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消費者物価指数とは
物価の推移を表す指標の中で、多くの市場参加者に注目されているのが「消費者物価指数」です。英語名「Consumer Price Index」の頭文字をとって、「CPI」と呼ばれます。
これは最終価格、すなわち消費者が実際に購入する段階のモノやサービスの小売価格の動向を表したものです。世界の主要各国でほぼ毎月発表され、その国の物価の推移を表すモノサシとして、どの国でも非常に注目されます。
ここでいう物価とは、スーパーや量販店などへ買い物に行ったときに目にする商品ごとに設定されたモノの値段ではなく、一定の基準で合算された、さまざまなモノやサービスの値段の平均値を指します。その物価の動向を測るモノサシが、物価指数です。
物価指数が、ある時期と比べてどれだけ上昇・下落したかを割合(%)で表したものが、「インフレ率」や「物価上昇率」と呼ばれる指標です。インフレ率(物価上昇率)の上昇は物価の上昇、インフレ率の低下は物価の下落を意味します。
インフレ指標が注目される理由
物価の動向を表したデータは、数多くの経済指標の中でも、特に高い注目を集めます。
通常、経済が安定的に成長を続けていくためには、インフレ率の緩やかな上昇が欠かせないと考えられています。そのため、主要国の中央銀行のほとんどが、経済の安定した成長に望ましいとされるインフレ率の目標水準を定めて、インフレ率が目標付近で安定して推移するように政策金利を動かしたり、市場に流通する資金の量を調節するといった金融政策を行っています。
中央銀行は物価の安定という使命を果たすために、インフレ率をものすごく気にしているのです。「物価は経済の体温計」と言われていることからも、物価が経済の重要なカギを握っているのがわかると思います。
また、教科書的には、物価が上昇すると、その国の通貨価値は相対的に低下(通貨安)し、物価が下落すると、通貨価値は相対的に上昇(通貨高)します。物価が上がると、同じ金額で買えるモノの量や数が減るので、通貨の価値が低下したと考えるからです。
ただ、物価が上昇した場合、それが市場参加者に政策金利の上昇(利上げ)を連想させることで、実際には為替市場で通貨高に反応する場合もあります。
いずれにしても、物価の動向を表す経済指標は、為替市場では特に注目されます。
米消費者物価指数の見方
米国の消費者物価指数は、消費者が平均的に購入するモノやサービスの消費支出をもとに、構成される品目ごとに一定の比重をかけて算出されます。全米約90の都市地域を対象に調査することで、全人口の9割近くの消費動向をカバーしています。
以下は、2000年以降の米消費者物価指数(総合・前年比)の推移を表したグラフです。

※米労働省労働統計局のデータをもとに作成
※発表元により、過去のデータは修正されることがあります(最終情報取得日:2021年3月17日)
米労働省労働統計局が、毎月15日前後に前の月のデータを発表します。発表時間は、NY時間の午前8時30分です。日本時間だと午後10時30分、米国がサマータイム(夏時間)の期間は午後9時30分になります。

総合指数とコア指数の違い
米国の消費者物価指数には、すべての対象品目の動向を示した総合指数と、季節要因などで価格の変動が大きくなりがちな食料品とエネルギーを除いて算出したコア指数があります。どちらも、前月比と前年比が発表されます。
以下は、2000年以降の米消費者物価指数のコア指数(前年比)の推移を表したグラフです。

※米労働省労働統計局のデータをもとに作成
※発表元により、過去のデータは修正されることがあります(最終情報取得日:2021年3月17日)
以下は、前年比の総合指数とコア指数を重ねて表示したグラフです。総合指数の方がコア指数に比べて、単月ごとのブレが大きいという特徴が、はっきりわかると思います。

※米労働省労働統計局のデータをもとに作成
※発表元により、過去のデータは修正されることがあります(最終情報取得日:2021年3月17日)
中長期的な物価の推移を見極めるうえでは、一般的にはコア指数の動向を注目する方が良いと考えられています。ただし米国の場合、近年はFRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策との兼ね合いから、総合指数への注目度が高まっているとも言われています。
生産者物価指数とは
「生産者物価指数」は、製造業者の出荷時点の販売価格を対象に算出された指標です。英語名「Producer Price Index」の頭文字をとって「PPI」と呼ばれ、消費者物価指数の次、もしくは同じぐらい注目されます。
米国の生産者物価指数は、米国内の製造業者が販売する約1万品目が調査対象で、輸入品は含まれません。輸入品を対象にした物価指標には、「輸入物価指数」というものがあります。
生産者物価指数にも、すべての対象品目の動向を表した総合指数と、食料品とエネルギーを除いて算出したコア指数がありますが、どちらかと言えば、コア指数の注目度の方が高いと言われています。
以下は、2011年以降の米生産者物価指数の総合指数とコア指数(前年比)の推移を重ねたグラフです。

※米労働省労働統計局のデータをもとに作成
※発表元により、過去のデータは修正されることがあります(最終情報取得日:2021年3月17日)
米労働省労働統計局が、毎月15日前後に前の月のデータを発表します。発表時間は、NY時間の午前8時30分です。日本時間だと午後10時30分、米国がサマータイム(夏時間)の期間は午後9時30分になります。

消費者物価指数も生産者物価指数も、毎月15日前後に発表されますが、生産者物価指数の方が消費者物価指数より数日前に発表されるのが通例となっています。
消費者物価指数と生産者物価指数の相関性
モノやサービスの価格は通常、原材料価格や製造コストが先に上昇(低下)して、それが消費者の支払う価格へ反映されるのが一般的です。そのため、生産者物価指数は、消費者物価指数の先行指標的な意味合いとしても活用されます。
ただし、生産者物価指数が上昇したからといって、消費者物価指数が必ず上昇するとは限りません(逆も同じです)。長い目で見ると、両者には相関性が確認できますが、それほど長くないスパンでは、そうでないときもあります。
以下は、2011年以降の米消費者物価指数と米生産者物価指数(総合・前年比)の推移を重ねたグラフです。

※米労働省労働統計局のデータをもとに作成
※発表元により、過去のデータは修正されることがあります(最終情報取得日:2021年3月17日)
これは、原材料費や製造コストの動向が最終価格(消費者の購入価格)へ波及するまでには、一定のタイムラグが存在するからです。また、製造業者が売り上げの減少を避けるために、上昇したコスト分を最終価格に上乗せしないこともあるからです。
好景気で消費者の財布のヒモがゆるく、モノがよく売れるときは、製造業者が最終価格を引き上げることで、生産者物価指数はさほど上昇せず、消費者物価指数の方が上昇することもあります。
(最終更新日:2021年3月30日)
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