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第6章 ファンダメンタルズ

世界中の市場参加者がもっとも注目する、
米国の金融政策を決める「FOMC」って?

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■世界中が注目するFOMCってなに?

FOMCは世界中の注目の的

 米国の金融政策の決定で中心的な役割を担うFRB(米連邦準備制度理事会)が、6週間に一度、年8回のペースで開催する会合が「FOMC(Federal Open Market Committee)」です。米国の政策金利や、当面の金融政策の方針を決定する超重要イベントで、日本語では「米連邦公開市場委員会」と称されます。

 FOMCの決定事項は、米国の金利や株式だけでなく、為替やあらゆる金融商品に大きな影響を与えることから、世界中の市場関係者が注目しています。

■米国の金融政策のしくみって、どうなってるの?

 少し脱線して、米国の金融政策のしくみを簡単にご紹介します。

米国には他の主要国のように、中央銀行という単独の機関は存在しません。その代わりに、複数の組織体から構成される、FRS(連邦準備制度)という制度があります。FRSは正式名称の「Federal Reserve System」を略して、「Fed(フェド)」とも呼ばれます。

 そのFRSの構成機関の中に、中央銀行の役割を担うFRB、地区連銀と呼ばれる12の連邦準備銀行、そして金融政策の最高意思決定機関のFOMCが存在するしくみになっています(そのほかに連邦諮問委員会、FRSに加盟している市中銀行なども含まれます)

FRSの構成図

 FRSの中核をなす機関がFRBで、そのことから、FRBそのものがFedと呼ばれることもあります。FRB、正式名称「Board of Governors of the Federal Reserve System」は、議長と副議長を含む計7名(※)で構成されます。そのFRBが、金融政策を決定するために開催する会合がFOMCということです。

(※任期が満了する前にメンバーが退任したなどの理由で、7名に満たない体制で運営することもあります。空席は新しい理事を米大統領が指名し、上院で承認されて就任することで埋まります)

 FRBには、地区連銀を統括する役目もあります。米国では、地区連銀が金融政策以外の業務、具体的には米ドルの発行や民間銀行の監督・規制などといった、一般的に他国の中央銀行と同じような活動を担い、FRBがその最終的な責任を負うしくみになっています。

■米国の政策金利、FFレートってなに?

米国の政策金利 FFレートってなに?

 FOMCでは、通常、米国の政策金利にあたる「FF(フェデラル・ファンド)レートの誘導目標レンジ」、「今後の金融政策方針」、「先行きの景気動向や物価に関する判断」が決定されます。この中のFFレートの誘導目標レンジの決定が、政策金利の上げ下げ、いわゆる利上げや利下げです。

 もう一度、脱線しますが、FFレートについても簡単にご紹介します。

 米国の民間銀行には、預金残高の一定割合を、管轄する地区連銀へ預け入れることが義務づけられています。これは、金融不安などで金融機関の資金繰りが悪化した場合に備えるための制度で、米国以外の多くの国も、中央銀行に預け入れるかたちで同じような制度を導入しています。

 米国では、この民間銀行が地区連銀に預け入れる資金のことを「フェデラル・ファンド(Federal Funds)」(以下、FF)と呼びます。米国以外の国では、一般的に「準備預金」などと称されます。

 民間銀行の預金残高は、日々の業務活動で変動します。そのため、FFにも日々、余剰や不足が生じます。こうした過不足は「FF市場」と呼ばれる銀行間の取引市場で、銀行同士が無担保で貸し借りを行うことによって調整されます。その貸し借りを行うときに適用される金利が「FFレート」です。

 FFには金利がつかない(無利子)ので、必要以上の金額を地区連銀に預けていても、民間銀行にはなんの利益も生まれません。もしFFに余剰が生じれば、その分をFF市場でFFが足りない銀行に貸すことで、FFレート分の金利収益を得ることもできます。

 このFFレートが、米国の短期金利の代表的な指標とされていて、米国の政策金利という位置づけになっています。

■FFレートはどうやって調整するの?

 FRBは、FOMCでFFレートの誘導目標レンジを決定して、FFレートが誘導目標のレンジ内で推移するように、公開市場操作(オペ)を通じて調整を行います。一般的な手法としては、国債などの有価証券を買って資金を供給したり、保有している有価証券を売って資金を吸収するなど、流通する資金の量をコントロールして、FFレートの目標レンジを維持します。

 2008年11月のFOMCまでは、FFレートの誘導目標は1本値でしたが、同年12月以降は上限と下限の2通りを設定して、FFレートがそのレンジ内で推移するように、政策の方針が変更されました。上限と下限のレンジの幅は2019年に至るまで、0.25%が維持されています。

FFレートの推移

※1990年1月~2018年12月までのデータを掲載
※2008年12月以降は誘導目標レンジの上限を掲載
※FRBのデータをもとにザイFX!が作成

【FFレートの過去12カ月の数値データと過去60カ月のグラフは以下をチェック!】
経済指標/金利:米国主要経済指標の推移(政策金利)

 FRBはそのほかに、民間銀行が地区連銀から資金を借り入れるときに適用される金利となる、「公定歩合」の決定(※)も行っています。

(※厳密には地区連銀からの要請をFRBが承認して、地区連銀が変更を行うしくみになっています)

■FRBに課せられた使命とは?

