昨日はラガルド総裁の発言に注目された。懸案のユーロ共同債に関してどのような見解を示すのかをマーケットが確かめたがっていたからだ。しかし経済回復への具体的な言及はなく、また金融政策に関する踏み込んだ意見も出てこなかった。
しかしドイツの通信社の報道で、ユーロ圏の救済策の素案が出てきた。規模は7500億ユーロであり、そのうち5000億ユーロは返済なしの支給で、2500億ユーロは融資だとするもの。その財源としてユーロ圏全体で責任を取るべきユーロ共同債のようなものを充てるということだ。
これでマーケットは安心感を得たものか、全体的にリスクテークが進んだ。大きな財政支出も伴うことでもあり、欧州債は目に見える形で値下がりした。
ユーロの長期金利の上昇はユーロ買いをも巻き起こした。いずれは財政支出の話しが出てくるだろうということでの、ここ最近のユーロ高であったのも事実だ。ユーロドルは1.10台に乗せてきて、短期筋の買い戻しをなおも誘った。
ニューヨーク序盤ではユーロドルが調整売りにさらされこともあったが、ユーロクロスのビッドにも支えられて再び1.10台まで戻してきてニューヨーククローズを迎えている。
今晩は全人代を終えて香港安全法にからんだ米国側の対応に注目が集まる。これだけ制裁をおこなうと発言しているのに、マーケットではなんの恐怖も感じていないからだ。どうせ口だけで何も具体的な対抗措置はとらないだろうと見切られているからだ。
いちおうはトランプ大統領やポンペイオ国務長官などから厳しいコメントも発せられるだろうが、それでリスク回避になった後の始末を見極めたいところだ。結局は何ごともなかったかのように株価も為替レートも元に戻ってしまうかもしれないからだ。
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