FOMCでは金融政策の転換がほのめかされたことで、マーケットは全体的にリスクテークのムードが強まった。ドル金利の低下を示すかのように、金利商品の大きくは一斉に値上がりした。
株価上昇の中での金利低下なのだから、かなりしつこい債券買いが入っていたものと思われる。それだけ動きは本物の度合いが大きいということだ。ドル金利の先安感からドル相場は軟化し、ドル円も108円台にまで滑り落ちてきた。
しかし金融政策の転換点だというのに、急いだドル売りは見られない。またそれに十分に見合うだけのドルのオファーも出てきていないようだ。これはにわかに盛り上がっている金融緩和ムードが偽物なのか、それとも下がらないドル相場のほうが間違っているかのどちらかであろう。
だがこの答えは今はわからない。3ヶ月くらい経って、そのときにあれはこういう意味だったのかと判明するのであろう。そして昨日の海外市場では米中協議の行方に関心が集まった。結論を明確に打ち出せたものは、米国産大豆の購入枠だけだった。肝心の関税の撤廃や知財権の問題には何ら答えが出ていない。
トランプ大統領は協議の進展に自信を見せたが、落ち着きどころを探っているというのが実情だろう。欧州時間ではドル安が進み、ニューヨーク時間ではドルの買い戻しが起こって、行って来いの相場となっただけである。ドル円は108.50から108.90までの狭い領域に閉じ込められただけだった。私も何回かドル円をショートで攻めたが、それほども大きくポイントを抜けず。
米国株は引けにかけて値上がりが顕著になった。それは引け後にアマゾンの決算を控えていたからであった。そのアマゾンはアナリスト予想を上回る利益を捻出した。しかし売上は期待外れのものとなっている。
今晩はアメリカの雇用統計。就業者数の予想は16~18万人の増加などとなっているが、先日の民間調査ではたいへん良かったので上振れるかもしれない。それでも金融緩和を交換している現状では、あまり良い経済指標を歓迎しない動きとなりそうだ。
つまり20万人以上の数字が出るようならば、これまでのイージングに対する期待が吹き飛んでしまい、株価の大きな調整を伴うかもしれないということで、リスク回避からドル円は一段安を迎えるかもしれないということだ。
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