 FRBには「物価の安定と雇用の最大化」という、2つの使命(「デュアル・マンデート」と言います)が課せられています。そのため、FRBは物価と労働市場の状況を考慮しながら、FOMCでFFレートの誘導目標レンジを決定しなければならないのです。

【参考記事】
知らない人はいないキングオブ経済指標! 米雇用統計は月に一度のお祭りイベント!?
物価は経済の体温計。インフレ動向を知る消費者物価指数・生産者物価指数とは?
米国の金融政策を予測できる指標がある!? 個人消費の動向を表す「PCE」とは?

 厳密には、FRBには「雇用の最大化」、「安定した物価」、「長期的に穏やかな金利」という、3つの追求すべき目標が掲げられています。そのことは、FRSの根拠となる連邦準備法や、FRBの公式サイトにも明記されています。

FRBの公式サイト
FRBの公式サイト

(出所:FRB)

 しかし、雇用と物価に関する目標を達成することができれば、穏やかな金利は自然に達成されるという考え方にもとづいて、通常は「最大の雇用」と「安定した物価」が、FRBの果たすべき目標と考えられています。

■FOMCは12名構成。FRBメンバー以外の5名は誰?

FOMCは原則として、12名のメンバーで構成されます。そのうち、FRBメンバー7名と、NY連銀(ニューヨーク連邦準備銀行)総裁の計8名は常任委員として、毎回の会合で政策に賛成するか反対するか投票する権利(議決権)を持っています。

 残りの4名は、NY連銀を除いた11の地区連銀が4つのグループに分けられ、各グループの中から1年交替でメンバーが選出される輪番制が採用されています。選出された地区連銀の総裁が、その年の議決権を持つFOMCメンバーを担当するしくみです。

FOMCの構成図

 しくみ上はこのようになっていますが、FRBの理事のポストに空席が生じているなどの理由で、FOMCメンバーが12名に満たないこともあります。その場合も追加メンバーの補充はされず、議決権のあるメンバーによって政策が決定されます。

 議決権のない7名の地区連銀総裁がFOMCに参加しないかといえば、そんなことはありません。オブザーバー(議決する権利はないけれど参加できる人)として、毎回、FOMCに参加していますし、FOMCが公表する経済予測に意見や見通しが反映されます。

 NY連銀総裁が常任委員という立場になっているのは、NY連銀がFOMCの決定方針にもとづいて、金融市場操作を行う実働部隊だからです。金融市場の世界的な中心地である、NYを含む地域を担当しているからという理由もあります。FOMCの副委員長を、NY連銀総裁が務める決まりになっていることからも、NY連銀が地区連銀の中でも別格の存在だというのがわかります(FOMCの委員長はFRB議長が務めます)

■FOMCのスケジュールはどうなっているの?

 冒頭でもご紹介したとおり、FOMCは現在、6週間に一度のペースで年に8回開催されます。深刻な金融危機が生じたなどの理由で、金融政策による早急な対応が必要と判断された場合は、臨時で会合を開催することもあります。毎回、火曜日と水曜日の2日間にわたって議論が行われ、最終日の2日目にはFOMCで決定した内容が盛り込まれた、声明文が公表されます。

 以下は、2018年9月のFOMC終了後に公表された声明文をキャプチャしたものです。FFレートの誘導目標レンジ、今後の金融政策方針、先行きの景気動向や物価に関する判断と決定事項が、おおむね5~6段落程度にまとめられ、1ページに収まる内容で示されています。

2018年9月のFOMC声明文
2018年9月のFOMC声明文

(出所:FRB)

 2ページ目以降には、公開市場操作などを通じた、金融政策の実施に関する決定事項が記載されています。

 2会合に一度、3月・6月・9月・12月に開催されるFOMCでは、FOMCメンバーの経済予測をまとめたレポート(Economic Projections)が、声明文と同時に公表されます。そのあと、FRB議長による記者会見が開催されるのが、通例になっていました。2019年1月のFOMCからは、年8回、すべての会合終了後に、FRB議長の記者会見が開かれています。

 一般的に、緩やかなサイクルで利上げや利下げを実施しているときは、経済予測の公表とFRB議長の記者会見の両方がある3月・6月・9月・12月のFOMCで、政策金利が変更されると考えられています。

 これは、政策の変更を決定した理由を、経済予測や議長自らの発言ですぐに説明できるという利点もあるからです。実際に、2015年12月からはじまった米国の利上げサイクルの中では、FFレートの誘導目標レンジの引き上げはすべて、3月・6月・9月・12月のいずれかで実施されてきました。声明文の公表しかない会合では、一度も利上げは行われていません(2018年12月時点)。

 声明文と経済予測をまとめたレポートは、2日目(水曜日)のNY時間午後2時に公表されます。日本時間だと翌午前4時、米国がサマータイム(夏時間)の期間は翌午前3時になります。FRB議長の記者会見はその30分後となる、NY時間午前2時30分からはじまります。日本時間だと翌午前4時30分、米国がサマータイム(夏時間)の期間は翌午前3時30分です。

FOMCの概要

■FOMCは何をもとに政策を決めているの?

