金曜日の海外市場ではウクライナ情勢にのみ関心が集まった。米ロ外相会談がロンドンで開かれていたし、国連安保理ではウクライナについての決議案が待たれた。そしてほとんど結果がわかっているとはいえ、週末にはクリミアの住民投票も控えている。そしてウクライナ東部での騒動も雲行きが怪しくなってきている。木曜日の海外市場から大きくリスク回避は進んでいたが、それを試す大事な一日になりそうな雰囲気をかもしていた。
欧州序盤ではドル円は101円台の後半で、ユーロドルは1.38台の中盤である。どちらも今年のレンジから言うと、ドルの安値圏にステイしているといえよう。ドル円は下げると今年の最安値が100.75なので、それがひとつのサポートを与える。そこでしっかりとホールドされるならば、今後のドル円反発の可能性も残すが、そこを割りこむと存外に深押しとなりそうな気配もある。
ドル円が98円台などを見ても驚かないという気持ちをどこかに持っていないといけない。それはユーロドルの上サイドも同じであって、水曜日につけた1.3967という高値をブレークしてきたら、1.42台くらいまでノンストップで行ってしまいそうだ。ともかくもドル安方向には気をつけてマーケットに臨んでいた。
マーケットはロンドンでの米ロ会談にはかなり楽観的なようだった。大きくドル円やユーロ円が下げる局面もなく、米国株がオープンすると株価も決して下がっていない。あまりリスク回避の動きが表に現れないので、私は積極的に取引するには至らなかった。国連決議や住民投票はマーケットの後の事になるので、マーケットを揺さぶる材料にはならないのではと思ったからだ。
しかしニューヨーク時間の午後になって、ようやく米ロ会談も終わり、武力侵攻はなさそうだという安心感は出たものの、両外相ともに時間の無駄だったみたいなことを言ったので、問題はかなり難解なものだという認識が広がった。米国株は値崩れこそしなかったものの、それでも小幅ながらにも安値引け。ドルも全面安となって終了。
そして国連安保理は、ロシアが拒否権を行使。またクリミアの住民投票もロシアへの編入を求める結果となった。どちらも予想通りだが、世の中のリスクは高まったはずだ。週明けのマーケットはどう反応するかに注目が集まったが、リスク回避がさらに拡がるというわけでもなく、どちらかというとショートカバーでの動きのほうがきつい感じだった。
今晩もウクライナ情勢に要注意となるが、住民投票を終えての欧米の反応、とくに要人発言で何が出てくるのを見たいところだ。緊張を避けたいとしている欧州は、本音としては制裁などもあまりやりたくないだろうし、制裁を強化したいアメリカとの温度差にも注意である。
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