昨日はカナダ中銀が25ベーシスポイントの利上げを決定した。この内容は予想通りだったのだが、なぜ注目を集めるかというとカナダはアメリカの経済圏内であり、次のFOMCでの政策動向を探る上でも役立つとみられているからだ。事実、カナダの金融政策はアメリカに先行している。
カナダが75ベーシスに利上げ幅を拡大したときもそうであったし、50ベーシスに利上げ幅を縮小したときもカナダ中銀が先行した。それゆえ今回の利上げ幅25ベーシスというのは、2月のFOMCでの利上げ幅縮小におおいに含みを持たせるものであった。
さらにこれまでの利上げの累積効果を見るために利上げの一時停止の可能性も示唆し、これを受けてアメリカもそうなるだろうということで、ドル相場が下落した。ドル円は130円の大台を割り込んで129円台の前半まで急落したのだ。
しかしドル安は長くは続かず、1時間ほどで元のレベルにまで戻ってきた。それでも130円には達せず。再びズルズルとドルは値を下げて、ドル円もユーロドルもほぼドルの安値引けに近い形となって終わった。
ところでついにドイツが戦車の提供に合意した。ドイツが嫌嫌なそぶりを見せて、アメリカに急かされるようにして武器供与する形になるだろうことは容易に想像されることであった。ウクライナに武器供与をしないわけにも行かず、かといってロシアに不利になることをあえてやっているようには見せたくないからだ。
ガスの供給のこともあって、ロシアとは揉めたくもないし、ましてや戦争もしたくない。その結果としてこれだけ歯切れの悪いプロセスをたどったのだろう。しかし戦車を提供してウクライナに見方をするならば、最初から旗色を鮮明にしておかないとどっちつかずになって、アメリカやイギリスなどからも信頼を失うこととなる。これはマキャベリの主張するところでもある。
ドイツ製の戦車は、第2次大戦ではソ連やアメリカの大量生産による工業力に負けた歴史もある。すぐに壊れてもたくさん作れるT-34にはかなわなかったのである。米ソの戦車は機能性重視の影響で、見かけは不細工だ。子供が作るプラモデルもドイツ軍の戦車ばかりだ。フォルムが美しくて、製作意欲をかき立てるのだろう。レオパルト2は欧州に標準配備されているのでNATOとしても当然の流れだろうが、これにより勧善懲悪で終わるものかどうか。
さて今晩も米企業決算のおおどころやGDP速報値の発表があるが、ソフトランディングシナリオがここ最近のマーケットのベースになって動いている。予想ではプラス2.8%と強めのGDPと失望も含んだ企業決算というまだらな状況は続いて、ドル相場を方向感を持って動かす決定打にはならないかもしれない。
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