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田向宏行
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持田有紀子の「戦うオンナのマーケット日記」

ユーロペッグに踏み切ったスイス、
円への警戒はあるが円安方向も重たい

2011年09月07日(水)19:12公開 (2011年09月07日(水)19:12更新)
持田有紀子

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 昨日の欧州時間では、スイス中銀が為替相場に積極的に対して積極的に行動を起こした。為替レートを対ユーロで1.2よりもスイス高の水準を許容しないというもの。為替レートの規模価格を打ち出してくるのではないかとの観測はあったが、それがどの程度のレベルになるのかという問題があった。

 1.20台というのはここ2、3カ月の推移から見ると、たしかにスイス安とは言えるが、過去の10年間の歴史から比べるとかなりのスイス高である。昨日は早急なスイス安を牽制するのには一役買ったが、これは長い目で見ると、とてつもないスイス高水準を当局が容認したともいえることになり、中長期的には問題視されそうだ。

 そのスイス安を維持するための根拠として打ち出されたのが無制限介入だが、それをやってしまうと社会主義的になってしまうという弊害がある。中国などと同じ、管理通貨に入ることになるわけだ。これは中立国であることを看板にしているスイスにとっては、金融立国としてのバリューをことごとくおとしめるものである。

 そういうわけで、昨日の欧州市場ではこうしたSNBの通貨対策でバタついた。夕方に発表された直後は確かにスイス安には向かったのだろうが、それよりも不安に陥っていたマーケットに対して明らかなメッセージを送ったということでリスクテークの動きが活発化した。

 それで欧州株などは値を戻し始め、それにともなってクロス円なども買い戻しが先行した。これまでリスクの総本山と思われていたユーロに、急激な買い戻しが入って、ユーロドルは1.42台の後半までジャンプアップ。これはユーロスイスの急騰につらなるものであるのは言うまでもない。

 しかしスイス効果が一巡すると、急激なスイス安は欧州通貨安を導かないではすまなかった。通貨安は次第にユーロやポンドにシフトし、ニューヨーク時間にいたるころには、ユーロドルはすでに発射地点よりも安いレベルまで急落していた。これにはギリシャの短期債の利回りが53%を越えてきたという後ろ向きの材料もあるにはあったが、やはりスイス安が欧州安を導いたものとみてよいのではないだろうか。

 私はユーロドルがベアだったので、逆張りの形にはなったが、ユーロドルが一度吹いてくれて、うまく1.42台でショートメーク出来ていたので、あんまり欲張らずに1.40台に戻ってきたところで買い戻した。

 さて次に問題視されてくるのが、同じ立場に置かれた日本の対応である。「80円以下は許さない」といった瞬間に、ドル円は吹っ飛ぶのであろうが、81円では何もしないということになり、産業界からは不満の声が上がるだろう。またこれだけ積み上がった外貨資産を前にして、無制限介入は許されない状況だ。

 ただでさえ実質的には売れない米国債だなどと揶揄されているうえに、現政権は特別会計を見直して財源を捻出しないといけない立場にある。また元首相は前財相だ。バランスシートを無駄に膨らませることに大きな抵抗があってしかるべきだろう。本日からG7財相会談もあるが、スイス当局の決定を踏まえて、日本は牽制される可能性もある。

 本日の日銀の決定会合では、昨日のSNBに見られるような方策は打ち出されなかった。ドル円はやや目先が重い展開となっている。今晩も小さい経済指標はいくつかあるものの、今は昔のデータよりも現今の欧州の状況の方が重要だ。ドイツ国内では、それでも支援がすんなりいきそうにない材料もたくさん出てきている。

 欧州株が果たして下がらないで値を維持できるかどうか。また米国株もオバマ大統領の景気対策をひかえてどうなるのか。いまだにユーロ円が108円台にいるあたりが、いまだに不透明感が払しょくできていない証拠のようにも思える。


日本時間 19時00分

 


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