■「40年の円高」の終焉、2016年に124円の見通しは変わらず!
「まず長期的には『40年の円高』の時代が終わったという見通しはまったく変わりません。『最低限』のターゲットは2016年124円です」
そう解説するのは三菱UFJモルガン・スタンレー証券の宮田直彦さん。
経済紙の行なうアナリストランキングでは市場分析部門でトップ3常連、プロも認めるアナリストなのだ。そんな宮田さんには以前にも「ザイFX!」に登場してもらった。去年の80円割れ水準から比べるとずいぶん円安が進んだけれど、宮田さんの予測によれば、まだまだ中盤戦なのだ!
■宮田さんの必殺技は「エリオット波動」
チャートに書き込まれた1~5の数字をみて戸惑うかも。これは宮田さんの必殺技「エリオット波動」を示す数字。エリオット波動はエリオットさんが1938年に発表し、長く使われているチャート分析の古典理論だ。エリオットの波動論によれば、トレンド方向に動く5つの波=推進波と、トレンドの反対方向に動く3つの波=修正波ですべて解き明かせるのだ。その基本中の基本はこんな感じ。
これを踏まえた上で、先ほどのチャートを見てほしい。きれいな5波動を描いて進んでいた円高は今、まさに終わったところ。円高方向への波動のあとにくるのは円安方向への波動。宮田さんがターゲットとして示してくれた124円はあくまでも「最低限」だ。40年続いた波動が終わったあとだから、けっこうな大きさの波動になる可能性だってある。
■三角保ち合いを上抜け、「5波の始まり」で円安再開へ!
それはさておき、FX取引に役立てるなら、もう少し期間を短くした予測が必要。
「米ドル/円は5月から続いていた三角保ち合いを上抜けしました。年末から来年3月へ向けて円安再開の可能性が非常に高まっています。三角保ち合いは4波でよく出る形でもあります。それからしても現在は4波が終わって5波の上昇波動が始まるところだと考えられます」
■円売り取引は「損切りは簡単、利益確定が難しい……」
この円安を狙って米ドル/円を買っていくなら、円安方向への波が始まった今は好機なのかも。そうするとターゲットはどこになるのだろうか。
「3波の高値103円74銭は身近な目標ですし、1波の値幅である約10円幅を4波の安値96.82円に加えた106.82円まで上がる可能性もあります。ただ、5波の上昇は3波ほどの力強さはありません。3波の高値まで達せずに調整波入りしてしまうこともあるので、利益確定はあまり欲張らないほうがいいかもしれません」
前回高値である103円で利益確定するか、欲張ってもう少し上で利益確定するか。あるいは価格ではなく、「日柄」で考える手も。
「米ドル/円には約10カ月ごとに安値をつける『10カ月サイクル』があります。前々回の安値は昨年9月の77.13円。その9カ月後の今年6月に93円79銭の安値をつけていますから、それでいくと次の安値は来年4月。ということはそれまでに5波の高値ができているはずです」
もし米ドル/円を買うなら、よほどの長期ポジションではない限り、年末から来年の3月くらいまでにはいったん利益確定しておこうということになる。
■来年の春以降はいったん円高へ転換か
「損切りは難しくありません。4波の安値96.82円を割ってしまうと、これまで話した短期的なシナリオを再考しないとなりませんから、いったん損切りです。5波が終わると、円高方向へのA~C波が始まります。昨年2月から続いた推進波のあとの修正波ですから、長めになるかもしれません。その間、ずっと塩漬けに耐えるようなことにならないよう気をつける必要があります」
損切りだけはきっちりやっていこう。気になる豪ドルやユーロの動きは次回の更新で!
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