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西原宏一・叶内文子の「FX&株 今週の作戦会議」

ユーロ/円は、日経平均の最高値更新を横目に押し目買い! 米財務長官の発言で米大幅利下げ予測が浮上。インフレ率を押し上げたウクライナ戦争が終結なら利下げ予測拡大へ

2025年08月18日(月)16:05公開 (2025年08月18日(月)16:05更新)
西原宏一&叶内文子

FXトレーダー・羊飼いに聞く、初心者におすすめのFX口座の選び方とは?

日米株価指数が史上最高値更新! ベッセント米財務長官の発言で米利下げ予測拡大

西原宏一(以下、トレーダー西原)叶内文子(以下、MC叶内) みなさん、こんにちは。

トレーダー西原 暑いのは気温だけじゃない、マーケットも"熱波”でしたね。暑さにまけず頑張りましょう!

それでは叶内さん、まず先週(8月11日~)の株の振り返りからお願いします。

MC叶内 よろしくお願いします。熱中症に気をつけましょう。

 米国株は、ナスダック総合指数とS&P500が最高値を更新、NYダウも一時最高値を上回る場面がありました。 週間では、NYダウが750.51ドル(1.74%)高、ナスダック総合指数が0.81%高、S&P500が0.94%高とそろって2週連続の上昇でした。

 CPI(消費者物価指数)が落ち着いた数字だったことで利下げ期待が高まり、ベッセント財務長官の発言も後押しになったのでしょうか、大幅利下げの思惑までありました。

 その後、PPI(卸売物価指数)や輸入物価、ミシガン大インフレ期待は上振れましたが、弱めの小売り統計などを材料に利下げ期待は低下していません。マグニフィセントセブン(※)も上昇。小型株の指数ラッセル2000の大幅上昇が目立ちました。

(※マグニフィセントセブンとは、米株式市場を代表するテクノロジー企業であるアルファベット、アップル、メタ、アマゾン、マイクロソフト、テスラ、エヌビディアの7社を指す)

 日本株も米国株高を受けて2週連続で上昇。日経平均は先週末比1557円83銭高(+3.73%)の43378円31銭と最高値を更新しました。2024年7月11日(木)以来です。TOPIXも+2.76%で続伸、前週に続いて最高値更新です。

日経平均 週足
日経平均 週足チャート

(出所:TradingView

 連休明けから買われ、8月13日(水)まで6連騰。過熱感も指摘されるなか、全体としても減益決算のなかで、加速度をつけて上がっていくサマは踏み上げを連想させました。
買い遅れた向きが多かったのかもしれません。

 通常なら高校野球が始まると出来高が細ると言われ、先週はお盆休みに入って様子見かと思いきや、売買代金も高水準を維持しました。

 今やお盆も海外勢のバケーションも関係ないのかもしれません。売買しているのは機械なのでしょう。

 AI相場の日本株での象徴であるフジクラが最高値更新。ソフトバンクGも高値をとりました。好決算のサンリオが売買代金トップで連騰しています。

 途中、8月14日(木)に一服したところでは、ベッセント米財務長官の「日本銀行はインフレ抑制に取り組む必要がある」との発言を気にしたとの見方もありました。日銀の利上げはどうなんでしょう。。。

 なお、週末には米ロ首脳会談が行われ、ウクライナ戦争の停戦合意には至りませんでしたが、協議は継続としています。

 為替はいかがですか?

トレーダー西原 叶内さんもご紹介してくれましたが、先週の為替市場の注目は、米金利の大幅利下げ予測の拡大。

9月17日(水)の米国の0.25%の利下げ織り込みは一時100%となり、一部では0.50%の大幅利下げ予測も浮上しました。

 この予測の背景には、スコット・ベッセント米財務長官のコメントがあります。


ベッセント氏は13日のブルームバーグのテレビインタビューで、連邦準備制度理事会(FRB)に対し、「9月に50ベーシスポイントの利下げから始まり、一連の利下げを行うことができると思います」「あらゆるモデルを見れば、おそらく150〜175ベーシスポイント引き下げるべきだと示唆しています」と述べ、一連の利下げ実施を明確に要請しました。
FRBの政策担当者は前回の政策会議で、政策金利の目標レンジを4.25%から4.5%に据え置きましたが、ベッセント氏は、「労働市場に関する改訂データを認識していれば、金利を引き下げたかもしれない」との見解を改めて表明しました。
彼は、8月1日に労働統計局が発表した、5月と6月の雇用者数が258,000人下方修正されたデータを引き合いに出し、「6月と7月にも利下げがあったかもしれない」と指摘しています
(出所:Bloomberg)


 これ呼応して、主要通貨は総じて米ドル安に推移しています。

 一方、週末に米ロ首脳会談がアラスカで行われています。これに関しては展望で取り上げます。

 それでは、今週(8月18日~)のイベントと株のチェックすべきポイントをお願いします。

ユーロ/円を押し目買い! 多くの為替トレーダーが日経平均の最高値更新に注目。ウクライナ戦争終結なら米利下げ予測はさらに拡大へ

MC叶内 今週最大の注目材料は、8月21日(木)~23日(土)のジャクソンホール会合です。パウエルFRB議長の講演は8月22日(金)の予定です。

【※関連コンテンツはこちら!】
ジャクソンホール会議が行われる建物はジャクソンホール? なぜ、ジャクソンホールは世界中のトレーダーの注目を集めるのか?

