アジア時間ではドル円が110円台の中盤で推移。111円台から落ちてきた後遺症が残っているようで、上値は重い。とくにクロス円での売り圧力が強そうで、ドル円を積極的に買い向かっていこうとする意欲は限られた。
それでも期待だけは高まっていき、指標が出るまでのいわゆる「中抜け」の時間帯の間に、ドル円はジリジリと上昇。110.80アラウンドまで上がってきた。
雇用統計の結果は良かった。就業者数が20万人台の増加と出て、前日のADPでの低さを裏切った。米ドル金利は上昇にむかい、これで9月利上げは間違いないものとなった。
それをうけて発表直後に為替相場ではドル高が進んだ。ドル円も高い。111円台に乗せてきた。私はドル円をベア目で見ていたので、ついに入りそびれた。
しかし米国株の反応は下げとなった。やはり賃金上昇が確認されたからだろう。企業コストを押し上げるのを意識したのだ。また夜中にはトランプ大統領が追加関税についてコメントしたので、米中貿易も摩擦の度合いを深めてきた。リスク回避の動きも急がれ、ドル円やユーロ円は売りものに押された。
トランプ大統領が日本との貿易についても迫ってきそうだ。「新しい合意ができなければ大問題だ」と言っている。これは日米の2国間協議を踏まえた上でのことで、日米FTAを前提としたものだろう。自由貿易を建前とする日本としては、貿易に関しては当事者間のバイラテラル交渉よりも、多国間での協議を優先すべきという世界の流れに反抗することはできない。
果たしてアメリカからの風圧をどのようにして避けて通るのか。首相同士がうわべだけ仲良く見せても、どうしようもないのである。この問題が今週のマーケット、特に日本に関する相場を重苦しくするものと思われる。
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