昨日の欧州市場での注目点は、ユーロドルの成り行きであった。金曜日と月曜日に1.3170あたりの高値をつけにいったものの、1.30台にまで押し戻されてしまっている。これを上値の重さととらえて、戻り売りスタンスで攻めていくべきなのか。それとも依然としてユーロの買い戻しモードは続いており、しかるに絶好の押し目と考えて買い場探しで臨むべきなのか。
これをチャートで判断すると、やはり短期的な上昇トレンドの中にある。日足で見るならば、上げが急だったこともあり、トレンドラインの下限は1.27台という、ひじょうに遠いところに存在している。そこまで下がることがあっても、上昇トレンドの中にいるということだ。時間足で見ると、そのトレンドの下限が1.3000あたりにあるようだ。どちらにしてもユーロの下攻めをしたときのビッドの堅さを確かめたいところだ。
欧州時間ではドル円は小動きだったが、ユーロドルはやや重い。スペインが支援要請を渋っているので、それが問題解決の困難さを象徴しているようで、欧州の信用不安も再燃の不安が出てきた。それでスペインの長期債も利回りが再び上昇に向かった。これでユーロ売り圧力が増したようなのだが、ユーロが売られたと言っても、1.30台のミドルまで。
ユーロドルが1.30の大台を割り込むような大きな動きにはつながらなかった。勢いが出て、しかもユーロクロスの激しい売りなども交えての下落ならば、私もユーロドルのショートで参戦したところなのだが、ちょっと不完全燃焼のような下げだったので、売り参戦は見送った。
QE3について、FEDのメンバーの意見が割れている。昨日の要人発言を拾ってみるだけでも、相当に意見が食い違う。エバンス総裁やフィッシャー総裁は、現行の金融緩和でもまだまだ足りないとし、雇用のデータに著しい改善がみられなければもっと増額して追加緩和をおこなうべしとしている。
一方でブラード総裁やラッカー総裁はQE3にそもそも反対であり、インフレなどの副作用をともなうので危険なるとする立場。議長のバーナンキが緩和を容認する姿勢だから、結果的に緩和をやっているだけという構図になっている。失業率の改善といっても7%を割り込むあたりがひとつの目安となっているようなので、このままだとあと3年くらいは緩和を継続することになり、FED内部の意見の対立も続くことになりそうだ。
ところで本日は日銀の政策会合があった。そもそも何も期待されていなかったので、短期債と長期債に5兆円ずつの資産買い取り枠の増額というのは、ある意味ではサプライズだった。その量的緩和がどのくらい下振れリスクをセーブすることができるのかは不透明だが、とりあえず日本も行動を起こしたということで世界から評価は得られそうだ。
日経先物も100円ほど上がったが、量的緩和ということで円売りも進んでドル円は79円台まで乗せてきた。ここ最近の中期レンジである77円台から79円台の、上限に近付いてきた。日銀の会合が終わったということで、材料出尽くし。すなわちドル円の上げもこれまでと考えるか。それとも円の魅力が低下したということで、さらに円安が進むのかである。これも見極めの時期に差し掛かっている。
現在のマーケットはQE3以降はリスクテーク状態のままになっていて、むしろ値動きは小さいものとなっている。昨日の米国株などは今年最少の値幅ではないだろうか。だからチャート的にも短い足が連日ならんでいることになる。ここから一段高するのか、それとも折り返し地点だったということになるのか。今晩は住宅着工と中古住宅の、二つの住宅関連の指標が出る。注意しなければいけないところかもしれない。
日本時間 17時50分
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