今週は戻りを試す場面もありそうですね。今週はカナダの金融政策発表もあります。
西原 カナダの次回利上げは3月の見通し。今回、利上げすればサプライズともなります。
ひろこ オーストラリアとニュージーランドのCPIも発表されます。強ければ豪ドルの利上げ見通し浮上、NZドルの追加利上げといった観測が出て巻き返す可能性もありませんか?
西原 ありえるとは思いますが、そこは売り場とされる可能性も高そうですね。
■侵攻を容認?! ウクライナをめぐるバイデンの失言
ひろこ ウクライナ情勢も緊迫したままです。ロシアが大きなシェアを持つニッケルやパラジウムの価格が上がっていますし、アメリカは大使館員の家族に退避命令を出しました。
西原 バイデン大統領は「小規模な侵攻(minor incursion)」なら経済制裁を見送る可能性を示唆しました。「少しならロシア軍がウクライナへ侵攻してもいい」とも受け取れてしまう大きな失言ですし、緊張感を高める要因ともなりました。
ひろこ 今週の戦略はどう考えますか?
西原 米国株は多少戻す場面もあるでしょうが、これから利上げやQTが行なわれる中で大きく浮上するとも考えづらい。株価下落とともに米ドル/円は下がりやすいのでしょう。
ひろこ リスクオフ=豪ドルの売りではないのですか?
西原 豪ドル/NZドルが上昇している中ではNZドルならまだしも豪ドルは売りづらい。米ドル/円の売りでいいと思います。