昨日はアメリカが休みだったので、為替相場での主な動きは欧州時間の午前中までとなった。ドル円は94.00をはさんで、ユーロドルは1.3350をはさんでの上下20ポイントで変動するのみ。静かな動きに留まっていた。
さてG20が終わったのだが、おおむね当たり障りのない声明であった。中国やインド、ブラジルなどの新興国からの通貨安政策に対する意見も封じ込められた感じがするし、またドイツやフランスといった欧州の為替レートに敏感な国々からの反対意見も封じられたようである。
つまりアメリカやイギリスが主張していることがそのまま文言となったように見える。会合であるから全参加者が納得いくように声明は統一しなければいけないのだが、これまで日本の手法を非難してきた国の反動がちょっと気にかかる。
ましてや3日連続で欧州株は下がっているのは通貨高のせいだとも言える。円が安いということは反対にユーロやポンドが高いということだ。それを放置できる状況にあるかどうかが問題となるのも、そう時間はかからないのだろう。そして旧正月をあけた中国株も大きく値を崩し始めた。
株価がすべて景気を表しているとは考えられないが、それでも当局者としては自国通貨高の悪影響がさっそく出てきていることを感ぜざるをえない。G20によって日本がお墨付きをもらったといって、さらに円安・株高が進むならば、それは裏返せば他国の不利益を助長していることを意味する。インド株もブラジル株も、ここ1、2週間での調整の幅は著しいものがある。
さて本日はアジア時間の午前中はドル円のトップオフの展開だった。朝いちで93.55あたりまで差し込んで、その後の急激なショートカバー。しかし94円ちょうどには至らなかった。ちょっとどっちつかずの展開だ。休み明けのアメリカの反応を見たいということもあるのだろう。
今晩のアメリカのイベントはない。為替相場はほとんどがテクニカルムーブに支配されると思うが、最近、存在感の薄くなってきつつある米国株の動向も材料となる可能性がある。これだけ日本以外の国の株価が調整を強いられる中で、米国株が高値追いをやめることになると、オバマ政権も「輸出倍増」などと言っていられなくなるからだ。
ただ週末に日米首脳会談が予定されているため、日本向けのメッセージはアメリカからは出そうにもない。とにかくドル円は上サイドは今年の高値である94.46、下サイドは麻生発言の後の押し目である92.17。このどちらかを射程にいれるような位置にこないと、ドル円は93円台でスタックしてしまうことを前提に動かないといけなさそう。
とりあえず欧州序盤では円の買戻しで動いている。麻生大臣が「円安にする目的で外債購入はしない」と発言したことが、多少、嫌気されているようだ。ドル円の押しを確認したいところ。
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