 利下げ期待は継続で、株式市場は楽観ムードが続く可能性があり、押し目買いでしょうか。

 金融政策関連では、8月20日(水)にFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨が公表されます。9月利下げに関してどんな議論がされていたのでしょうか。

 さらに翌週、8月27日(水)にエヌビディアの決算発表が予定されています。先週はアプライド・マテリアルズが決算を受けて売られました。関税・米中問題も絡んで、AIや半導体関連株の動きにも注目です。8月18日(月)にパロアルト・ネットワークスの決算発表があります。

 そのほか決算では、ホーム・デポが8月19日(火)、ロウズ、ターゲットが8月20日(水)、ウォルマートが8月21日(木)に予定されています。米消費の動向を確認したいところです。

 経済指標は、国内では8月20日(水)の6月機械受注、8月22日(金)の7月全国CPIが注目です。

 海外では8月19日(火)に発表される米国7月住宅着工件数、8月21日(木)の米国7月コンファレンスボード景気先行指数、欧米8月PMIに注目しています。8月20日(水)に発表される中国8月最優遇貸出金利もチェックすべきでしょう。

 なお、8月20日(水)はRBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])とスウェーデン中銀が政策金利を発表します(※トレーダー西原:RBNZは3.25から3.0%への利下げで織り込み済みです)

 金利急騰懸念は薄らいでいますが、8月19日(火)に日本20年債、8月20日(水)に米国20年国債の入札があります。なお、8月23日(土)には韓国大統領が来日し、日韓首脳会談が開催されます。

 為替はいかがですか?

トレーダー西原 僕は株、コモディティもトレードするので当然ですが、多くの為替トレーダーも日経平均の史上最高値の更新に注目しています。

 日経平均が急騰しているリスクオンの環境下では通常、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が上昇します。

 しかし、先週の米ドル/円は一時146円台前半まで反落しています。

 この米ドル/円の下落は、ベッセント米財務長官が「日本はインフレ問題を抱えており、私見だが、日銀は後手に回っており、利上げするだろう」とのコメントが影響しています。

 ただ、注目すべきは日経平均の上昇。本稿執筆時点の日経平均は379円高の4万3757円で続伸。そのため、米ドル/円も147円台半ばまで反発。この背景には、ウクライナ戦争の終結期待も挙げられます。

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 4時間足チャート

(出所:TradingView

 週末の米ロ首脳会談は、多くの西側メディアで批判が殺到しました。

 例えば「トランプ米大統領は、ウクライナでの戦争の停戦についてロシアのプーチン大統領から何の言質も得ることができなかった」、または「華々しく幕を開けた会談は拍子抜けの結果に終わった」といった意見がありました。加えて「これで西側諸国が続けてきたロシアの孤立化政策は終わりを迎えた」など、散々な内容でした。

 一方、米国のウィトコフ中東担当特使によると、トランプ米大統領とロシアのプーチン大統領は8月15日(金)にアラスカで開かれた首脳会談で、米国がウクライナに安全保障を提供できるとの考えで一致しました。ウィトコフ氏は8月17日(日)、CNNの番組で「米国や他国が北大西洋条約機構(NATO)の第5条に類似した確約をウクライナに事実上提供し得るとの見解で、われわれは一致した」とコメントしています。

 ただし、トランプ氏は8月15日(金)の米ロ首脳会談を経て、ウクライナに領土問題でロシアに歩み寄るよう求めています。

 ウクライナが求めるのは、まず下記の点になると思われます。

①即時停戦、和平で合意
②ウクライナの領土割譲はなし
③ロシア軍は2014年より前にいた位置まで完全撤退

 ただ、これは実現可能なのでしょうか?

 ウクライナがトランプ大統領の提案を拒否すれば、米国の支援が停止される可能性があります。

米国の支援がなければ、ウクライナは戦争を続けることは難しいといわれていますので、結果的にウクライナ戦争は終結する可能性が高まります。

 ウクライナ戦争はグローバルにインフレ率を押し上げたといわれていますので、仮に和平が合意されれば、FRBの利下げ予測が拡大すると想定されます。

 結果、ウクライナ情勢を横目で見ながら、ユーロ/米ドル中心に米ドルは軟調に推移。

 史上最高値を更新している日経平均が、米ドル/円の下落余地を限定的にしているため、今週はユーロ/円を押し目買いでしょうか。

ユーロ/円 4時間足
ユーロ/円 4時間足チャート

(出所:TradingView

トレーダー西原MC叶内 それでは、今週も株と為替のトレードを楽しんで行きましょう!


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