先週の金曜日は中国の全人代が開催された。注目は今年の経済成長見込みだったが、予想されたことだったが発表はされなかった。共産党の計画経済なのだから努力目標だけでも出せばよいのに、腰だめの数字ですら出てこなかった。それだけ中国も資本主義に真面目に直面しているということなのだろう。
問題は経済よりも香港の人権のほうに移ったようである。香港の治安悪化を防ぐための法案が用意されているという。香港の自治当局側も賛同しており、それが世界的に警戒を強めることとなった。
米中対立の激化を懸念して、グローベックスでは米国株が下げ幅を拡大してきた。また日本株も珍しく下押しの状態となった。ドル円やユーロ円も値幅こそ小さいが、それでも売り圧力に押される展開となった。
その後の為替相場は実に小動きな状態が続いたが、米国株のほうは切り返した。アレルギー研究所のファウチ所長がワクチン開発にかなり楽観的な見方を示したからである。
本日はメモリアルデーで市場参加者が少なくなる。ちょっとマーケットには動意に欠けるところが出てくるだろう。為替相場もドル円やユーロドルも上下30ポイントくらいにおさまるものと思われる。
株価からの注意点を挙げておきたい。コロナ問題の後でも4月の米国株は大幅高をした。そして5月になってからも、まだ上昇を続けている。しかし5月は「Sell in May」といわれるくらいに株安のシーズンだ。去年の5月も途中までは堅調であり、最後の最後で切り下がったものである。
そうすると注意しないといけない押し目というのは、今月の始値である。米国株の代表であるS&P先物の場合は、5月のスタートは2874ポイントであった。これを下回れば最低でも5月は陰線を形成することになり、やはり5月は株を買うのではなかったというパターン通りになる。
先週末のS&P先物の引け値は2953ポイントだ。これは決して小さい値幅ではないが、材料次第では1日で届かない距離でもない。今週の株価の動向は、そうした意味でも重要である。なお日経先物の5月始値は19930円であり、ほぼ600円の開きがある。今は株価が高いので注意がそれてしまっているが、念頭には置いておかないといけないだろう。
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