金曜日はいよいよG20の会合だった。日本の政策に関して、どのくらいの理解を得られるのか。それとも通貨安政策だということで世界中から非難を浴びせられるのか。それが最大の関心であった。すでにG7からも当たりさわりのない声明は出ており、おおむね、それを越えるようなものは出てくるはずがないというのが、マーケットのコンセンサスであった。
それでも欧州序盤ではリスクヘッジのためのドル円の売りもの、およびクロス円の売りものがたくさん出てきた。さすがにどうなるかもわからない結果に対して、リスクテークのままで構えているわけにもいかないということだろう。ドル円は92.23まで押し込まれた。いうまでもなく、私もドル円の売り態勢で画面の前に張り付いていた。
その前の週で麻生財務相が「円安のペースが速すぎる」とした発言のときに落ちたレベルが92.17だった。それでだれもが重要な節目と意識しているのが、92円台の前半なのである。買いたい人も売りたい人も重要なテクニカルポイントだ。これでスルッと抜けて、91.90なんて為替レートを見せつけられたら、一気に円高の短期トレンドになっても不思議はないという状況だ。
しかし徐々にドル円やユーロ円は切り返した。「G20の声明も先日のG7のそれに沿ったものになるだろう」というような観測が出回って、市場に安心感が出てきたためだ。また「日本は通貨政策に関して名指しされないだろう」という報道も、円売りの背中を押した。
G20の場で日本のスタンスが是認されれば、それで円安は再開するであろうと見込んでいた連中の円売りを大いに誘ったことになる。ユーロ円は122円台まで差し込んでいたのに、これも急反発。やがてドル円も93円台に乗せてきたが、アメリカの経済指標が良いものが並んだので、ドル買いのファクターも加わり、ドル円は93円台のミドルまで跳ね上がった。
正式な声明文は土曜日に発表となるのだが、月曜日はプレジデントデーでお休みとなるため、連休を控えたニューヨーク市場ではポジションの整理が急がれた。ニューヨーク時間の午後にはやや利食い売り優勢という感じも手伝って、ドル円は押されていった。
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