(「使うのは「2つの数字」だけ! ”タートルズ流”資金管理&リスク管理術」からつづく)
投資の達人、小次郎講師さんに教えてもらう伝説の投資家集団「タートルズ」の方法論の2回目! 前回では、投資用資金を正確に把握することと、投資先が1日にどのくらい動くのか(ATR)を把握することが重要、ということを覚えた。今回は具体的な取引量の決め方を教えてもらおう。
「ユニット」で考えるとリスク計算はめちゃくちゃ簡単になる!
自分の投資用資金を正確に把握して日々のATRを計算したら、タートルズ流の資金管理&リスク管理の準備は完了だ。あとは電卓なりエクセルなりを用意してちょっとした掛け算と割り算をするだけで、最適な取引量が決まる。
「次に覚えてほしいのが『ユニット』という考え方です。ユニットとは、『自分の投資用資金の1%を1日でリスクにさらす取引量』。これを知っているとFXの米ドル/円やユーロ/米ドルはもちろん、株も金も一括してリスク管理できるんです」
円の絡んだ通貨ペアだけならまだ損益を把握しやすいが、ユーロ/米ドルやユーロ/豪ドルのような外貨同士のペアが絡んでくると、途端にややこしくなる。ユーロ/豪ドルを1万通貨取引して100pipsの損になったときの損失額をさっと答えられる人は少ないはず。でも、1回の取引の損失額を把握していないとリスク管理はできないのだ。
そこで便利なのがユニットという考え方だ。具体的な計算方法は下記のようになる。
外貨同士の通貨ペアは円換算して考える
まずは、自分の取引単位が1000通貨か1万通貨なのかだけ気をつけておくこと。ただ、このリスク管理のやり方だと、1ユニットあたりの取引量は厳しめ、つまり小さめになるので、よっぽどお金持ちじゃない限り、1000通貨単位で取引できるFX口座を使ったほうがいい。
また、外貨同士の通貨ペアの場合は、ATRをいったん円に換算してから計算する。たとえば、ユーロ/米ドルのATRが0.0080ドルで、1ドル102円だとすると、ATRに102をかけて円換算したATRは0.82になる。あとは同じだ。1000通貨未満の端数が出たときは切り捨てておく。
ユニットの取引量が意味することって?
算数の時間が長くなってしまったが、ここまでの計算にどんな意味があるのか、確認しておこう。
「ATRは一日に動く幅の目安でした。1ユニットあたりの取引量は、もしも仕掛けた場所からATRの幅だけ反対に動いてしまっても、資金の1%を失うだけで済む取引量だということになります」
では、さっそく自分が取引したい通貨ペアの取引量を計算してみよう!
複数の通貨ペアを持っていても、瞬時に全体のリスクを把握できる!
「先ほどの計算例だと、1ユニットあたりの米ドル/円の取引量は2万通貨、ユーロ/米ドルは1.2万通貨でした。1ユニットあたりのリスクは資金の1%です。この取引量を基本単位にして取引していれば、『今日は米ドル/円を2ユニット、ユーロ/米ドルを1ユニット持っているから合計3ユニット、つまり全体のリスクは資金の3%だ』とすぐにわかるんです」
もしもユニットの考え方を使っていなかったら、ユーロ/米ドル1.2万通貨と米ドル/円2万通貨の合計リスクを計算するのは結構ややこしい。今どのくらいのリスクを背負っているか、ユニットを使うとすぐに把握できるのが最大の利点なのだ。
「株やコモディティ、日経225先物など複数の市場に投資しているとさらに便利です。計算方法は先ほどとまったく同じです」
資金500万円の人があれこれ投資していた場合のユニットを計算したのが下記の表。複数の市場にまたがって投資していても、1ユニットの取引量で投資していたら、リスクは「保有ユニット数×1%」ですぐに計算できる。
トップトレーダーたちも使ってる世界標準の損切り位置!?
「ユニットで取引量を決めても、もちろん損切りをちゃんと入れなければ意味がありません。仕掛けると同時に損切りを入れておくようにしましょう。
日足のトレンドを狙っていくような取引なら、損切り位置の目安は『ATRの2倍』離したところです。損切りにかかってしまった場合、資金の2%を失うということになります。『1回の取引で資金の2%のリスクをとる』というのは世界標準、世界のトップトレーダーも2%程度のリスクで取引しています」
ATRが0.78円、101円76銭で買ったのなら損切りの位置は1.56円離したところ。つまり100円20銭ということになる。
ユニット管理に欠かせない「リスク分散のルール」
「リスク管理でもうひとつ大切なのが、『リスク分散のルール』です。同時に30ユニット、40ユニットと保有したら、資金の60%、80%と失ってしまう可能性がある。これでは資金管理も何もありません。同一銘柄で保有するのは最大4ユニットまで、です」
米ドル/円1ユニットが2万通貨なら、同時に持っていいのは8万通貨までだ。
「複数の通貨ペア、市場にまたがる場合は相関性を考える必要があります。米ドル/円とカナダドル/円ならば同じ方向に動く可能性が非常に高いですから、こうした相関性の高い銘柄は同時に6ユニットを上限にします」
クロス円同士は合計6ユニットまで
「クロス円」と呼ばれる円の絡んだ通貨ペアはどれも同じ方向に動く傾向がある。米ドル/円を4ユニット、ユーロ/円を4ユニットと買うと、どちらかが損切りされたとき、もう一方も損切りされる可能性が高い。豪ドルとNZドル、人民元も同じように動きやすいし、欧州通貨同士のポンドとユーロ、北米通貨同士の米ドルとカナダドルなども相関性が高い。取引するときは気をつけよう。
「ATRは毎日変わりますが、それに応じて取引量を変更していると面倒なので、暴騰・暴落で大きく動いたとき以外は、週に1回くらいの計算でいいと思います」
ユニットの考え方はタートルズが使っていた「20日ブレイクアウト」と呼ばれる、過去20日間の高値を更新したときに買い、安値を更新したときに売りとする、とてもシンプルなトレンドフォロー手法のために開発されたもの。日足でのトレード用の考え方だ。
ユニットは1時間足のデイトレードにも応用できる
「1時間足など短い足でタートルズ流の資金管理を使っている人もいます。でも、その場合は『資金の1%』としていたところを『資金の0.5%』など少なめにしたほうがよいでしょう。もし5分足使っていたら、たった5分で資金の1%を失ってしまう可能性があり、リスクが大きすぎます」
どんな時間軸でトレードするのであっても資金管理やリスク管理は絶対必要。小次郎講師さんの教えをアレンジして自分なりのルールを決めておこう。でも、ルールってなかなか守れなかったりもする……。
「ルールを守れないのは、ルールに自信が持てないからなんです。今回紹介したルールはタートルズが実践し、大成功したやり方。自信を持って実践してください」
(取材・文/高城泰 撮影/和田佳久)
2014年3月
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0.3pips原則固定 (9-27時・例外あり) |
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※スプレッドはすべて例外あり。この表は2024年11月5日時点のデータをもとに作成しているため、最新の情報とは異なっている場合があります。最新の情報はザイFX!の「FX会社おすすめ比較」や、各FX会社の公式サイトなどで確認してください |
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