昨日は米国株にとって重要な一日であった。それはS&P先物がテクニカル的な大事な局面を迎えていたからである。今年になって記録したS&P先物の歴史的な最高値は2878ポイントであった。その後の長期金利の騒動で急落を演じたわけだが、その押し目が2530ポイントだった。
しかも間に日にちをおいて2回つけて、ジャスト同じ場所で止められている。つまりダブルボトムの形成となったわけだ。この二つの値段のちょうど半値が2704ポイントだ。そこで2702ポイ陰とまで上がってきた米国株の動向が注目されたのである。
テクニカル的には半値戻しは強力なレジスタンスを示す。つまり簡単には上方向にブレークするのは困難だということ。逆にいうと、ここを上抜けしてくるようであれば、それは上半分のゾーンでプレイすることを意味し、再び最高値への挑戦もありうるということだ。
結果としては昨日のニューヨーク相場も株価の大幅高となった。外部材料としてはボラティリティが低下して20%台を下回ってきているのもあったし、ドル金利の落ち着きもあった。米国株の回復が市場全体のリスク許容度を著しく回復させている。原油価格も61ドル台まで戻ってきたし、リスクの総本山の感のあるビットコインも1万ドル台まで戻してきた。
そうしたマーケットの中で目立つのが、ドルの安さである。2月に入って以来はスピードこそないものの、ドル相場は全面安となっている。ドル円は昨年の最安値をも下回ってきており、まだ底打ち達成感がない。ひとえにFEDにミスリードのせいにもされつつあるが、やはりタイトニング方向の話には触れないという消極的な姿勢が原因であろう。
トランプラリーなどといって米国株が吹き上がっている間は「適温相場」といって無目的な状況を放置していればいいが、早急に仕切り直しを迫られたのが、2月に入ってからの騒動であろう。
しかるに私も当面は株価に関係なく、ドルはベアスタンスを取ることになるだろう。何か強力なファンダメンタルズの変化や金融当局の姿勢の変化でも見られなければ、ドルのにわか上昇についていく気にはなれないのである。そして今日はついにアジア時間でドル円は105円台に突入してきた。そしてパニック的な慌てようは見られない。
昨日は経済指標がいっぱい出たが、結局のところマチマチとなって、どれに反応していいのか、わからない状態となってしまった。今晩は住宅着工とミシガン大学が予定されている。昨日のこともあるので経済指標ではマーケットは動きづらいだろう。それよりも今夜も米国株はラリーするのかどうか、またドルは新安値圏にトライするのかどうかのほうが重要事項だろう。
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