青山学院大学卒業後、1985年に大手米系銀行のシティバンク東京支店へ入行。1996年まで同行に為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後、活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラー等を歴任した後、独立。ロンドン、シンガポール、香港など海外ヘッジファンドとの交流が深く、独自の情報網を持つ。ザイFX!にて「西原宏一のヘッジファンドの思惑」を連載中。
青山学院大学卒業後、1985年に大手米系銀行のシティバンク東京支店へ入行。1996年まで同行に為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後、活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラー等を歴任した後、独立。ロンドン、シンガポール、香港など海外ヘッジファンドとの交流が深く、独自の情報網を持つ。ザイFX!にて「西原宏一のヘッジファンドの思惑」を連載中。
・2018年07月04日配信号のサンプル
ドル円の111円台(西原宏一のトレード戦略指令!)
2日の欧米市場では、中国人民銀行の公式声明として「元安を貿易摩擦への対処方針として使わない」との報道をきっかけに豪ドル円中心にクロス円が反発。
ただNY市場に入ると、米株が反落。risk offに回帰し、クロス円が反落。
米株の下落に追随し、本日の日経平均は続落。
現在153円安の 21,630円で推移。
昨日の欧米市場からのクロス円の反落では久しぶりに、ドル円の下落も伴ったクロス円の反落が顕著に。
ドル円は「株安でも円安?」という変わった流れがおきていましたが、昨日の日足で
demarkが double13を点灯し、ようやくtop outを示唆。
111円台では本邦機関投資家のドル売りも並び初めてきた模様。
ユーロ円、豪ドル円、AUDドルのshortは継続。
ドル円を遅ればせながら110.40円レベルで打診売り。
Stopを前回の111.50円に設定したままで、shortにしているAUDドルの金額までドル円を売り上がり(徐々に合成の豪ドル円のshortになります。)
取り急ぎ。
・2018年07月16日配信号のサンプル
FX戦略! FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議 7月16日配信(今週の戦略会議&読者からの質問)
■3年来のレジスタンスも週足雲も突破!
ひろこ 米ドル/円が上がりましたね。5月末から形成されていたアセンディング・トライアングル(上昇三角形)を上抜けして、高値は112円52銭まで。金曜日の終盤は少し垂れましたが、それでも112円30銭台を維持して引けています。
西原 週足終値が111円50銭以下だと上昇がダマシだった可能性も出てくるのですが、112円台を保ったことの意義は大きいですね。米ドル/円は2015年6月から3年間、続いていたレジスタンスラインを上抜けし、週足の雲も上抜け。月足の雲さえも上抜けようかというところまで来ており、テクニカル的にも大きく改善しています。
ひろこ これだけドルが強いと逆相関にあるコモディティ市場は軟調です。WTI原油は一時70ドル割れとなりました。
■日銀介入に匹敵するM&Aと人民元のプロキシー
ひろこ ドル円上昇の要因は何なのでしょうか?
西原 ひとつは日本企業によるM&A。今年上期の日本企業による海外企業のM&Aは過去最大となる13兆円と、東日本大震災後の日銀介入に匹敵する規模。アイルランドの製薬大手買収に約7兆円を投じた武田薬品の影響が大きいのですが、それを除いても非常に大きな金額です。
ひろこ M&A関連では先々週、三菱ケミカルホールディングス傘下の大陽日酸によるアメリカ企業買収のニュースも出ていましたね。
西原 逆に、米小売大手ウォルマートが傘下に収めていた西友を手放すのではとの報道も出ました。ウォルマートは否定しましたが、もし実現すればウォルマートは円資金をドル転する可能性が高いことになりますから米ドル/円の買い材料。ウォルマートはアマゾンなどに押され厳しいですから、手放したい思いがあっても不思議はありません。
ひろこ マクロでいうと米中貿易摩擦が熾烈化しリスクを取りづらい環境かと思われていたのですが、日本企業は裏でしっかり動いていたんですね。
■トランプ政権の通商政策はドル高政策か
西原 貿易摩擦は、春先にはリスクオフの円高材料とされましたが、足もとでは人民元安とともに円安が進んでいます。人民元の「プロキシー」(代替)としての円が売られている、という背景も米ドル/円を押し上げているようです。
ひろこ 人民元は流動性が低いですから売りたくても売りづらい。その代わりに流動性のある円を売ろう、ということですか。少し不思議な感じもしますが……。ただ、トランプ政権の高関税政策はドル安を招くと見られていましたし、ムニューシン財務長官も1月に「ドル安が好ましい」と発言していました。でも、この発言はある意味、ダマシだったのかもしれません。高関税政策はむしろ、アメリカの貿易赤字を縮小させドル高を招く政策であると市場が理解しつつあるようにも思えます。
西原 米中貿易摩擦はアメリカの勝利で終わるのでしょうし、そうなれば米国関連の資産は買い、中国関連の資産は売りとなり人民元のプロキシーとして円が売られる。米ドル/円は上昇し、日本株にはポジティブな影響が出るのかもしれません。
ひろこ 今期の為替を105円程度で想定している企業が多いようです。このままの水準で今期が進むようなら為替分だけでも上方修正を行なう会社が増えそうですね。ただ、中国の景気はトップアウトしていますし、トランプ政権は中国、それにドイツを本気で潰そうとしているように見えます。来年の世界景気を考えるとブル(強気)ブルではいられないのも事実ですよね。
西原 日本に対する自動車関税の話が持ち上がると市場に不安が広がるかもしれません。とはいえ、自動車関税の話はすでにテーブルに載っている材料。米ドルを買いたいならそれで落ちたところを拾えばいいのに先週、高値が買われていたのは買い遅れて焦っている人も多いのでしょう。
■円は「セーフ・ヘブン」の地位を失いつつあるか
ひろこ 欧米では、円は「セーフ・ヘブン」(避難通貨)としての位置付けを失いつつあり、「セル・ジャパン」(日本売り)が始まるのではと指摘する記事も出ているようですね。
西原 そうした論調はたしかにこの数週間、目立ってきています。そこまで大きなゲームチェンジが起きているのかどうか、結論づけるのはまだ早計ですが、テクニカルの改善や日本企業のM&A人民元のプロキシーとしての円売りといった材料を考えると、今週は米ドル/円の押し目買いでいいのでしょう。
ひろこ 17日にはパウエルFRB議長の議会証言がありますね。ここでもし崩れるようなことがあれば押し目買いのチャンスとなるかもしれませんね。