先週の金曜日、アジア時間にもドル円が95円台に乗せてきて円安であると騒がれていたが、欧州時間にいたってもまったく下がらず。これまで上限として振る舞ってきた94円台の後半がブレークしたことで、さらに外向きの力が強まっているようだ。欧州序盤ではドル円は95円台のミドルまで到達し、その分だけアメリカの雇用統計に対する期待も高まっているのであろう。
私も上抜けだと思って、ドル円をちょこちょこと買ってみたりはするが、5ポイントや10ポイントでやめてしまう。テクニカル的に買っているだけなので、トレンドフォローの側面が強い。雇用統計への期待が強すぎて、もし反対に予想通りであったり、仮に悪かったりしようものならば、その反動が恐ろしいので、ファンダメンタルズの面からは円ショートのポジションをキープするつもりはない。
そういうわけで指標発表の直前、5分前とかからは、ドル円かユーロドルをショートに構えようと思った。ドル円は高値追いのままなので、買いたい人でいっぱいだろう。だから手を出しづらい。しかしユーロドルならば指標が良ければドル買い効果で下がるかもしれないし、指標が悪かった場合には大いなるリスク回避によってユーロ売りが進む可能性が高い。
どちらに転んでもユーロドルのショートは安全に保有できると思い、ユーロドルを1.3092で売っていった。ロスカット幅は20ポイントほどだけ見ておく。市場の関心がドル円の動向に集まっているのに、ユーロドルを取引するのはいかにも残念ではあるが、危ないものにむやみに手を出すだけがトレードの正当な手法ではないだろう。安全性も考慮に入れる必要があろうというもの。
結果はたいへん良かった。就業者数は20万人増を越えているかもしれないという見方もささやかれていたが、それを大きく越える23万人超の増加となった。失業率も7.7%と低下したことも大きかった。マーケットはリスクテークの流れとなって、グローベックスでの米国株は急騰。
今年の最高値圏を更新したのは言うまでもない。ドル円も96.54まで急騰した。私にとって問題のユーロドルはどうかというと、為替相場は純然たるドル買いに動いたせいもあって、下落に向かった。とても危ないポジションだとは承知している。ユーロドルは1.3000を手前にして、なかなか割れなくなった。そこで1.3027で買い戻したが、そのあと1.29台に突入した。
ニューヨーク市場での午後はドルにも株にも利食い売りが出て、すべてがやや戻した。私の目も再びドル円に向かっているが、ドル円は95円台の中盤まで押し込まれた後に、ニューヨーククローズにかけてはまた96円台に戻して終了。週明け以降に勝負は繰り越された格好だ。
週明けの為替相場に際立った波乱はなし。ドル円はニューヨーククローズのあたりを中心にして狭いレンジでもんでいる。今日から米国市場は夏時間に入るので、海外市場でも間延びして待っている時間が少なくなる。今日はイベントがない。夕方に安倍首相の会見が予定されているが、震災に向けたメッセージが出てくるだけだし、TPP参加にまで踏み込むとは思われなかったが、やはりそうだった。
ドル円がまだ上がって行けるのかどうかは、米国株をはじめとする株価の上昇余地がどれだけ残っているかにかかっている。雇用のデータは改善を示しているが、それがドル金利の先高観を呼んでいるのも事実。金利上昇は素直にドル買い材料ではあるが、株価など資本市場の値崩れを引き起こすようだとリスク回避を強いられることにもなりかねない。それを見ていく上での大事な一週間になりそうだ。
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