FX(外国為替証拠金取引)と外国為替のサイト・ザイFX! 為替チャート、FX初心者向け記事、FX会社比較など情報満載

第6章 ファンダメンタルズ

雇用データを先取り!? ADPと新規失業
保険申請件数が米雇用統計のカギを握る?

【外為オンライン】ザイFX!限定3000円+FX書籍がもらえる

■米雇用統計の前哨戦、ADPとは?

ADP全国雇用者数&新規失業保険申請件数

 米雇用統計のほかにも、米国の雇用情勢を示すデータはたくさん存在します。民間企業による統計データもあり、米雇用統計の結果を予測するうえでも、重要な手がかりとされています。その中から、市場参加者の注目も高い、代表的な2つをご紹介します。

【参考記事】
知らない人はいないキングオブ経済指標! 米雇用統計は月に一度のお祭りイベント!?

ADP全国雇用者数

ADP全国雇用者数は、全米約50万社の給与計算を代行する大手アウトソーシング会社ADP(Automatic Data Processing)が、自社の顧客を対象に雇用者数の動向を調査・集計したデータです。「ADP全米雇用報告」や「ADP民間雇用者数」、または単に「ADP」と呼ばれることもあります。正式名称は「ADP National Employment Report」です。

ADP全国雇用者数の推移

※2003年1月~2018年11月までのデータを掲載
※ADPのデータをもとにザイFX!が作成

 原則として毎月、米雇用統計の2営業日前に発表されます。NFP(非農業部門雇用者数)のサンプル数(約48万)に近いことから、NFPの先行指標と位置づけられていて、この結果を受けてNFPの市場予想中央値が変化することもある、注目度の高い指標です。米雇用統計の前哨戦と言える指標なのです。

 発表時間は、NY時間の午前8時15分です。日本時間だと午後10時15分、米国がサマータイム(夏時間)の期間は午後9時15分になります。

ADP全国雇用者数の概要

■NFPの結果と全然違うことも…

 2002年に発表がはじまったADP全国雇用者数は、かつてはNFPの結果と決して相関性が高いとは言えませんでした。要するに、ADPの結果は良かったけれど、NFPの結果はそうでもなかったということが多かったのです(その逆もあります)。それが、米雇用統計後の相場変動を引き起こす原因となったことも、少なくありませんでした。

 ADPとNFPの結果に大きな違いが生じる原因の1つに、NFPでは集計の対象となっている政府機関の就業者が、ADPには盛り込まれていないといった点もありました。2012年11月に、ADPは調査方法の変更を行い、過去のデータも新しい調査方法にもとづいて改定したため、現在はある程度の相関性が確認できるようにはなりました。しかし、NFPの結果と数万人単位でブレが生じることは今でもあります。

ADP全国雇用者数と非農業部門雇用者数の推移

※2010年1月~2018年11月までのデータを掲載
※ADPと米労働省労働統計局のデータをもとにザイFX!が作成

 米雇用統計の参考指標として、重要なデータであることは間違いありませんが、NFPと似たような結果にならないこともあるという点には、気をつけておく必要があります。

■速報性の高さが魅力の新規失業保険申請件数

新規失業保険申請件数

新規失業保険申請件数は、米労働省雇用訓練局(ETA)が給与に関する業務を扱う州事務所の報告を受けて作成する、全米で前の週に失業保険の給付を初めて申請した人数を示すデータです。正式名称は「Initial Jobless Claims」で、日本でも「イニシャルクレイム」と呼ばれることがあります。「失業保険新規申請件数」とも言われます。

 発表時間は毎週木曜日、NY時間の午前8時30分です。日本時間だと午後10時30分、米国がサマータイム(夏時間)の期間は午後9時30分になります。

新規失業保険申請件数の概要

 失業者が増加すると、失業保険の給付を申請する人は増え、失業者が減少すれば、申請者は減ります。そのため、雇用の状況を把握するうえで、高い注目を集める指標です。ただし、失業保険を申請できる人の割合は、失業者全体の半数以下とも言われているため、実際の失業者数は、データよりもずっと多いと考える必要があります。

 米雇用統計の調査週にあたる、毎月12日を含む週の結果は、米雇用統計の結果を予測するうえでも、特に重要と位置づけられています。

新規失業保険申請件数の推移

※2013年1月~2018年11月までのデータを掲載
※米労働省雇用訓練局のデータをもとにザイFX!が作成

 一般的には、新規失業保険申請件数が40万人、時期によっては30万人を下回ると、非農業部門雇用者数の結果がプラスになる傾向が確認されると言われています。

 前週分のデータという速報性の高さはあるものの、翌週にほぼ100%、数値が改定されます。週によって、結果が大きくブレるという特徴もあります。気温や天候、カレンダーの並びなどといった季節変動要因の調整(季節調整)が施されているものの、調整した以上に件数のブレが大きくなることは頻繁にあります。過去4週間の結果を用いた4週平均などを使う方法が、中長期的な推移を見極める分析手法として取り入れられています。

 新規失業保険申請件数は、景気の動きに敏感に反応する指標としても知られています。具体的には、景気がピーク(最盛期)やボトム(底)をつける2~3カ月前に、新規失業保険申請件数のトレンドが変わっていることが確認されています。そこから、新規失業保険申請件数が増加傾向に転じたときは好景気の終わり、減少傾向に転じたときは不況の終わりが近いと予測することができると考えられています。

■米国の雇用データはまだまだある!

 米国の労働市場の状況を示すデータにはほかにも、イエレン元FRB(米連邦準備制度理事会)議長が注目していたことで知られる、米労働省労働統計局が発表する「JOLT求人件数(求人労働異動調査)」、人材斡旋会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社が発表する「チャレンジャー人員削減数」、モンスターワールドワイド社が全米のオンライン求人情報を集計した「モンスター雇用指数」などが有名です。

 また、ISM景気指数、消費者信頼感指数にも、調査項目の中に雇用に関する項目が含まれていて、労働市場のセンチメント(市場心理)を把握する雇用指標として、分析に役立てられています。

【参考記事】
発表がめちゃくちゃ早い! 製造業の景気動向を見極める「ISM製造業景気指数」

FX初心者のための基礎知識入門目次

第1章 FXをはじめるには
第2章 FXの基礎知識を身に付ける
第3章 FXをはじめよう
第4章 チャートの見方
人気FX会社TOP10ランキングの詳細はこちらから!ランキング一覧を見る
FX初心者のための基礎知識入門トップにもどる
ザイ オンライン