大統領選の結果が出た直後の大きなリスク回避で101円台の前半まで突っ込んだドル円だったが、その後の反動で106円台の後半まで戻し切った。不安に思っていたトランプ氏の勝利演説があまりにもマイルドだったからだろう。市場にはおおいなる安心感を与えることとなった。
そしてもうトランプ氏が大統領になると民主的手続きで決まったものは、もう否定することはできない。なんといってもアメリカは民主主義の総本山だからだ。出てきた結果には従わなければならないというのが、民主主義のルールである。自分は消費増税が反対だからといっても、決まった後に消費税を払わなければ刑事罰に処されるのである。
そこでさっそくとトランプ氏に期待できるものは何かという合理化が進んだ。臭いものには目をつぶって、まずは大型減税と公共投資に注目するというもの。その結果が木曜に起こった反動であったのだろう。ダウ平均は歴史的な高値まで更新してしまった。じゃあ、クリントン候補がそのまま当選していたら、ここまでリスクテークは進んでいたのかと聞きたくなる。
金曜日はアメリカがベテランズデーであったため、世界的に参加者も少なく、マーケットはちょっと動きづらそうであった。ドル円はずっと106円台にステイし続け、ドル全面高の様相は変わらない。それを支えているのがドル金利の上昇である。
とくに長期金利の上昇は目を見張るものがあり、それがドル買いに姿勢に積極性を持たせている。反動でコモディティは大きく値崩れしている。原油相場もそうしたドル金利といった外部要因で下げに向かっており、それが近い将来のリスクオフにつながる危うさを秘めている。
今週のマーケットはやや落ち着きを取り戻すだろう。本日の東京時間では、午前中にドル円がBRXIT後の戻し高値を抜いてきた。午後になっても買いが買いを呼ぶ展開となって、107円台後半までの高値を更新してきている。
海外市場が注目されるところではあるが、トランプ氏が大統領になったことは依然として想定外のことであり、これから何が起こるのかは予断を許さない。先週のような大きな揺れと、その後の反動が再び起こるかもしれない。とにかく値動きは軽くなることが予想されるので、ポジションも軽めに対処していくしかないだろう。
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