イラン核合意の離脱を発表して1日経ったが、市場の反応としては予想通りだったということであろう。大きなインパクトは見えていない。これによって激しく地政学的リスクが高まったとはとらえていないようだ。
もっとも顕著だったのは安全資産である米国債などが売られたこと。これで10年ものの利回りは3%の大台を超えてきて、それが間接的にドル高をもたらしている。
そして昨日の欧州序盤では、為替の王様であるユーロドルは、年初来の安値を更新してきた。しかしユーロドルの下げはここで一服。すぐにポジションの手じまいの動きが始まった。それでもここまで下げてきているユーロドルだ。
戻り売りをしっかりと狙っているプレーヤーも多い。そう簡単には短期的なトレンドにはあらがえないのだ。ユーロドルは値を戻しても、ついに1.19台に触ることはなかった。ドル円はニューヨーククローズに至るまで狭いレンジ内に収まった。動きは20ポイントほどだけ。
ところで日本のGDPが来週にも発表される。1-3月分である。予想ではマイナス成長になるとの意見もある。マーケットの環境としては円高が進んだのも事実であるし、また日本株も安かった。それで投資環境が悪化したのはいなめない。
オリンピックを挟んで半島情勢が好転しつつあったにも関わらず、国内政治は文書問題やセクハラ問題で停滞している。投資意欲が減退しても仕方のないところだ。1-3月期は終わってしまったからどうしようもないが、問題は4-6月期である。この期間もマイナス成長になると経済学的にはリセッションに入ることになる。
しかし過ぎてしまったゴールデンウイークを振り返る限り、都市部はどこに行っても人が混んでいた。ということは多くの人がレジャーや規制目的で移動していないということだ。確かにカレンダーの具合は、連休を取りにくい形になっていた。政府が無策だったこともあり、肝心の稼ぎ時を逸してしまったという見方もできる。大型の消費は期待できない。
2四半期連続でマイナス成長になるのはアベノミクスとしては好ましくはないところだ。しかしリセッションに陥るかの結果が出るのは、8月中旬になるまで待たないといけないのだが、その頃には安倍首相にとってはどうでもよくなっているのかもしれない(笑)。
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