昨日の欧州序盤で、ドイツ憲法裁が予定通りに判決を出すという報道が出て、一気に欧州の信用不安が薄らいだ。予定通りということは、揉めることもせずに穏便な判決が出ることになるだろうという観測がたったからだ。それでユーロは買い戻しに勢いづき、1.27台のミドルまで押し込まれていたユーロドルも1.28台まで値を戻した。
私もスモールではあるが1.27台でショートキープしていた一人である。他の多くのプレーヤーもそうであったのだろう、1.28台にまで戻ってくると、いきなり上げペースが鈍くなった。またドイツの財務相がユーロ共同債や銀行同盟には依然として反対という意見を表明したことも、ユーロの上昇を鈍らせた。
アーリー・ニューヨークでは猛烈なドル売り相場が始まった。ドル円も完全に77円台入りしてしまっている。今度はドル売り要因としてユーロドルが再び1.28台に乗せてきた。ムーディーズの発表で、アメリカでの予算審議の過程で債務比率が減らなければ格下げもありうるとしたもの。
この報道は昨年の夏のS&Pによるアメリカの格付けによって大きくリスク回避となった時期を思い起こさせる。今年は7月下旬に政府と議会が6カ月の先延ばしを決定したので、予算やファンディングに関しての問題は来年の初頭に持ちこされたものだと思われていた。それがいきなり警告を打ち出されると、サプライズもあってドル売りをメインとしたリスク資産からの逃避行動につながりやすい。
ドル円も77円台まで落ちた後もリバウンドもなく、ユーロドルもひたすら高いレベルで、すなわち1.28台のミドルアッパーでステイした。FOMCも近づいてきたので、それに対する緩和期待も少しはあったのだろう。ドルはニューヨーク時間でも安値引けのような形となった。
本日もドル安の流れが続いている。これで本当に明日の夜中に金融緩和でもあろうものならば、ドル円も76円台に突入は避けられないかもしれない。それくらい、現状では追加緩和には懐疑的な見方も多いのだ。懐疑的になるもっとも大きな理由は高過ぎる株価である。今年の最高値近辺に張り付いているのに、わざわざ殿下の宝刀でもあるQE策を打つ必要があるのだろうという意見である。
その上、金利を超低水準に維持しておくには、原油価格や食料品の価格が高過ぎるのである。QE2のときも原油価格が114ドル台まで戻るなど副作用が出たこともいなめない。そういう見方も大勢を占めている以上は、追加緩和なんかしたら大ごとである。ドル円に限らず、ユーロドルも1.30台まで到達してしまうかもしれない。
夕方にドイツの憲法裁の判決が出て、条件付きで合憲とするもの。予想通りではあるが、それでユーロドルは1.29台をそろりとなめて、欧州株も急上昇。グローベックスの米国株も今年の最高値を超えてきた。ユーロドルがもうちょっと伸びるかと思ったが、存外に上昇幅は少ない。この後、反落となるのか。ニューヨーク時間の始まりまでは眺めていようと思う。
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