先週末にドル円が106円台まで下落したため、心配されて週明けを迎えた。しかしフタを開けてみると、安いのを嫌うよりも、安いからという理屈で喜んで買う日本人の勢いが強かった。
早朝のセッションではドル円は106円台の中盤までしか差し込まず、それで底打ち安心感を得たのもあって、東京時間では一層の買い上げを呼んだ。また金融当局からのけん制コメントも出てくることも期待されたのだろう。
欧州序盤ではすでにドル円は107円台を回復してきていた。こうなってくると、もう106円台で売るわけにはいかないだろう。夜中にイエレン議長のスピーチを控えているので、それでかなりハト派的な意見でも出てこないとドル売りの背中は押されない。
すでに金融マーケットではドルの短期金利先物などが6月利上げはないものとしてプライスに織り込んでおり、よほど弱気な発言をしない限りは、ドルの一段安は望めない。
欧州時間からニューヨーク序盤に至るまでは、夜中のイエレン議長のスピーチを控えて様子見の姿勢が続いた。ドル円は強くなりそうな気配はしたが、私は1時半過ぎまで起きていることができなかったので、早々に寝て朝のセッションで参加することにした。
イエレン議長の発言の内容は、マイルドで想定の範囲内のものであった。今回の雇用統計をあまり悲観すぎることなく、かといって利上げのペースはゆっくりと、ということで、やはり6月利上げは見送られるのだろうという確信が得られた格好だ。つまり予想通りということであって、ドル金利にドラスティックな変化は見られなかった。
直後にドルは買われ、すぐにドル売りに転じたりもしたが、為替の王様であるユーロドルは1.13台にとどまったまま。つまりドルの値段に影響は与えず。
しかし金融相場的に安心感を得た米国株のほうが上昇したので、リスクテーク的にドル円だけは上昇した。しかしドル円が上がったといっても107円台のミドルまでで、雇用統計で下げた分はまだまだ埋めきれていない。
今日は経済イベントがほとんどない。つまらないと言えばそれまでだが、ドル金利の動向に変化が見られなければ為替相場も動かないだろう。後は歴史的な最高値まで再び迫ってきている米国株の挙動だ。
6月利上げはなくなったとはいいながらも、いずれ利上げするのは必至だ。その環境の中で米国株はさらに上値追いしていけるのか。これがリスク回避を誘う要因にもなりうるので要注意。
日本時間 16時20分
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