 FOMCは、FRBが果たすべき「最大の雇用」と「安定した物価」の達成に向けて、労働市場とインフレの状況を考慮しながら金融政策を決定します。

 議論には、FOMCの2週間前に公表される、各地区連銀がそれぞれ管轄する地区の経済状況をまとめた「地区連銀経済報告書(ベージュブック)」や、FRB調査統計局が提出する「グリーンブック」と呼ばれる景気見通しをまとめた資料が、たたき台として使われます。

 そして、FFレートの誘導目標レンジや今後の政策方針などが、メンバーによる単純多数決で決定されます。多数決の結果は声明文にも記載されるので、誰が政策の決定に賛成したのか反対したのかが、すぐにわかるようになっています。

 余談ですが、ベージュブックやグリーンブックは、報告書の表紙の色がベージュやグリーン(緑)なので、そのように呼ばれています。日銀が公表する表紙がピンク色の「地域経済報告」を、さくらレポートと呼ぶのと同じです(「さくらレポート」と呼ぶために、表紙をピンク色にしているのかもしれませんが…)

FOMCが終了した日から3週間後の水曜日には、議事要旨(議事録)が公表されます。この中には、労働市場の環境、景気、物価、金融政策に関する判断を決定するまでの、FOMCのより詳細な内容が盛り込まれていて、今後の金融政策の行方を見極めるうえで、重要な材料となります。

■FOMCは時代とともに変化してきた

時代とともに変化する!?

 以上がFOMCのざっくりとした概要ですが、昔からずっと、ご紹介した形式だったわけではありません。かつてのFOMCは、毎回、火曜日のみの1日開催が一般的で、今のように2日間にわたって開催されるようになったのは、それほど昔の話ではありません。

 また、FOMC終了後に声明文が公表されるようになったも、1994年からです。それまでは、FFレートの誘導目標が変更されても、FRBはそのことをすぐに発表しませんでした。そのため、市場参加者はFF市場の動向を見て、FRBの政策を判断するしかなかったのです。

 議事要旨がFOMCの3週間後に公表されるようになったのも、2004年からです。それまでは、6週間後の金曜日に公表されていたため、市場参加者は次のFOMCが終わった2~3日後に、前のFOMCの議論の詳細を把握していました。

 さらに、3月・6月・9月・12月のFOMC終了後に公表されるFOMCメンバーの経済予測とFRB議長の記者会見も、2011年からはじまった制度です。先ほども少し触れましたが、2019年1月のFOMCからは、FRB議長の記者会見が、すべてのFOMC終了後に開催されるようになりました。今後も、金融市場の状況や時代の流れに沿って、FOMCの形式は変化していくと思われます。

■FOMCは何に注目すればいいの?

FOMCのここに注目!

FOMCを見るうえで大事なポイントは、まずはFFレートの誘導目標レンジが変更されるのか、すなわち、利上げや利下げが行われるのかといった点です。しかしこれについては、FOMCが開催されるまでに公表される米国の経済指標の結果や金融市場の状況、FOMCメンバーの講演や会見の内容から、事前にある程度は推測されて、市場参加者の中で見方が固まります

 FOMCメンバーも、そのことがわかっていますので、FFレートの誘導目標レンジの変更や据え置きを、市場参加者が予想外と受け取って金融市場が混乱しないよう、講演や会見などを利用した市場参加者との対話を通じて、ある程度、事前に周知させるような流れが主流となっています。

 そのため、市場の見方が分かれているときは別ですが、多くの市場参加者の予想が一致していて、そのとおりの結果となれば、為替相場が大きく動くことはあまりありません

 重要なのは、声明文に示された景気の判断や先行きの金利見通しに関する文章が、前回と比較してどう変わっているかという点です。つまり、前回のFOMCが終わってからの6週間の間で、FOMCの認識がどのように変化したかということです。たとえば、景気や物価、労働市場の状況に一段と自信を深めていれば、近い将来に利上げが実施されると予測できますし、利上げサイクルの途中であれば、利上げペースの加速が読み取れます。

 また、2会合に1度、3月、6月、9月、12月に公表されるFOMCメンバーの経済予測が、前回と比べてどのように変化しているのかも、同じように注目されます。さらに、FRB議長の会見内容から今後の政策の方針を予測したりと、FOMCはさまざまな角度から、FRBの金融政策運営の行方を見極めることができるイベントです。

 日本の深夜、というよりは明け方に近いため、多くの兼業トレーダーにとって、FOMCをチェックするのは大変だと思います。でも、非常に重要なイベントですから、特にポジションを持ったままFOMCを迎えるときは、忘れずチェックするようにしたいですね。

FX初心者のための基礎知識入門目次

第1章 FXをはじめるには
第2章 FXの基礎知識を身に付ける
第3章 FXをはじめよう
第4章 チャートの見方
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