今日は夜中にイエレン議長の講演がある。このため最近は動かない相場が続いてきたのである。しかし仮にスピーチが終わったからといって、新しい見地が開けるとは限らない。何も目新しいことが起こっていないわけだし、イエレン議長がスタンスを変えるとは考えにくいからだ。
夏休みシーズンなので何もやっていないだけのイギリスのEU離脱手続きなども、金融当局者の立場からして「もう大丈夫」などと断言することはできないだろう。同じようなことが中国経済についても言えるわけで、積極的に9月緩和を推進するだけの根拠に乏しい。ちなみに短期金利の先物価格に含まれているのは、あっても12月利上げが五分五分というところまでである。
面白いのは日本の反応である。アメリカの利上げは株価などリスク資産に直接の打撃を与えることだと認識されており、資本市場からは利上げを望まない声が大きい。しかし日本の側はアメリカが利上げをするとドル円が上がるので、日本株は上がると思っている。
つまりドルの利上げを期待しているということだ。株価という意味では同じリスクファクターに属するべき株価なのに、対応が反対というのは、いかに日本株の現行の水準に実態がともなっていないかということを表している。
予想をしていても始まらないので、実際にイエレン議長が従来の見解を述べるにとどまった場合がどうなるかを考えておくのがよいだろう。まずは素直にドル売り相場となるだろう。9月利上げを明言してくれることを望んでいた人々のポジション調整が出てくるからだ。
ここ1、2週間が動かなかったというのは、チャートなどのテクニカル的にはもっと下攻めすべきところだったのを、無理して買い支える格好となってしまったからという見方もできる。そしてドル円が下攻めした場合の注目ポイントはテクニカル面からも明瞭であって、まずは99.50であろう。
これは今年の2番底である。そこをベースに今週は何度99円台に突入しても、すぐに反発を強いられている。ここで止まるかどうかは、たいへん重要である。そして次には99円ちょうど。これはBREXIT直後の安値であり、今年の最安値でもある。99.50をブレークしてくれば、99.00も簡単にブレークしそうなものだが、いちおうの注意を払っておく。
ともかくも今夜の23時以降の為替相場をフルウオッチだ。ドル円やユーロ円が下攻めを開始したならば、フレッシュな相場の始まりになるかもしれず、それが今年の後半部分のメインストリームを形作るかもしれない。思い切ってついてドルショートで行くべきであろう。
日本時間 15時30分
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)