■現実味が出てきたスコットランド独立の可能性
スコットランドの英国からの独立をめぐる動きが話題となっており、英ポンド相場などにも影響が出ている。
9月18日(木)に実施が予定されているのが、スコットランド独立の賛否を問う住民投票。それに向けて行われた世論調査が驚きの結果になったのだ。
9月7日(日)、英サンデー・タイムズ紙と調査会社ユーガフ(You Gov)はスコットランド独立に関する世論調査の結果を公表。独立賛成派(51%)が反対派(49%)を初めて上回ったのである。これによって、スコットランド独立という一大イベントがにわかに現実味を帯び始めたのだ。
■北海油田の発見と開発がきっかけ
スコットランドはなぜ独立を目指すようになったのか?
まず、スコットランド独立へのここまでの動きを確認しておこう。
上の年表を見てもわかるように、スコットランドは1707年にイングランドと合併しグレートブリテン王国の一部に。その後、北アイルランドの合併により、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国となった。これが現在の英国の原型となっている。
そして、スコットランド独立に関する動きが出てきたのは、「北海油田の発見と開発」がきっかけとなっているようだ。北海油田はスコットランドの「領海」の9割を占めるが、その恩恵を受けている英国に対して、スコットランドは不満を持っていると言われている。
そうした流れの中で、独立推進派で知られるスコットランド国民党(SNP)が油田の利益還元を主張したことで人気が高まっていったという。実際、スコットランド国民党は独立した場合、北海油田から多くの歳入を得ることができるとしている。
■独立推進派のスコットランド国民党が過半数に
さらに、スコットランド議会の設立もポイントになった可能性がある。スコットランド議会の設立は、1979年に住民投票で一度否決されているのだが、1997年に再度実施された住民投票では可決され、1999年にスコットランド議会が再開された。
そして、再開されたスコットランド議会では、当初は労働党が議席の多数を占めていた。労働党は英国の中道左派政党で、現在、英国議会で保守党と二大政党を形成している政党だ。
しかし、2011年5月に実施された選挙では、先に紹介した独立推進派のスコットランド国民党が過半数の議席を獲得。そして、スコットランド国民党は公約どおり、2014年9月18日(木)にスコットランド独立の賛否を問う住民投票を実施することを決定したのだ。

なお、スコットランド自治政府は、2016年3月24日を独立の期日に設定しているので、住民投票により独立が可決されれば、この日程に沿って独立に向けた動きが進んでいくとみられる。
■新通貨「スコティッシュポンド」ができるかも?
では、スコットランドが独立した場合、その経済や通貨にはどのような影響が出るのだろうか。
まず、スコットランドでは、仮に独立してもどの通貨を使うかが明確になっておらず、ロードマップもないことが懸念されている。
独立推進派のスコットランド国民党のサモンド党首としては、英ポンドを継続して使いたいとの思いがあるようだが、英国のオズボーン財務相は「スコットランドが独立した場合、英ポンドは一切使わせない」と発言しているので、簡単ではなさそう。
そうなると、「スコティッシュポンド」のような新通貨を作るか、もしくは…
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