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株式会社ダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ
関東財務局長(金商)第2756号
FXトレード戦略指令! ZAiFX!
西原 宏一(にしはら こういち)

青山学院大学卒業後、1985年に大手米系銀行のシティバンク東京支店へ入行。1996年まで同行に為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後、活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラー等を歴任した後、独立。ロンドン、シンガポール、香港など海外ヘッジファンドとの交流が深く、独自の情報網を持つ。ザイFX!にて「西原宏一のヘッジファンドの思惑」を連載中。

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2023年2月

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FX戦略! FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議 2月27日配信(今週の戦略会議&読者からの質問)



■「年内利下げ」の織り込みが低下

西原 先週はRBNZもあったのですが「マーケットは米金利の動向しか見ていない」という印象ですね。

ひろこ 気になるのはアメリカのインフレ率ですね。先週発表された1月分の米PCEデフレータは5.4%(前年比)の上昇と予想を上ブレ。12月分では鈍化していた伸びが再加速しています。

西原 経済指標にはブレがありますからなんとも言えないですが、事実としてあるのは米金利の上昇です。米2年債利回りは昨年高値を抜いてきました。

ひろこ FEDウォッチだと3、5、6月と、あと3回の利上げを織り込んでいますね。

西原 金利先物市場を見ると7月5.4%前後がピークです。ずっと気にしていた「年内利下げ」の織り込みもやっと低下してきました。



■「ディスインフレ」発言はなんだったの?

ひろこ 年内利下げの織り込みが低下したということは、長期的に高金利が続きそうということですよね。先週はJPモルガンのジェイミー・ダイモンが「米金利は6%に達する可能性がある」と指摘し、学会やエコノミストは最高6.5%までの利上げが必要との提言を行なったそうです。

西原 6%はともかく、「FRBピボット」(政策転換)はまだ先、という流れになってきたのはたしか。パウエルさんが「ディスインフレ」と連呼したFOMCが2月1日。米2年債利回りはその直後に底を打ちして、米ドル/円やユーロ/米ドルも同時にドル高方向へ動いています。「ディスインフレとはなんだったのか」という感じですね。

ひろこ 直後の米雇用統計を筆頭に、ディスインフレ発言後の経済指標は強い数字が続いています。ミスリード的な発言でしたね。



■FEDピボットもBOJピボットも遠のく

西原 「BOJ(日銀)ピボット」への懸念が上値を押さえていた米ドル/円も上がってきました。植田和男さんの所信聴取は海外勢も注視していましたが、無難に通過したことが要因のひとつでしょう。

ひろこ 金融緩和の副作用を強調した見出しも一部では出ていましたが、全体としては黒田路線に寄り添った印象でした。政府・日銀の共同声明についても、ただちに見直す必要はない、と話していましたね。

西原 急激な円高へ持っていかれないようにと、マーケットへの配慮もあったのでしょう。これが終わるのを待ちかまえていた海外勢が米ドル/円を買っていったようです。




■ドル円、136円半ばを抜ければ139円台も

ひろこ この先の値動きはどう見ますか?

西原 昨年10月からの下落に対する38.2%戻しが136.67円。先週の高値とほぼ同水準です。このあたりでは輸出企業の売りや利益確定売りも出やすいでしょうから、ここをクリアに抜けるかどうか。抜ければ半値戻しの139.59円が見えてきます。米金利の水準から考えれば、そのあたりまで上がってもおかしくありません。

ひろこ 今週はイベントが少ないですが来週10日は黒田体制での最後の日銀会合、そして米雇用統計です。1月分の数字はブレが大きくなる傾向があるとして2月分の数字へ注目する向きもあります。

西原 いずれにせよFEDピボット、BOJピボットともに可能性が遠のいたことで米ドル/円の上値は軽くなった印象。米2年債利回りの水準からしても米ドル/円は上値余地がある。月末のドル売りに気をつけながら、米ドル/円の押し目買い方針でいいのではないでしょうか。