昨日の欧州序盤ではドル円は上値攻め。日本株に引き続き、欧州株も堅調だったので、市場全体がリスクテークになっていた。だからクロスが主導する形で、ドル円も高いのだ。私は121.70アッパーはキャップされるだろうと考えていたので、そのちょっと手前では売りたくて仕方がない。
なぜなら8月の相場崩れの後の戻しの急所だからだ。もちろん相場なので、絶対ということはない。しかしゲットアウトするポイントも明らかだ。121.80を超えてきたら、すべて買い戻せばいいのだ。つまりテクニカルポイントの直前での挙動と同じだ。
そこで121.66で売れたので、しばらく待つ。しかしすぐに御用になった。そしてBOE(英中銀)の会合に向かって、ドル円はまったく下がらない状況となった。ニューヨークオープン前にドル円は122円ちょうどにワンタッチ。その後も利食い売りに押されるなどしたが、総じてドル買い圧力は強いままで、ドルの値崩れは大きくは起こらなかった。
今晩はアメリカの雇用統計が発表される。雇用統計は経済イベントのなかでも最も重要なものである。アメリカが世界経済をリードしているからでもあり、そのアメリカの国是の第一が完全雇用にあるからである。だから雇用状況の変化によって、アメリカの金融政策や財政政策に大きな影響を与えることになる。
前月に公表された雇用統計では、結果がすこぶる悪いものだった。経済のファンダメンタルズが悪いのだから、株価などは大きく下がってしかるべきであるのだが、すぐに株価はリバウンド。雇用環境が悪いのだから、年内の利上げはないだろうという観測が強まったからだ。つまり金融相場の側面が強まったのだ。そしてその流れは10月相場を支配し、昨日の夜まで続いている。その結果としてのドル円122円ちょうどであったのだ。
さて今回の雇用統計では、就業者数が18万人から19万人程度の増加が見込まれている。気になるのは市場の反応だ。今週になってイエレン議長はかなり明確に12月利上げを示唆したことで、いまさら利上げ見送りを議論することにはならないだろう。
ということは、結果が悪くても、ドル金利が低下したり、株価が一段高する可能性は少ないだろうと見られる。むしろ良かった場合はどうか。ドル金利の急上昇が株価の圧迫要因となるかもしれない。
時間差はあるのだろうが、米国株や日経先物ともに高い水準にいることもあって、リスクオフの形成になることのほうが注意が必要である。就業者数が20万人を超えてくるような増加だったら、最初はドルが買い上げられるかもしれないが、株価の反落とともにドルも下落に転じるのではないかと見ている。
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