YouTubeチャンネル「ザイ投資戦略メルマガTV」では、元国会議員で、邦銀のチーフディーラーとしても活躍した今井雅人氏の動画を配信しています。当記事を読んで、今井雅人氏が語る、日本の為替介入と米ドル/円の動向についてもっと詳しく知りたい!と思った人は、ぜひ動画をご視聴ください!
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東京市場以外でも断続的な為替介入に踏み切った政府・日銀。その狙いと今後の見方は?
FRB(米連邦準備制度理事会)をはじめ、主要各国の中央銀行が金融引き締めに走る中で、日銀は金融緩和政策を継続。為替相場では円安が加速し、9月22日(木)には政府・日銀が24年ぶりの米ドル売り・円買い介入に踏み切った。
この動きを敏感に察知し警戒していたのが、今井雅人さんだ。
政府・日銀は為替介入についてノーコメントを貫いているが、10月に入っても断続的に米ドル売り・円買い介入を続けているようで、NY市場やシドニー市場といった、東京市場がクローズしている時間帯にも為替介入をしているような動きが見られている。
直近では10月21日(金)23時台~翌4時にかけて、そして10月24日(月)の午前8時30分頃に為替介入をしていたような動きがあった。
こうした動きを、今井さんはどのように見ているのだろう。
「マーケットが開いていれば、為替介入はいつでもできます。介入効果を大きくしようということを考えて、意表をついたのではないでしょうか」
この一連の為替介入の計画を立てていると見られるのが、財務省の神田財務官。為替介入について記者からコメントを求められた際に、かなり強気な発言をすることでも知られる人物だ。
「ここからは推測ですが、1回目の為替介入(9月22日)の時は、FOMC(米連邦公開市場委員会)が終わり、日銀政策決定会合が終わって、そこから米ドル/円が上がり始めました。そして、1日で2円ぐらい上がったタイミングで、為替介入しました。
先週(10月17日~)も150円を抜けて、その後、2円ぐらい米ドル高・円安が進んだタイミングで介入しました。10月24日(月)も、ちょうど2円上がったタイミングで叩きにきました。
つまり米国と話している中で、過度な変動を止める介入というのはオフィシャルでも言っていることで、米国側にも説明してますから、過度な動きの定義というのは日々の変動が大きくないといけないのかなと」
(出所:TradingView)
1日50銭ずつ米ドル/円がじりじり上昇するような相場では、為替介入はやりにくいのだろうと話す今井さんだが、その警戒値幅とはどのくらいなのか。
「1日で2円上がってきたら(円安に動いたら)、少し警戒感を強めた方がいいでしょう。
10月24日(月)も介入していたとしたら、過去3回とも時間帯はそれぞれ違いますが、マーケットの動きは同じ局面で入っています」
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為替介入のやり方って?10月21日のニューヨーク時間の為替介入は戻って叩いての繰り返しだった
気になるのは、政府・日銀が使った為替介入の金額について。どのくらいの金額を使うと、誰の目で見てもわかるような動きが見られるのか。
「5兆円ぐらいはやっていそう。そうでなければ、あれだけの値幅は動かないでしょう」
10月21日(金)の動きを見ていると、断続的に介入が入っていたように見える。実際に為替介入のやり方としてどういったものがあるのだろう。
「自身の裁量なので、どんなやり方だってできます。
でも1回目の為替介入もそうでしたが、一気に落として(円を買って、米ドル/円を下落させて)戻ってきたら、また叩いて(円を買って)、戻ってきたらまた叩いて(円を買って)という風にして、チャートを見ると、おそらく10月21日(金)の23時40分ごろから始まった介入は翌4時ぐらいまではやっていたように見えます。
翌5時までやると銀行のオペレーション(事務処理)が大変になるので、1時間前までにしたのかもしれません」
(出所:TradingView)
「通常だと為替介入の2回目はこんなに効かないので、これだけ動いたってことは金額が大きいということです」
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イエレン米財務長官は日本の為替介入を知らないと発言。ただ、これで為替介入がやりにくくなることはない。その理由とは?
東京市場ではない時間帯にも実施している日本の為替介入だが、どういった方法で、米ドル売り・円買い注文を入れて介入をしているのか。
「東京市場ではない時間帯に為替介入する場合、方法は何種類かあります。FRB(米連邦準備制度理事会)に委託して為替介入する場合と、日本の当局者が為替介入の時間まで残っていて、各銀行に直接依頼するケースです。今回はFRBに委託してたのではないでしょうか」
イエレン米財務長官は日本の為替介入の件は知らないとコメントしている。イエレン米財務長官が米財務省と話をつけた上での介入という見方もできそうだが。
「それはイエレン財務長官は財務省の人間なので、FRBの関係者ではないから。FRBから財務省にそういった報告をする義務はありません。
委託介入といっても、FRBは単に執行を頼まれてやっているだけなので、FRBの意思で介入しているわけじゃないから、事務手続きなわけです。
そんなことまでいちいち報告しません。おそらくイエレン財務長官に連絡はいってはいるのでしょうけど、でもそれは公式な連絡じゃないので、連絡を受けていないと言っているんです。
この発言で、日本が為替介入しにくくなることはまったくありません」
イエレン米財務長官は日本の為替介入の件は知らないとコメント。ただこの発言で、日本が為替介入しにくくなることはまったくないというのが今井さんの見解 (C) Bloomberg/Getty Images
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神田財務官の「介入原資は無限にある」発言は言い過ぎ。介入資金は無限ではない
このように連日、為替介入を続けた政府・日銀だが、あとどのくらい為替介入を行える資金が残っているのだろうか。
「外貨準備の状況を見てみると大体200兆円で、そのうちキャッシュが20兆円ぐらい。米国債も少し売っているということも鑑みると、20兆円ぐらいまでは一応キャッシュは用意してあると思います。現状だと、その半分(10兆円)は使ったかなという感じでしょうか」
一方、神田財務官は「介入の原資は無限にある」と発言している。
「これは神田財務官が言い過ぎでしょう。為替介入資金は無限にはありません。やはり枯渇します。もしかしたら、米ドルは無限に借りられるということを言いたいのかもしれませんが、少なくともあの言い方では誤解を与えかねません」
FXトレーダーは為替介入がいつ来るかわからない中で身構えてしまい、常に警戒してしまっている。
「為替介入がいつ来るか?というのは、オバケがいつ出るか?というのといっしょで想定のしようがありません。たとえば、10月24日(月)の介入は朝8時30分ごろでした。為替市場は区切りがあるわけではないですが、東京市場は一応9時スタートということになっています。
こんな時間にやるのか……みたいな感じだったので、もう何でもありということではないでしょうか」
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米ドル/円はトップアウトしたのか?米国のターミナルレートを来年春に5.50%と想定すると、米ドル/円は160円まで上昇余地がある!
次に米ドル/円相場について、一時152円手前まで上昇した後は、日本の為替介入もあっていったん上値が重い動きとなっている。これはトップアウトしたと見るべきか。
「そう言っている人が増えてきていますが、それは『米国の利上げがそろそろピークアウトするんじゃないか』と言う人が増えてきたからでしょう。最近は、FRBの関係者がそういうことを言い出しています。
ターミナルレート(政策金利の最終到達水準)は、来年(2023年)の春をメドに5.50%ぐらいあると考えています。マーケットは現状だと5.00%ぐらいですね。
ターミナルレートが5.50%とすると、米ドル/円のターゲットは、160円くらいになるのではないでしょうか」
米ドル/円は、160円くらいまで上昇する余地があるという今井さん。日本の為替介入の効果をどう見ているのだろう。
「1回目の為替介入後、米ドル/円は上がりましたよね。今、これだけ目先でパンチを食らったので、みんな神田財務官に乗っかりたいと思ってるけど、時間が経過したら、また雰囲気は変わってくるでしょう。
そうなると、米ドル/円のメドは160円程度になるかなと。
155円と言っている人が多いようですが、どんな根拠があっての発言なのかがわかりません。160円まではいかなそうだな…ってことで155円か、などと言ってるのかもしれませんが、チャート的にも155円の根拠が何もないわけです」
11月発表の米雇用統計とCPIが、今後の相場の行方を左右する重要な指標に!
今後、どういった材料に注目した方が良いのだろうか。
「今後の鍵になる注目経済指標が11月4日(金)の米雇用統計と11月10日(木)の米CPIの発表です。
もしここで、雇用かCPIのどちらかが鈍化することになれば、もしかしたら米ドル/円は160円に届かないかもしれません。そういった意味でも、2つの経済指標は今後の相場の行方を左右するくらい重要な発表になると見ています。
インフレや雇用が鈍化すれば、そのまま下がっていってしまうので、雰囲気はいっぺんに変わってしまうでしょう。
一方、強い結果となれば、また米ドル/円は急騰する可能性も十分あります。そうなると、日本の為替介入があるかもしれませんが…」
では、現状の米ドル/円の上昇相場は、何合目くらいにあるのだろうか。
「今の米ドル/円相場は、終盤に来ているのは間違いないです。
でも終盤だからといって、まだ10円、20円上昇する余地があるかもしれないし、最終局面かどうかはわからない。7~8合目まで来ているとすれば、まだ2~3割は進む可能性もあります。
これでピークアウトした、とはとても言い切れないと思います」
(出所:TradingView)
(取材・文・編集/ザイ投資戦略メルマガ 撮影/和田佳久)
【※当記事の内容をもっと詳しく知りたい方はこちらの動画をチェック!】
⇒「為替介入以外に円高要因なし!米ドル円はトップアウトせず160円を目指す!11月発表の米CPIがターニングポイントに!? 1発目為替介入を的中させた今井雅人が語り尽くす!」
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